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計画始動

 十数日後。


 孫策が死んだ事を告げる使者が許昌に来た。

 使者は孫策の遺言で、後を継ぐのは弟の孫権だという事を報告してきた。

 曹操の留守を預かっている荀彧は話を聞き終えると「直ぐに丞相に文を送るので、それまで返事をお待ちいただきたい」と告げて下がらせた。

 荀彧が使者の応対をしている頃、曹昂は別室で顧雍と共にある者達と面会していた。

「お初にお目に掛かります。私は陸遜。字を伯言と申します」

 曹昂の前で跪いている男の一人がそう名乗り頭を下げた。

「これはご丁寧に。揚州から許昌まで遠かったでしょう」

「いえ、揚州に居る事に比べたら、大した苦労ではありません」

 曹昂が大変だったのではと、訊ねると陸遜は問題ないと言っていた。

(ふむ。これは揚州はかなり混乱している様だな)

 陸遜の話しぶりからそう判断する曹昂。

 ちなみに、この場には陸康の子の陸績も居るのだが、陸績は何も言わなかった。

 陸遜の方が五歳程年上という事で後見人を務めていた。

 その後見人の陸遜が対応しているので、何も話す事は無いと思い黙っている様であった。

 余談だが、陸遜は今年十七歳になったばかりであった。

「それは大変であったな。お疲れであろうから、用意した館で休まれよ。何か足りない物があれば、顧雍殿か私に一言言ってくれれば用意するので、何なりと申して貰いたい」

「重ね重ねのご厚情に嬉しく思います」

 陸遜が頭を下げると、後ろにいた陸績達も頭を下げた。

 その後、少し話した後、陸遜達は顧雍の案内で用意されている館へと向かった。

 部屋には曹昂だけとなったので、一息つこうと椅子に座った。

 茶でも飲もうかと思っていた所に三毒の者が音も無く、曹昂の前に現れた。

「ご報告申し上げます。陸氏一族が都に来たという話を聞いた様で、呉郡張氏の張允。朱氏の朱桓も都に来る模様です」

「はははは、そいつは良い。これで登用できれば文句無しだな。揚州の様子は如何だ?」

「かなり混乱しております。孫策が死んだ事で支配下に抑えていた江南の殆どが反旗を翻しました。その混乱により、多くの人が揚州から逃げております」

「まぁ、殆どの者達は孫策の剛勇に恐れて従っていたのだから、孫策が死んだ以上、反乱を起こすのも無理ないな」

「加えて、孫策に従っていた山越の潘臨という者が揚州各地で暴虐を働いているという報告も入っております」

「山越。確か江南の異民族の総称だったな」

「はい。孫権もその者達の鎮圧に手を焼いているそうです」

「異民族を従えるというのはかなり難しいからな。まぁ、揚州は暫く大変だな」

 曹昂は他人事のように言う。

 其処まで話していると報告に来た三毒の者が話し掛けて来た。

「殿。お聞きしても良いでしょうか?」

「何かな?」

「孫策を暗殺すると言うのであれば、ついでに孫権を暗殺しても良かったのでは? そうすれば、揚州は更に混乱すると思うのですが」

「ふむ。確かにそうかもしれない。でも、そうすると一つ問題がある」

「問題ですか?」

「ああ、孫策はまがりなりにも揚州を治めていた。その孫策が死んで後を孫権が孫家を継ぐのは道理だ。そして、孫策と孫権が死ねば、孫家は揚州を治める力を失うだろう。そうなれば、どうなると思う?」

「・・・恐らく揚州各地に居る有力豪族達が割拠する様になるでしょうね」

「その通り。今こちらは揚州に手を出す余裕は無い。そんな揚州を放置していたらどうなる事やら、下手をしたら劉表が攻め込んで来るかも知れない」

 劉表の性格から考えると有り得ないかも知れないが、万が一という事も考えられたので、曹昂は孫権は暗殺をしないように命じていた。

「成程。差し出がましい口を挟んでしまい失礼しました」

 頭を下げる三毒の者を見て、曹昂は手を振る。

「疑問に思うのも無理ないからな。他に報告は?」

「ありません」

「そうか。下がれ」

 曹昂が下がれと命じると三毒の者は音も無くその場を離れた。

 

 数日後。


 許昌に居る曹昂の屋敷にある曹昂の自室。

 その部屋には、曹昂の他に三毒の者が居た。

「子脩様。例の計画が間もなく開始します」

「そうか。後はこちらの思惑通りに行けばいいがな」

「断言は出来ませんが、上手くいくと思います」

「そうか。さて、後は知らせを待つとするか」

 曹昂は茶を飲んだ。

 

 数日後。

 劉辟が汝南郡で反乱を起こすという報告が曹昂達の元に届いた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 呉の人材引き抜きはそのまま続けよう。 出来れば賀斉を引き抜きたいが、無理かな
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