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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二章

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諜報組織を作る

中平四年(西暦187年)七月。


「むうぅぅ……」

「……」

 曹操と曹嵩は部屋の中で忙しなく歩いていた。

 この日、卞蓮が陣痛を訴えた。子が産まれる前兆であった。

 今も別室では卞蓮が産婆と丁薔の手を借りて子を産もうと頑張っていた。

 不浄という事で男子は入る事を禁じられているので、曹操達は部屋で子が生まれるのを今か今かと待ち望んでいた。

 その忙しなく動き回る姿は、まるで罠に掛かり抜け出そうとしている狸の様であった。

 曹昂は椅子に座りながら考え事をしていた。

(そろそろ、諜報組織を作った方が良いよな)

 曹昂がそう思ったのは少し前に、目の前でうろうろしている祖父曹嵩が義父の喪が明けたら官職から退くという事を言い出したからだ。

 そして、極秘だが霊帝陛下がそう遠くない内に直属の部隊「西園軍」を創設する事、更にはその軍を率いる部将として曹操が入る事が確定している事も教えてくれた。

 これも軍事方面の宰相である太尉の曹嵩であるからこそ手に入れる事が出来た情報だ。

 そんな情報が手に入ったのを聞いた曹昂は考えた。

 今は卞蓮の父親である卞遠が各地に浮屠の信者達を布教という名目で放ち情報収集をさせている。

 だが、いずれは破壊工作、潜入、暗殺などを行う部隊が必要だと予想する曹昂。

 創設する為の金は蜂蜜やら馬車やら水飴やらの儲けで問題なく創る事は出来る。

 問題はその部隊の隊員達をどのような基準で選ぶのかと言うことであった。

 それで頭を悩ませている曹昂。

 傍から見たら卞蓮の子供がいつ生まれるのか分からず気を揉んでいる様に見えた。

「皆様。茶が入りました。冷めない内にどうぞ」

「……ああ、ありがとう。貂蝉」

 そんな三人を気遣い茶を淹れてくれた貂蝉。

 この時代の茶は高級品で病人に与えるか貴族か金持ちが飲む物であったが、曹家は名門で金を持っているので普通に飲まれている。

 余談だが、湯を沸かすやかんは漢字で書くと薬缶と書く。これは生薬用の加熱器具であったから名付けられたのだ。

「ふむ。そうだな。気を静める為に頂こうか」

「ですな。父上」

 気を揉んでいた曹嵩達は貂蝉が淹れた茶を飲みだした。

 熱いので一息には飲めなくなっている。その為、少しずつだが落ち着きを取り戻す曹操達。

 曹昂は茶を飲もうとして、湯呑を覗くと茶柱が立っていた。

(茶柱が立つとか。これは良い事があるかな)

 そんな事を思いながら茶を啜ろうとしたら、赤ん坊の泣き声が聞こえて来た。

 その声を聞くなり、曹操と曹嵩は湯呑を持ったまま立ち上がり、そして卞蓮が出産を行っている部屋へと向かった。

「……そうか。生まれたんだ」

 曹昂は落ち着きながら茶を啜った。

 曹昂の落ち着きぶりに貂蝉は思わず訊ねた。

「若様。どうして、若様はそんなに落ち着かれているのですか?」

「う~ん。何でだろう?」

 と言いつつも前世の記憶と暦を照らし合せると生まれて来るのが曹丕だと分かっているから落ち着いているだけであった。

「妹は居るから、弟が欲しいな」

「そうですか。そうなると良いですね」

「だね」

 貂蝉と会話をしていると、曹操の笑い声が聞こえて来た。

 そして戸が開くと曹操が満面の笑みを浮かべていた。

 手に湯呑は無かった。何処に置いたんだろう?と、どうでも良いのだがふとそう思う曹昂。

「昂。喜べ。お前に腹違いとは言え弟が出来たぞっ」

 曹操はそう言って子供が生まれた喜びを表現しようと曹昂を抱き締める。

「お、おめでとうございます。父上」

 男性に抱き締められても嬉しくないと思いつつ喜びの顔を浮かべる曹昂。

「そうだろう。そうだろう。よし、今日は祝い酒だ‼ 酒蔵を開けて県内の者達に酒を振舞うぞ‼ あまりに美味い酒だから盗まれては困ると思い、蔵を閉めていたが今日は喜ばしいからな。盗まれても許そうではないかっ」

