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仕上げにもう一つ

 劉辟が起こした反乱は燎原の火の様に広がって行った。

 汝南郡の殆どの県は劉辟の支配下に入ってしまった。

 その対応で、荀彧はてんてこ舞いであった。

「報告! 新蔡県に劉辟の反乱軍が攻め込み陥落しましたっ⁉」

「報告! 平輿県が攻撃を受けているので、陽安県に居る李通様より使者が参りました!」

 次から次へと流れ込んで来る報告に荀彧もどうするべきか頭を悩ませていた。

「一刻も早く劉辟を討ち取らねばならないのだが、その為には兵を送らねばならない。しかし、現状では送り出せる兵は・・・」

 話しながら荀彧はチラリと横に居る部下を見た。

「許昌に居る兵は八千程です。其処から兵を出すのは無理があります」

 部下がそう報告するのを聞いた荀彧はどうしたものかと溜め息を吐いた。

 そう頭を悩ませている所に、部下が荀彧に『陳留侯が参りました』と告げて来た。

 その報告を訊くなり、荀彧は身嗜みを整えた。

 それほど高い官職を持ってはいないが、仮にも主筋の子に面会するという事で無礼な態度は取れないと思った様だ。

 身嗜みを整え終えた後、部下が曹昂を通した。

 曹昂が通された後、部下達は一礼し部屋を出て行った。

「先生。お疲れの様ですね」

 荀彧の顔を見るなり、そう労わる曹昂。

「お恥ずかしい限りです。丞相から留守を預かっていると言うのに、汝南郡で反乱が起ころうとは」

「起きたものは仕方がない事です。そう気を落とさずに」

 荀彧は申し訳なさそうに言うと、曹昂は問題無いとばかりに手を振る。

「とは言え、このままにしておけば。いずれ、許昌まで反乱軍の手が届くかも知れません。此処は兵を出して、その勢いを削ぎ、父上に援軍を乞うのが良いと思います」

「うぅむ。現状ではそれしか手がありませんな」

 荀彧は唸りながら、曹昂の提案に乗った。

「できれば、腕が立つ者が欲しいですね。そうであれば、反乱軍も士気が落ちるでしょうし」

「腕が立つですか。典韋か許褚のどちらかですか?」

「二人は父上の護衛ですから。そうですね、此処は関羽殿あたりが良いですね」

「・・・・・・しかし、若君。貴方の配下には呂布を始めとした趙雲、高順と言った剛の者がおります。その者達を連れて行くだけでも十分では?」

 荀彧は関羽を連れてきて欲しいという理由が分からず、曹昂に訊ねた。

「・・・・・・そうだな。先生には話しても良いか」

 曹昂はそう呟いた後、荀彧に近付き話し出した。

「実は、この反乱は私が起こしました」

「なんとっ⁉」

 曹昂の口から出た言葉に、荀彧は寝耳に水の出来事であった。

「汝南郡で暴れている劉辟は以前、捕まえて部下にしておりました。それほど高い地位に就かせなかったのですが、目は掛けておりました。そして、その者に反乱を起こすという指示を出すと、汝南郡に居る袁紹と親しい者達は続々と蜂起したのです」

「・・・・・・若君は汝南郡に居る袁紹と繋がっている者達を炙り出すために、劉辟に反乱を起こさせたのですね?」

「その通りです。まぁ、私がしなくても、袁紹の意を受けた誰かが反乱を起こしたでしょうけどね」

「この状況を見ますと、恐らくそうでしょうな。して、若君はこれからどうするおつもりで?」

「豫洲から袁紹派の者達を駆逐します。その為に関羽が必要なのです」

「其処まで関羽が必要ですか。・・・・・・分かりました。私が丞相に申し出てみます」

「お願いします。先生」

 荀彧に頼んだ後、曹昂は部屋を後にし、劉巴、趙雲、高順、呂布、刑螂と五千の兵と共に汝南郡にいる李通の元へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] わざわざ関羽を名指しして事に当たらせるとは…また悪だくみの一手だろうか(褒め 袁紹派を関羽が刈り取る→袁紹歯ぎしり→耳長アニキの立場が悪くなる っていう事かな?
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