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ようやくか

 その頃。曹昂は武安県にて鉱山の採掘を行っていた。

 当初の目的である慈石の採掘を行っている、他にも鉄や銀、金などの鉱石なども採れた。

 鉱夫が採掘された大量の鉱石を運び出すのを見ながら趙儼は感服していた。

「其処まで深く採らせていないというのに、これだけの鉱石が採れるとは。冀州は本当に豊かな所なのですな」

 趙儼の言葉にその場に居た劉巴も頷いていた。

「確かにそうですな。だからこそ、冀州を支配下に治めていた袁紹が一時は天下を取れそうな程の勢いを持つ事が出来たのでしょうな」

「これだけの鉱石があれば、数万の兵の武具を作る事など難しくないですからな」

 趙儼と劉巴が話している所から少し離れた所に、曹昂の姿があった。

 鉱夫が鉱石を運び出すのを見ていた。

(これだけの磁石があれば、電気を作る事も出来るだろうな。電気があれば、色々と作れるな~)

 曹昂の頭の中では、磁石で電気を作った後、何を作ろうかなと考えていた。

 まだ、何も着手していないのに気が早いと言えた。

 そんな想像をしている曹昂の目に鉱山から採掘した鉱夫達が何か入った袋を持って出て来た。

 そして、袋の口を緩めると、袋の中に入っている物をその場にぶちまけた。

 袋から出て来たのは銀白色の金属であった。

 鉱夫達は袋の中に入っている物をぶちまけた後、その場を離れて行った。

 金属をぶちまけたのを見て、曹昂は不思議に思いその金属がある所に向かった。

(・・・金属のようだけど、どうして運ばないんだ?)

 曹昂は軽く触れてみて、金属という事は分かったが、どうして運ばないのか分からなかった。

 不思議に思っている曹昂が何かを触っているのを見た鉱夫が気になったのか声を掛けて来た。

「どうかしたのですか?」

「ああ、いや。この鉱物をどうして運ばないのか分からないのでな」

「どれですか? ・・・ああ、これですか」

 鉱夫が訊ねて来るので曹昂が指差すと、一目見てその鉱物が何なのか分かった鉱夫は納得した顔をしていた。

「それは()ですね」

「ぐ?」

「はい。炉の中に入れても全く熔けない為、加工が出来ませんので皆捨てるんですよ」

「そうなのか・・・」

 鉱夫の説明を聞いた曹昂は、これって白金か?と思いながら見ていた。

(白金も銀よりも溶解温度が高い為、冶金技術が高くなるまで捨てられたという話があるからな・・・)

 という事は溶かせば何かに使えるかも知れないなと思った曹昂。

 そう思った曹昂は鉱夫達にこの鈷も運び出すように命じた。

 鉱夫達は鈷を運び出す理由は分からなかったが、とりあえずその命令に従う事にした。


 採掘を開始してから十数日が経った。

 未だに高幹が動かないので、曹昂はどうしたものかと考えていた。

(一度鄴に戻るか? このまま採掘を続けても鉱脈が尽きたら困るからな。それとも、邯鄲県に行くか?)

 邯鄲県に行き採掘を行うか。それとも、鄴に戻り採掘した鉱石を倉庫に入れるかと考えていた。

 其処に趙儼が走ってやって来た。

「殿‼ 此処に居られましたかっ」

「趙儼。どうかしたのか?」

「はっ。并州に居る間者からの報告です。高幹が突如蜂起し上党郡太守を捕縛。壷関県を占領し防備を整えているそうですっ」

「ようやく動いたか」

 趙儼からの報告を訊いてようやくかと思う曹昂。

「また、高幹の蜂起に呼応する様に司隷の河東郡と弘農郡で反乱が起こりました‼」

「反乱が起きたか。司隷校尉の鍾繇からは連絡は?」

「今の所無いそうです。殿。早く鄴に戻りましょう」

「そうだな。全軍に出立の準備を急がせよ」

「はっ」

 曹昂の命令を聞いた趙儼は一礼し命令を伝達に走った。

 趙儼を見送った曹昂はこれからの事を考えていた。

(恐らく、高幹は鄴に兵を送り込んでいるだろう。その軍を壊滅させた後は鄴の守りを固めてから、攻め込んだ方が良いな。そうだ。ついでに、敵に援軍を送らない様にして貰うか)

 鄴に戻ったら呼廚泉に高幹に助力するなという文を送ろうと決めた曹昂。


 数刻後。

 曹昂軍は鄴の帰還の途に着いた。

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