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頼りになる留守居役

 顏良軍が離れて行くのを城壁から見る程昱。

 予想通りにいき、安堵の表情を浮かべながら顎髭を撫でた。

「ほほほ、予想通りだ。上手くいったわ」

 如何に重臣が守る城であろうと、数百の兵しかいないのであれば落とす価値も無いだろうという程昱の予想が当たり、城を守る兵達は歓声を上げた。

「太守。これから我等はどうするのですか?」

「殿が兵を率いて来るまでこの城で待つとしよう」

「敵の後背を突かないのですか?」

 兵の問い掛けに程昱は首を振る。

「七百の兵しかおらんのだ。この城を守るのも兵が必要じゃ。其処から選ぶとしたら、かなり少ない兵しか率いる事しか出来んよ。その程度で攻撃しても敵の被害なんぞたかが知れておる。それに攻撃されれば、敵も計略だったと分かり取って返してこの城を攻め込んでくるじゃろう。そんな事をされては、何の為に通過させたのか分からなくなるぞ」

「その通りですが、このまま陳留郡に行かせても良いのですか?」

 兵の疑問に程昱は微笑んだ。

「なに、大丈夫じゃ。娘が選んだ婿が守る土地じゃ。備えぐらいはしておろう」

「確かにそうですね。何せ、丞相の信任が厚く自慢の御子息ですからね」

 程昱の話を聞いて兵も然もありなんと頷いた。

 兵が話すべき事を終えたので、一礼し離れて行く。

 兵が離れて行くと、程昱は陳留郡の方を見ながら考えていた。

(さて、婿殿はどの様な対策を練っているのやら)

 曹昂が徐州に赴く際に通り道という事で程昱が居る鄄城県までやって来た。

 その際に曹昂は程昱にこう話した。

『私が徐州に赴いている間、陳留郡以外の郡の対処はお任せします』

『承知しました。それで、陳留郡は誰に守りを就かせるのですか?』

『呂範に任せますのでご安心を』

『呂範ですか。まだ、仕えてそれほど経っていない者ですが、大丈夫でしょうか?』

『裏切る心配は無いでしょう。まぁ、その手腕にご期待して下さい』

 曹昂が自信満々に言うので、それだけの才があるのだと思い程昱は見ものだと思っていた。


 鄄城県を通過した顔良軍は河を渡り、陳留郡に入った。

 其処から一番最初に目に入った県を落とそうと意気込む顔良。

 暫く進軍していると、長垣侯国を見つけると其処に攻撃する準備を整える顔良軍。

 その様子を城壁から見る呂範。

「ようやく来たか。この地に攻め込んだ事を後悔させてやる」

 意気込む呂範に一人近付いて来た。

 年齢は二十代であったが、立派な風貌をしていた。

 伸ばしている口髭もキッチリと整えてられていた。

 身長も八尺(約百八十センチ)はあった。

「呂範殿。準備が全て整いましたぞ」

「ありがたい。では、城の守りは任せましたぞ。衛臻殿」

「心得た」

 呂範に一礼する衛臻。

 この者は反董卓連合軍の際、曹操に協力し戦死した衛茲の息子であった。

 曹操が丞相に就任した際、戦死した衛茲の旧功を改めて賞し、関内侯の爵位を与えた。

 同時に長垣県を封地に与えた。

 これにより、長垣県は長垣侯国となった。

 侯国とは別名列侯国と言われており、皇族や列侯に封建された県をそう呼ばれる。

 呂範は顔良軍が城攻めの準備をしている最中で城を出て、何処かに向かった。

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