表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

367/1007

下邳県へ

 彭城より撤退した呂布は近くの呂県に向かったのだが、其処も既に陳珪の手が回っていた様で入城する事が出来なかった。

 呂布は歯噛みしたが、別の場所へと向かった。

 その際、彭城に居た一族の者達と合流した。

 一族の者を護衛していた兵の話を聞いたところ、陳珪が敵が攻め込んでくる可能性があるので、守りが固い下邳県へお移りする様に命じられたと述べた。

 それを聞いて呂布は怒りに震えたが、陳宮はこれ幸いとばかりに下邳県に向かうように進言した。

「しかし、其処も陳珪の手が回っているのではないか?」

「そうかも知れません。ですが、下邳県であれば大丈夫でしょう。あそこは殿の側室の御父君であった曹豹が治めていた郡で、最期の場所でした。あそこであれば曹豹の親戚や知人もいるでしょう」

「そうかのう……」

 陳宮がそう言うが、呂布は完全に疑っていた。

 とは言え、他に行く宛てが無いのは確かなので、取り敢えず下邳県に向かう事にした。

 城に着くと、県を守っていた県令は曹豹の親戚であった。

 呂布に対しては袁術が攻めて来た時に援軍を送らなかった事で、曹豹が戦死してしまったので不満はあったが、曹豹の娘が側室であったので、親戚の縁という事で迎え入れてくれた。

 

 呂布が下邳県に入城している頃。

 ようやく、曹操軍が彭城に到着した。

 彭城を守っている陳珪、陳登親子が曹操を出迎えた。

 そして、関羽と張飛は劉備と再会する事が出来た。

 三人は無事である事を涙を流しながら喜んだ。

 その夜。城の大広間にて宴が開かれた。

 妓女こそいなかったが、皆酒と食事に舌鼓を打っていた。

 上座には曹操と劉備が並んで座り、楽しく談笑していた。

 その席から少し離れた所で、関羽と張飛が並んで席に座り酒を飲んでいた。

「……んぐ、んぐ、ぷっは~、生き返るぜ~。戦い終わった後に飲む酒は格別だな」

 盃を勢いよく呷り喉を潤す張飛。

 直ぐにお代わりを注いでもらい、酒を呷っていた。

「張飛。飲むのは程々にせよ。飲みすぎると、戦に支障が出るぞ」

「分かってるよ。そんな事ぐらい」

 張飛が飲むのが速いので関羽が窘めた。

 窘められた張飛はゆっくりと味わうように飲み始めた。

「それにしても二人共。よく無事であったな」

「はっ。呂布軍の攻撃から逃げている最中、張飛と出会いまして、其処からどうしようかと思っている所に、運よく陳登殿と会いまして、それで行動を共にしたのです」

「兄者こそ、無事で何よりだったな」

 劉備達は再会できた事を喜び酒を飲んだ。

 宴は夜が更けるまで続いた。


 翌日。

 曹操は呂布が逃げた先を調べさせつつ、軍勢を整えていた。

 其処に先発させて何処に居るのか分からなかった夏候惇率いる軍が彭城に向かっているという報告が齎された。

 その報告を聞いた曹操はわざわざ城の外まで出て夏候惇達を出迎えた。

 夏候惇は自分が率いる軍が城に到着すると、曹操が城の外で待っているのを見ると、夏候惇は部下と共にで馬を進ませて曹操の下まで来た。

 ある程度近付くと、馬から降りて手綱を部下に預け、曹操の前で膝をついた。

「殿。徐州に着陣し、無事彭城を奪う事が出来た事をお祝い申し上げます」

「ああ、そうだな」

 夏候惇と言葉を交わしつつ、曹操は夏候惇の左目が布を巻かれている事が気になっていた。

「夏候惇。その目は何とした?」

「はっ。不覚を取り失いました。その所為で、劉備の救援が出来ませんでした。どうか、お許しを」

 夏候惇が額がつかんばかりに頭を下げた。

 それを見た曹操は手を振る。

「命に別状ないのであれば良い。これから軍議を開く。お主も参加せよ」

「はっ。承知しました」

 曹操に連れられ夏候惇は城内に入って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