「また、父上は勝手な事を……っ⁉」

 曹操が気分が良いからかとんでもない事を言うので肩を竦めていたが、ある言葉を聞いて身体を震わせた。

「盗む……盗む……つまりは泥棒。泥棒と言うと、有名なのは……っ⁉」

 何事か呟く曹昂。そして、何かを思いついたのか掌を拳で叩いた。

「そうだっ‼ 盗みだ‼」

「お、おお、ど、どうした。息子よ?」

「父上っ、お蔭で新しい部隊の集める基準を思いつきました。早速、公劉殿に相談しにいこう‼」

 そう言って曹昂は部屋を飛び出していった。

 その背を見送った曹操と貂蝉は目をパチクリさせながら見送った。


 数十日後。


 曹操は屋敷である人物達と会っていた。

「遠路はるばるよう来てくれて感謝する。卞遠殿」

「他ならぬ曹操殿の頼みですから。それに娘が子を産んだと聞きましてな、孫の顔を一目見ておこうと思いました」

「そうですか。それでそちらが頼んだ御方ですか?」

 曹操は卞遠が連れて来た人を見る。

 年齢は六十近いのに馬に騎乗していてもピンっと立っていた。

 顏は皺だらけで髭も髪も白かった。

 それでも鷹の様に鋭い目付きに力強い瞳。顎髭を蓄えていた。

 身の丈は九尺(約二百十センチ)もあり精悍な身体なので巨人と思わせる雰囲気を持っていた。

 その者の名は麻山(まさん)。字を初大(しょだい)という男だ。

 浮屠の信者でもあり撃剣の使い手でもある。

 普段は益州の成都近くにある峨眉山にある寺院で修業を行っている。

 そんな人物がここ豫洲沛国譙県に何故来たのかと言うと、曹昂が曹操に浮屠の信者で武術に精通している人を呼んでほしいと言われたからだ。

 何をするつもりで呼んだのかは連れてきた時に聞けば良いと思い深くは聞かないでいた。

 そして、卞夫人に曹昂の要望の人物を連れて来てほしいと頼んだ。

 そうして来たのが卞遠と麻山だ。

「ところで、ご子息はどのような用事で麻山殿を呼んだのでしょうか?」

「それについては現地についたら教えてくれるでしょう」

 詳しい事は聞いていないので曹操はそれしか言えなかった。

 内心で何をさせるつもりで呼んだのか気になってはいた。

「では、早速参りましょうか」

「ええ」

 曹操達三人は軍事施設へと向かった。


 軍事施設に着くと、曹操が居る事と曹昂が事前に言っていたからか見張りはすんなりと曹操達を通した。

 施設に入ると卞遠達は施設で行われている事を見て目を見開かせていた。

「弩の訓練に騎兵の訓練。更には製鉄も行っているとは」

「此処では武器の製造も行っているのか?」

「その通りです。私の腰に差しているこの剣もこの施設で創られた物です」

 曹操は腰に差している倚天剣を見せびらかす様に叩く。

 それを見て興味深く剣を見る卞遠達。

 そして、此処で行われている事の説明をする。

 最初、自分達が来た時に曹昂に説明して貰ったように。

 そうして説明をしていると、曹昂が史渙を伴なってやって来た。

「ようこそ、お越し下さいました」

 一番年少と言う事で曹昂が一礼をする。

 史渙もその隣で頭を下げて礼をした。

「昂。紹介する。こちらは卞の父君の卞遠殿。こちらが麻山殿だ」

「初めてお目に掛かりますな。娘が何か迷惑を掛けていませんかな?」

「いえ、特には」

 蜜蝋の化粧品以外にも何か開発しなさいと言って来るぐらいだと内心思うが口にはしなかった曹昂。

 そして、卞遠の隣にいる麻山を見る。

「お初に」

「こちらこそ。急な要望に応えて下さいまして感謝します」

