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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二章

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狩りに出掛ける

 数十日後。


 曹操達は洛陽に着いた。

 そのまま曹家の屋敷に向かう。

 屋敷に着くと、曹昂は用意された部屋にある寝台にうつ伏せになってようやく一息ついた。

「はぁ~、ようやく着いたか」

 使用人に手綱を取らせた馬に乗っていたとは言え、揺れて尻に振動が来るのはまだ幼い曹昂にはきつかった。

「お疲れ様です。若様」

 貂蝉は疲れている曹昂を労う。

「ああ、うん。この後は何も無いだろうし少し休むね」

「分かりました」

「おねがい……」

 言っている最中に眠りにつく曹昂。

 寝息が聞こえて来たので貂蝉は曹昂に布団を掛ける。

「……若様」

 掛け終わると貂蝉は曹昂の寝顔を覗き込む。

 年相応の可愛らしい寝顔を見て貂蝉は微笑む。

 今日は稽古はしないので、何かあるまで曹昂の寝顔を見ていようと思った貂蝉。

 そのまま曹昂の寝顔を見ていると自分も何時の間にか眠ってしまった。

 余談だが、貂蝉に話があって探していた卞蓮が曹昂の部屋に入ると、二人が眠っているのを見て微笑しながら静かに部屋を出た。

 そして、その事を曹操に話した。それから暫く曹昂と貂蝉はその事で曹操達から揶揄われるのであった。


 曹操達が洛陽に着いてから一月が経った。


 新設された西園軍の部将任命式は八月に行わる。

 まだ月日があったので、曹操は暇を持て余していた。

 曹操は何処かの女性でも口説こうと考えたが卞蓮の目があるので出来なかった。

 何か無いかと考えていると、使用人がやって来た。

「孟卓の使いが来ただと?」

「はい。三日後。一緒に狩りでもしないかと使いの者が文と共に参りました」

 使用人が文を曹操に渡した。広げて中を見た。

「ふむ。使いの者には承知した、いつもの場所で合流しようと伝えるのだ」

「承知しました」

 使用人が下がると、曹操は直ぐに狩りの準備を始めた。

 その準備の最中、ふと何かを思い至ったのか準備の手を止める曹操。

「ああ、そうだ。ついでに、昂も紹介しよう」

 まだ昂は弓も満足に引けないが鷲を操る事は出来る。

 一人だけ鷹狩りなのは大目に見てもらおうと思いつつ曹操は狩りに行く話を曹昂にしに行った。


 そして、三日後。


 曹操は曹昂を連れて洛陽から数十里離れた狩り場へと向かう。

「父上。僕はまだ弓は引けないのに付いて行って良いのですか?」

「別に構わん。一人だけ鷹狩りでも孟卓は何も文句は言わんよ」

「それなら良いのですが」

 曹昂は肩に乗せている重明を見る。

「矢に当たらない様に注意しながら狩りをするんだよ」

「ピィ!」

 重明は任せろとばかりに鳴きだした。

 頼もしいなと思いつつ馬を進ませていると、馬に乗っている人達を見つけた。

「ああ、もう来ていたのか」

「あの中に父上の親友の孟卓殿が居るのですか?」

「そうだ。待たせては悪い。行くとしよう」

 曹操は馬を少し早く歩かせた。曹昂も曹操の馬の足に合わせた。

 程無く、曹操達は馬に乗っている人達の所に着いた。

「済まんな。待たせたか?」

「なに、それほど待ってはいないぞ。孟徳」

 そう答えるのは曹操と同い年ぐらいで立派な口髭を生やし引き締まった顔をしている男性が答えた。一見して堂々とした風貌をしており立派な体格をしていた。

「そう言ってもらうと助かる。ああ、そうだ。ついでに息子を紹介する。昂」

「はい」

 曹操が呼んだので曹昂は前に出て一礼した。

「初めまして、曹操の息子の曹昂と申します。以後お見知り置きを」

「おお、君があの噂の曹家の神童か。話には聞いていたが、本当に子供だな。改めて、私は張邈(ちょうばく)。字を孟卓と言う者だ。貴殿の父君とは長年の友人でもある。よろしく頼む」

「こちらこそ。ところで、その曹家の神童って何ですか?」

 初めて聞いた言葉に曹昂は訊ねた。

「うん? 知らんのか。黄巾の乱の時に、十万の黄巾党の兵を僅か二千の兵とその知識を持って自分が暮らしている県城を守った事で霊帝陛下がその働きを称賛して恩賞を与えたと巷では噂になっているぞ」

 張邈の話を聞いた曹昂は目を剥いた。

(何故十万になっているんだ? 尾ひれがついたにしても盛り過ぎでは?)

 曹昂は曹操を見たが、呆れた様な態度を取っていた。

 その態度を取るのを見て知っていたんだなと察した曹昂。

(そんな噂があるのなら教えてくれても良いと思うのだけどな)

 何を思って話さなかったのかは知らないが、後で問い詰めてやると思った曹昂。

「おほん。孟卓。連れて来たは良いが息子はまだ弓は引けないのだ」

「そうか。流石の神童もまだ弓は引けぬか」

「代わりに息子だけ鷹狩りをさせるが良いだろうか?」

「うん? 鷹を操れるのか?」

「うむ。息子が偶々拾った鷲を飼い馴らしておってな。鷹匠からコツを教わって鷹狩りは出来るぞ」

「いや、別に構わんが。弓が引ける事よりもそっちの方が凄くないか?」

「そうかもな。ほれ、その証拠に肩に乗せているだろう」

「はい」

 曹操が指差した先には、確かに曹昂の肩に大きな鷲が乗っていた。

「おお、何とも大きな鷲だ」

「あの鷲で鷹狩りをするのか?」

「しかし、随分と懐いている」

 張邈と一緒に居る者達が曹昂の腕に乗っている重明を見て関心していた。

「そう言えば、孟徳。曹昂は今年で幾つになるのだ?」

「今年で十三になる」

「十三歳でこれだけ大きな鷲を操るとは、凄いな。爪は痛くないのか?」

「服の下に革で作った肩当てを付けているので大丈夫です」

「ほぅ、成程」

 張邈は曹昂を感心しながら見ていた。

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