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こっちはこっちの仕事をするか

 レビュー二つ目頂きました!

 見た時は思わず頬をつねりました。

 この場を借りて、秋鷽亭様ありがとうございます!

曹操率いる遠征軍が鄴を出立していった。

 曹昂は軍勢の最後尾が見えなくなるまで城門の近くで留まり見送った。

 やがて、軍勢が見えなくなると曹昂の側にいる曹丕が話しかけて来た。

「兄上。今日の政務は何をするのですか?」

 曹丕がそう訊ねて来るので、曹昂は傍にいる趙儼を見た。

「今日の政務は?」

「急いで片付ける物はありません。ですので、今日はゆっくりしても良いと思います」

 趙儼が特に急ぎでする仕事がないと言うのを聞いた曹丕はジッと曹昂を見た。

「兄上。する事が無いのでしたら、狩りに行っても良いですか?」

「う~ん。ちゃんと護衛を連れて行くのだったらいいよ」

「ありがとうございます!」

 曹昂から許可を貰えたので、曹丕は喜びながら頭を下げてその場を離れて行った。

「・・・・・・熱中しても問題ないか」

「ですな。弟君は殿の補佐なのですから、居ても居なくても特に困りません」

 まだ十五歳なので遊び盛りと言っても良い年齢であった。

 なので、曹昂は仕事の手が足りない時以外は特に仕事を任せる事はしない事にしていた。

 今日はする事が無いのかと思いながら城に戻ろうとした所で、劉巴が小走りでやって来た。

「殿、ご報告があります」

「どうかしたのか?」

「はっ。并州に居る密偵からの報告です。高幹が兵を集めており、密かに他州に住む知人に文を送っているそうです」

「予想通り、反逆して来たか」

 劉巴の報告を訊いた曹昂は予想した通りに動いたなと思った。

「その知人は何処にいるのか分かるか?」

「流石に分からなかったそうです」

 劉巴は首を振るのを見て仕方が無いと思う曹昂。

「まぁ、そうやって文を送るという事は高幹が何をするのか分かったから良い」

「敵の策が分かったのですか?」

「ああ、恐らくその文を送った知人に反乱を起こさせて注意をそちらに向けている間に鄴を奪うという所だろう」

「成程。では、我らはどうするのです?」

「そうだな。・・・・・・ああ、そうだ。行きたい所があったんだ」

 冀州の統治も安定して来たので、曹昂は前々から行きたい所があったので、これを機に行こうと決めた。

「行きたい所ですか?」

「それが、高幹の策に関係あるのですか?」

「まぁ、そうだ。わたしが兵を率いてその場所に向かうと知れば、高幹は反乱を起こして鄴に兵を送り込むだろう」

「そして、我らは反転してその兵を壊滅させて、并州に攻め込むという所ですか?」

「そんな所だ。まぁ、その行きたい所にも用事はあるのだがな」

 劉巴達は先程から曹昂が言う行きたい所が何処なのか気になっていた。

「先程から出ている行きたい所とは何処なのですか?」

 趙儼が訊ねると、曹昂は隠す事がないのか簡単に教えた。

「武安県と邯鄲県だな。まぁ、距離的に考えて、今回は武安県だけだな」

 県名をあげても劉巴達は首を傾げるしかなかった。

 邯鄲県は戦国時代の趙の首府であった土地だが、武安県は何かあったか?という思いしかなかったからだ。

「その二つの県には何があるのですか?」

「ええっと、じしゃじゃなくて、慈石?」

 曹昂はうろ覚えであったが、そういう風に言うと二人は更に首を傾げた。

「あの鉄を引き寄せる事が出来る石ですか?」

「何に使うおつもりで?」

 この慈石とは磁石の事であった。

 この名前の由来は砂鉄などを吸着する様子が、乳飲み子を抱く母の慈愛を連想させる事から慈石と名付けられた。

 なお、慈石が漢字の磁石の下になったと言われている。

 慈石の存在は戦国時代末期、秦の呂不韋が食客を集めて共同編纂させた書物『呂氏春秋』にもその存在が確認されている。

 余談だが、晋の時代で武将の馬隆が異民族のとの戦において、磁石を大量に用いることで、鉄の鎧で武装した騎兵を足止めしたという逸話が記録されているが、信憑性が低いとの評価が与えられている。

「砂鉄を取るのに使うのですか?」

「別に砂鉄など取らずとも、鉱脈を探して鉄鉱石を見つければ良いと思いますが」

 劉巴達は慈石を何使うのか分からない様であった。

「まぁ、その内見せるから」

 曹昂は何が出来るのか教えなかった。

 数日後。

 曹昂は二万の兵を率いて武安県へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 磁石ですか… なんだ、てっきり尹階さんを登用するのかと思いましたから(笑)。
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