「別に大した事ではない。それよりも」

 麻山は鋭い目で曹昂を見る。

「如何なる用にて私を呼んだのか御聞かせ頂きたい」

 訊ねる麻山。

 その目には変な理由で呼んだのであれば、ただではおかないと言っている様であった。

 曹昂はその眼力にちょっと気圧されながらも呼んだ理由を話した。

「呼んだのは他でもありません。そろそろ諜報に力を入れようと思いまして」

「……」

 麻山は無言で続きの言葉を催促した。

「諜報部隊を作るにあたって隊員の募集基準はきまって公劉殿の伝手で集めたのですが、一つ問題が」

「問題? どんな問題だ?」

「総隊長に当たる人が居なくて。それで情報収集をしてもらっている浮屠の信者の方で武術に精通している人を取り纏め役にしてもらおうと思いまして」

「…………」

 曹昂の話を聞いても無言の麻山。

「それで、どの様な部隊を作ったのか教えて頂けるかな」

 麻山の代わりに卞遠が訊ねた。

 先程から無言なので話が続かないと思い代わりに反応する事にしたようだ。

「あっ、はい。ええっと、こちらに居ますので見せますね」

 無言だけど良いのかなと思いつつ、とりあえず部隊の隊員達を見せに行く事にした。


 その部隊の訓練する所は施設の端にあった。

 隊員達は腕を動かさないで体の横に位置させた状態で走っていた。俗に言う忍者走りだ。

「「「………………」」」

 曹操達は初めて見る異様な走りに胸を突かれたかの様に何も言えなかった。

「あの走りは腕を動かさない事で体力の消費を抑えて、尚且つ隠密行動にする時に極力音を立てない走り方だと本に書いてありましたので実践中です」

 そんな本など無いのだが、曹昂はとりあえずそう言っておく事にした。

「あの走り方がか?」

「はい」

 曹操は不可解な顔をしていた。

「で、この隊員達にはある程度の訓練を行った後は適正を選んで三つの部隊に分けます」

「三つの部隊?」

「そんなに居るのか?」

「はい。まず一つは情報収集をする部隊です。これは今、卞遠殿が行っている浮屠の教えを布教するという名目で情報収集をしてもらっている事をこれからは部隊として活動してもらうのです」

「今、卞遠殿が行っている事を部隊として行う必要はあるのか?」

「正確に言えば、情報の伝達を滞らない様にするという感じですね」

「と言うと?」

「手に入れた情報を直ぐに父上に伝わる様にするのです。今のところ、鳥を使っての情報伝達か、沢山の人を使って情報を伝える様にするか模索中です。それと、ちゃんとした信者の人も居ないと怪しまれると思うので信者の人と行動を共にしてもらう為に部隊にするのです」

「成程。二つ目はどんなのだ?」

「二つ目は……そのあれです。特殊な情報収集と言いますか……」

 言葉を濁らせる曹昂。

 何で言葉を濁らせるか分からないので訝しむ曹操達。

「その特殊な情報収集とはどんな方法だ?」

「え、えっと、…………その閨での情報収集です」

 言い淀む曹昂。

 それを訊いて曹操達は首を傾げる。

 何でそんな事で言い淀むと言いたげな顔をしていた。

「閨で情報収集か。考えたな。しかし、今走っている者達は男しか居ないぞ。普通、そういう任務は女性ではないのか?」

「その内に女性も加えますが、男性もそういう任務に就かせて体験して教えた方が良いと思いますから」

「男性でか?」

「はい。例えば戦乱で夫を亡くした女性を言葉巧みに惚れさせて行動を共にしながら情報収集させたり、貴族の奥方に仕える侍女を色仕掛けで落として其処から情報収集させるとかありますよ」

