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少しずつ連合軍が形作られてきた

 貂蝉の案内で曹昂が部屋に案内されると、其処には張邈が居た。

「やぁ、曹昂。元気そうで何よりだ」

「猛卓様もお久しぶりです」

 張邈が居るので曹昂が一礼すると、張邈も返礼してくれた。

 そして、曹昂は曹操を見る。

「父上。急な呼び出しですが。何事ですか?」

「ああ、実はな。猛卓の弟で張超、字を孟高という者の部下の呼び掛けで袁紹や袁術といった各地の諸侯が動いてくれたぞ」

「へぇ、ようやくですか」

 部下の呼び掛けで有力諸侯が動くか。その部下って誰だろう?と曹昂は思った。

 だが、どちらにしても諸侯が動いたのは確かなのだろうからどうでも良いかと思いその部下に関して聞こうとしなかった。

「後将軍袁術。冀州牧韓馥。河内太守王匡。渤海太守袁紹。長沙太守孫堅。北平太守公孫瓚。北海太守孔融。荊州牧といった有力諸侯達が集めた兵を連れてこの陳留へと向かっているそうだ。皆一万以上の兵を連れてくるだろう」

「今の陳留にはどれくらいの兵力があるのですか?」

「私の軍一万だが。あと数日したら東郡太守の橋瑁。豫州牧の孔伷。兗州牧の劉岱。猛卓とその弟の張超。済北国の相の鮑信。山陽太守の袁遺がそれぞれの軍を率いて到着する。それを合せてだから八万といったところだな」

「ちょっと少なすぎませんか? これで袁紹様達と合流しても董卓軍に勝てるかどうか」

 二十五万の董卓軍なのだからせめて二十万近くの兵は欲しいと思う曹昂。

「孟徳はどうだか分からないが、この陳留に向かっている諸侯達は兵を集めながら向かっているから。全ての軍が到着したら恐らくだが二十~三十万の軍勢にはなるだろう」

「父上。我が軍は兵を募らないのですが?」

「集めようにも私と父上の私財と衛大人の援助の金を合わせてようやく一万集まったのだぞ。これ以上は、あれだ。お前が持っている蔵を開けないと駄目だ」

「えっ? 僕の蔵を開けなかったのですか?」

 曹昂はてっきり兵を募る時に開けたばかりだと思っていた。

「馬鹿者が。義兵を挙げるのに、無断で人の蔵に手を付けては大義も何も無いではないだろうが」

 曹操は心外とばかりに叱る。

 と言いつつも、本当は家の蔵を開ける時に曹昂が持っている蔵も開けようとしたのだが。父の曹嵩と妻の丁薔が反対した。

 義兵を募るのに人の蔵に手を付けては天下に大義を示せないとか。例え親であっても子供が稼いだ金に手を付けるのは親としても人としても道理に反していると言われた。

 父と妻にそう言われては、流石の曹操も曹昂の蔵に手を付ける事は出来なかった。

「何だ。別に開けても良かったのに」

「本当か? 後で父上達に私が無理矢理開けろとか命じたとか言わないのか?」

「何でそんな事を言うのですか? 今は父上のこれからに係わる大事な事ですよ。それなのに息子の僕が協力しないのはおかしいでしょう」

「うむ。流石は我が息子だ。お前の様に理解がある子を持てて、わたしは幸せだ」

「はいはい。じゃあ、家に書状を出して蔵を開けて貰うようにしてもらいますね」

 曹操が褒めているのに曹昂は軽く聞き流した。

「何だ。先程の事を根に持っているのか? それとも、董白を説得している最中であったか? それはすまない事をしたな」

 曹操がそう言うのを聞いて、曹昂は苦い顔をする。

 内心で変なところで鋭いんだから。

「董白? 誰だ?」

「董卓が可愛がっている孫娘だ。こいつ、我らが義兵を上げるのを知るなり自分なりの決別と宣戦布告を兼ねて董卓が可愛がっている孫娘を略奪して婚礼を挙げるつもりなのだ」

 曹操が董白について説明しつつ、曹昂がその董白と婚礼を告げると教えだした。

 まだ、その予定は無いので訂正しようと、曹昂は口を開こうとしたが。

「ふはははは、略奪婚か。花嫁泥棒の孟徳の息子が略奪婚をするとは。これは面白い⁉」

 張邈は腹を抱えて笑い出した。

 そう笑われては訂正がしづらくなり、曹昂は何も言えなかった。

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