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攻め込む下準備

 季節は廻り、建安七年(西暦二百二年)


 許昌にある曹昂の屋敷。

 その屋敷の一室には曹昂だけでは無く、劉巴と趙儼の姿もあった。

「鄴に居る密偵からの報告によりますと、鄴を攻めた袁煕は撃退されて幽州に逃げ帰ったそうです」

「袁煕は負けたか。どの様な戦いだったか分かるか?」

 劉巴の報告を訊いて曹昂はそう訊ねた。

「報告によりますと、袁尚軍は鄴に籠城して袁煕軍の攻撃を長期にわたり防ぎ、敵の士気が落ちた所で城から打って出て撃退したそうです」

「成程。という事は、袁尚軍の兵は少ないという事になるな」

 話を聞いた曹昂はそう言うと、正解とばかりに頭を下げる劉巴。

「密偵からの報告ですと、今鄴に居る袁尚軍は二万程しかいないそうです」

「二万程度しか居ないか。これは良い情報だな」

 曹昂はそろそろ父曹操は鄴を攻める命令を下すだろうと予想していた。

 その時は大将になるように声を揚げようと思っていた。

「父上はそう遠くない内に鄴を攻めると言うだろう。その時にわたしは声を揚げるとしよう」

「殿がそう決めたのであれば何も申しません。ですが、御油断だけはされぬように。敵は恐らく攻め寄せた袁煕と同じように籠城して、我らが疲れた所を見計らい打って出るという策を行うでしょう」

 趙儼が注意を喚起すると、曹昂は分かっているとばかりに手を振る。

「確かにその通りだ。という訳で、直ぐにでも策を行うとしようか」

「策ですか?」

 曹昂が言う策とはどんな策なのか分からず趙儼は戸惑っていた。

「と言っても、大した事はしないけどね。劉巴」

「はっ」

「鄴に居る密偵に伝えよ。袁尚の麾下の部将達全てに調略を掛けよと」

「成程。殿は、内より門を開けさせるおつもりなのですね?」

「そんな所だよ。さすれば、如何に鄴といえど難なく落とす事が出来るだろう」

 曹昂がそう言うと、劉巴達は納得して頷いていた。

「趙儼は我が軍が出陣するまでの間に、出来るだけ多くの兵糧を集めてくれ」

「はっ? しかし、兵を出すのでしょう。わたしが集めずとも、丞相が命じて集められると思うのですが?」

 する必要はないのでは?と思い訊ねる趙儼。

「いや、それだけでは足りなくなるだろうから。かなり、多めに用意した方が良いだろう」

「殿がそうおっしゃるのでしたら」

 何か考えている様だが、流石に何を考えてるのかは分からない趙儼。

 とりあえず、命令通りに行う事にした。

 二人に命を下して、部屋を出ようとした所で、使用人が「丞相から使者が参りました」と告げた。

「使者?」

「何の用でしょうか?」

 曹昂達は何の用で呼ばれたのか分からず首を傾げていた。

 とりあえず、会えば分かると思い使者を部屋に通すように命じた。

 直ぐに使用人が使者を連れて部屋に来て、使用人は一礼し部屋を出て行った。

 使用人が出て行くと、使者は頭を下げながら懐から一枚の文を取り出した。

「丞相よりお届け物にございます」

 使者がそう言うので、曹昂は趙儼に文を取りに行かせた。

 使者から趙儼へと文が渡され、そして趙儼がその文を曹昂に渡した。

「・・・・・・話したい事があるので、今すぐ丞相府に参れ」

 文には短くそう書かれていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 曹操から話があるとは、あのことですね。母上にチクってしまいましょう。 袁尚軍は兵糧を掻き集めたけど、次の籠城戦までは持ちそうに無いですね。
[一言] あけましておめでとうございます いい加減、曹操は女癖を…… 息子に愚痴か嫌味か…… お母さま出番ですよ!(by曹昂)
[一言] 新年一発目お待ちしてました~ 曹操パッパ<話がある、すぐ来い あっ…(察し 袁尚攻めの件ではないやろなぁ
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