「息子よ。かなりあくどい事を思いつくな」

「……だから、言いたくなかったのに……」

 曹昂は不満そうに呟いた。その呟きを聞いた曹操はふと思い訊ねてきた。

「一応、聞くが。貂蝉はそういう事をさせるつもりで買ったのか?」

「そんな訳ないじゃないですか。それに父上が勝手に貂蝉を買ったんでしょう」

 実のところ、貂蝉にそういう仕事をさせようかと思いはしたが、あんなに自分を慕っている子に情報収集させる為に身体を売れと言うのは酷だと

思いそんな事をさせるのは止めた。

 そういった任務をさせるのは奴隷でもそういう訓練をした者達にさせる事にした。

「おほん。最後の部隊はこれは暗殺、破壊工作、潜入、情報操作などの任務を行う部隊です」

「息子よ。暗殺と潜入と破壊工作はまだ分かるが、情報操作とは何だ?」

「偽情報を流したり、嘘の情報を流して相手を攪乱させたりする事です。後、この部隊は性質上、戦闘する事があると思うので特殊な装備も持たせます」

「特殊な装備? どんなのだ?」

「まだ試作段階ですが。こんなのとか装備させます」

 曹昂は懐から短刀を出した。

 その短刀は良く見ると、柄の部分が円筒形をしていた。

 鍔の部分の代わりに突起があった。

「それは短刀のようだが?」

「まぁ、見ていて下さい」

 そう言って曹昂は史渙に手で合図をした。

 すると、史渙は一礼して離れると矢の的を持って来た。

 的を地面につき刺すと史渙は離れた。

 曹昂は的から四十歩ほどの距離で止まり短刀を突き出した。

 そして、突起の部分を指で横に動かすと。

 タン‼

 その音と共に短刀の刀身部分が的の中心に当たった。

「「「なっっっ⁉」」」

 曹操達は今見た物に刺されたような衝撃を受けた。

 まさか、刀身が放たれるとは思いもしなかったからだ。

「最後の部隊はこういった装備を持たせる予定です。ですので、それなりに戦闘も出来て尚且つ隠密行動も出来る部隊を創るつもりです」

「昂。それよりも、今、どうして刀身が放たれたのだ‼」

 曹操は刀身が飛ぶという自分の目で見ても信じられない光景を見て驚きのあまり訊ねた。

「秘密はこれです」

 曹昂は隠す事無く、柄の中を見せた。

「これは弾機(バネ)ではないか」

 前に馬車に取り付けて振動を和らげる為の物が柄の中にあった。

「そうです。この弾機の力で押し出されて刀身が飛んだのです」

 突起の部分は留め金であった。その留め金を横に動かす事で刀身が飛んだのだ。

 前世で偶々見たミリタリー特集で出た特殊部隊で使っていたナイフの構造を覚えていたので再現したのだ。

「成程。弾機というのは凄いのう」

「初めて見ましたが、これほどの物とは」

「見事だ」

 曹操達はその短刀を見て称えていた。

「まだ試作段階ですので、もう少し改良する予定です」

「これでか? もう十分であろう」

「まだ暴発を防ぐための機構が出来ていないので、そこら辺を改良します」

「成程。ちなみに聞くが。普通の剣の刀身を飛ばす事も出来るか?」

「う~ん。試した事がないので分かりませんが、剣の重量とか考えると飛ばすのは難しいと思います」

 短刀で射出できたのはあくまでも刀身が短いから出来たのであって、長かったら恐らく射出されない可能性が高かった。

「そうか。流石に難しいか」

 曹操もそれほど期待していなかったのか、特に何も思っていない顔をしていた。

「とりあえず、これで部隊の説明は終わりです。後はその麻山殿に部隊の総隊長か。もしくは推薦する人を隊長にしてもらえますか」

 曹操が麻山に訊ねた。

 麻山は直ぐに返答しないで少し考えた。

「仮に儂が隊長になったら、あの三つの部隊の隊長は儂が決めて良いのか?」

