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401/1006

驕っていた様だ

 十数日後。

 彭城陥落し、車冑討たれる。

 その報を届けに来た兵が曹昂の下に来た。

「何っ⁉ 車冑が討たれた⁉」

 その報を大広間で聞いた曹昂達は驚いた。

 中でも一番驚いたのは曹昂であった。

「どうして討たれた⁉ まさか車冑は功欲しさに城から打って出たのか⁉」

 そうでなければ、まず討たれる事は無いと思い曹昂は報告をしてくれた兵に訊ねた。

「いえ、車冑将軍は関羽達が攻め込んできた時は城から出ず、矢を射かけるだけでした。しかし、彭城国の相でした糜芳が不意を突いて車冑将軍を襲い、討たれました」

「つまり、糜芳が裏切ったと言う事かっ?」

「そうなります」

 兵の報告を聞いた曹昂は天を仰いだ。

(まさか、糜芳が関羽達を助けるために動くとは。てっきり、見殺しにすると思ったんだけどな……)

 曹昂の中では糜芳は状況次第で裏切る者だと思っていた。

 てっきり、陳登は劉備を助ける為に動いても、糜芳は動かないだろうと思い込んでしまった曹昂。

(…………意外な伏兵が居たな。まぁ、状況的には特に困っては居ないんだよな)

 徐州北部である東海郡は曹昂の支配下に収まっている。琅邪国も臧覇が支配している。

 残りの三郡は彭城国と広陵郡と下邳国だが、車冑から徐州を奪ったばかりなので確実に支配下に治めたとは言えず不安定であった。

 その為、今直ぐに攻めれば徐州を奪い返す事は可能であったが、問題は兵の数であった。

「劉備軍の数はどのくらいになっている?」

「劉備軍は彭城に駐屯している車冑軍三万も取り込みましたので、約八万と思われます」

「八万か……」

 曹昂軍も後続が到着し、臧覇軍の援軍が来た事で兵の数は四万になっていた。

「我が軍の二倍という事か」

「これは簡単に打ち破れぬな」

 兵の数を聞いた呂布と張燕達が難しそうな顔をしていた。

「殿。如何なさるのですか?」

 趙雲は曹昂が何も言わないので、何か考えがあるのだろうと思い訊ねた。

 曹昂は目を瞑り何かを考えている顔をしていた。

「…………車冑は討たれたが、まだ挽回は出来る。これより、徐州奪還を行う」

「「「はっ」」」

 曹昂がそう宣言すると呂布達は一礼した。

「張燕」

「はっ」

「其方には一万の兵を与える。広陵郡を制圧せよ」

「承知しました。劉備軍と出くわした場合はどうしますか?」

「戦わないで良い。広陵郡に兵を出したとしても、一万から二万しか出さない筈だ。戦わないで、敵の後方を攪乱させれば良い」

「分かりました。他に何かありますか?」

「制圧した県の扱いは、略奪禁止。行った者は誰であろうと斬ると厳命すれば良い」

「承知しました」

 曹昂の命を聞いた張燕は一礼しその場を離れた。

「趙雲」

「はっ」

 家臣の列から趙雲が前に出た。

「弓騎兵千騎与える。その者達を率いて、彭城に向かえ」

「……それは、攻撃しろという事ですか?」

 数が違い過ぎると思いながら訊ねる趙雲。

「違う。敵を動揺させる策を行う」

「策ですか?」

 趙雲は千騎だけで行う策と聞いて、どんな策なのか分からず首を傾げていた。

「即効性は無いだろうけど、後になって効果が表れるだろうな。多分」

 曹昂が曖昧な事を言うのを聞いて、趙雲は少しだけ不安になった。

 だが、任された以上は職務を全うするのが武人の務めだと思い、気合を込める趙雲。

「何なりとご命令を」

「まぁ、する事は矢文を放つだけなんだけどね」

「矢文ですか?」

「そう。文の内容は」

 曹昂は文の内容を語りだした。


 話すべき事を終えたので、家臣達は準備の為に部屋を出て行った。

 部屋には曹昂と程丹だけしかいなかった。

「旦那様。お聞きしても良いですか?」

「何だい?」

「どうして、趙雲を行かせたのです。呂布を行かせても良いと思いました。相手を怒らせるという意味ではうってつけだと思います」

「……いや、呂布を行かせると張飛辺りが追撃しそうな気がするから」

 話を聞いて、張飛の性格なら有り得るなと思う程丹。

「まぁ、飽くまでも敵を動揺させるのが目的だからね。あまり怒らせても、逆効果になるかもしれないからね」

「でしょうね」

 程丹も曹昂の言葉に同意した。

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトル奢るじゃなくて驕るですね
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