「それは勿論、お任せします」

「ふむ。分かった。引き受けるに当たって条件がある」

「何でしょうか?」

「今度こそ、孟徳殿は約束を破らない様にして貰いたい」

「約束?」

 何か約束をしたのかと曹操に目で訊ねる曹昂。

「ああ、あの件か。それについては、今度こそ守ると誓おう」

「その言葉に偽り無いか?」

「無い」

「……では、その諜報部隊の総隊長の任を引き受けた」

 麻山が引き受けたので喜ぶ曹操。

 そんな曹操の袖を曹昂は引っ張った。

「何の約束をしたのですか?」

「いや、前に協力してもらう代わりに領地を貰ったら浮屠の寺院を立てると言う約束の話をしただろう。私が領地を貰う前に官職を退いた事を指摘したんだろう」

「ああ、成程」

 言われて納得した曹昂。

 流石に何も言えなかった。

「おほん。息子よ。その部隊の名前は何とするのだ?」

「そうですね。浮屠の教えに関する名前にしたいと思いますので、卞遠様。何かありませんか?」

「は、はぁ、私が名付けても宜しいのですか?」

「別に構いません。良いですよね。父上」

「うむ。別に構いません」

「儂も同感だ」

 皆、賛成なので卞遠は「少々お待ちを」と言って考え出した。

「…………三毒というのは如何ですか?」

「? すいません。どういう意味ですか?」

「ああ、失礼。浮屠の教えの中で身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働き(汚れ)の事を煩悩と言います。その煩悩の中で最も根本的な三つの煩悩の事を三毒と言うのです。ちなみに、煩悩の事を毒と例えているのです」

「ほぅ、成程。三つ部隊あるしな。三毒。良い部隊名ではないか」

「ちなみに、それぞれ貪・瞋・癡と言いまして、それぞれ象徴する動物もおります。貪は鶏。瞋は蛇。癡は豚を象徴としています」

「あっ、それいいですね。各部隊の隊員には服か持ち物にその象徴となる動物の彫り物か描かれた物を持たせるのです。それが身分証明になりますから」

「悪くないな。では、それぞれの部隊は毒鶏。毒蛇。毒豚。としよう」

「そうやって聞くと強いんだか強くないんだか分からない部隊名ですね」

 曹昂からしたら蛇はまだ分かるが、鶏と豚では何かパッとしない感じがした。

「では、鳥にするか? 毒鳥になるな」

 曹操も言われてみるとそんな感じがしたので少し解釈を変えた。

「それだったら鴆にしませんか?」

 鴆とは古文献に記述が現れている猛毒を持った鳥の事だ。

 文献にこそ出ているが、曹昂は見た事は無かった。

「鴆か。悪く無いな。では、もう一つは毒猪か?」

「何かこっちの方が強い感じがしますね。見た目変わらないのに」

「良し。決まりだ。どの部隊が、お前がこれから作る部隊にするかは初大殿と話をして決める様に」

「分かりました」

「承知」

 こうして、曹操の諜報組織『三毒』が組織された。

 後の史書に『曹操、史渙に命じて盗みの腕が立つ者を数十人集めて、禄を与えて麾下に加える。その者達を見た卞遠は三毒と名付ける。それにあやかりその者達は鴆、蛇、猪のどれかの標章が描かれた物を持つ。取り纏め役として麻山に彼らを預ける。これにより、魏武は影を得たり』と書かれる様になった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  曹昂は武芸を鍛えないのかな?鍛えるなら創作といわれてる(呂布は使っていない)方天画戟を使って欲しいな。  ちょうせんを使わなくてよかった。呂布は史実のほうでいくのかな?
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