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戦いは

 陳留を出立した曹昂軍は南下し許昌へと向かう。

 先頭に曹昂が、その側には程丹の姿があった。

「連れて来た兵ですが、少なくありませんか?」

 程丹が後ろを振り返りながら、曹昂に訊ねた。

「あまり兵を連れて行っても治安が乱れるかも知れないからな。これぐらいで十分だ」

 加えて劉巴と刑螂を残してきたので、安心できると思う曹昂。

「そうですか。しかし」

 後ろを見た際、見慣れぬ武器を持った兵達が居たので、気になっていた程丹。

 其処を訊ねようとしたら、曹昂は自分の口に指を当てた。

「今は秘密。その内、見せるから」

 と言った後、曹昂は黙って前を向いた。

 それを見て訊ねても無駄と察した程丹はそれ以上何も訊かず前を見た。


 数日後。


 曹昂達は許昌へと辿り着いた。

 曹操の下へ挨拶に向かったが、部屋に入ると鎧を纏った曹操の側に、曹丕の姿があった。

 特注の鎧を身に纏っていた。

 特注と言っても、まだ九歳の曹丕に見合うように作られたという意味での特注であった。

「あっ、兄上。この鎧はどうですか⁉」

 鎧を纏った曹丕は楽しそうな顔を浮かべながら、曹昂に訊ねた。

「……とても、よく似合っているよ」

「そうですかっ」

 曹昂が似合っていると言うと、曹丕は顔を綻ばせた。

 そんな弟の頭を撫でながら、曹昂は曹操を見た。

「父上。丕が鎧を纏っているのは、何故ですか?」

「ああ、今回は丕も連れて行くつもりだ」

「っ⁉ その様な話、聞いておりませんがっ」

「今言ったからな」

 曹操の物言いに、曹昂は目をヒクヒクさせた。

「……丕はまだ九歳ですよ。流石に早すぎます」

「何を言う。お主も九歳で実戦を体験したであろう。別段、遅くはなかろう」

 曹操は問題ない様に言うが、曹昂は流石に無理なのではと思い口を挟んだ。

「私の時とは状況が違います。それに卞夫人には言っているのですか?」

「あいつに言ったら『これも良い経験だから頑張って来なさい』と言っていたぞ」

 それを聞いた曹昂は卞蓮は意外に放任主義なのかと思った。

(……しかし、そう考えれば、弟達も両極端なのも頷けるか)

 曹丕のすぐ下の弟で武芸に秀でているが、学問が得意ではない曹彰。

 曹丕の二番目の弟で世の人々の評判になって知れ渡る程の有名な詩を書いているが、武芸に関しては全く話に上がらない曹植。

 あまりに両極端なので、放任したのではと言われた方が納得できた。

「ちなみに母上は?」

「薔は、流石に無理ではと言ったが、聞き流した」

「……聞き流さなくても良いのでは」

「お前も連れて行くなと言うからな、ふん。後継者を連れて行く必要などないと言ったが、別に其処まで大変な戦場でもないから問題な無い。あいつも心配が過ぎる」

「母上も万が一の事を考えての発言ですから。それで、どうしますか?」

「たかが女の一声で子を連れて行かぬ訳が無かろう。それに今回は十五万の兵を揃えたのだぞ。調べたところ、相手は精々二~三万程度。負ける筈が無かろう」

「油断しない方が良いと思いますが」

 曹昂は忠告するが、曹操は溜め息を吐いた。

「やれやれ、お前も母親に似て心配性だな」

 曹操は呆れたように呟くが、曹昂からしたら、その油断が命に係わるのでそう言うしかなかった。


 それから更に数日後。

 曹操は献帝に張繡討伐の詔を賜り、許昌を出陣した。

 許昌より南下する曹操軍。

 南陽県近くで、張繡軍が待ち構えていたが、先鋒の許褚が難なく撃破した。

 その軍を率いていた部将の張先と雷叙は許褚と一騎打ちをしたが、数合交えず討たれた。

 将が討たれた事で張繡軍の兵達は撤退した。

 軍が居なくなった南陽県を曹操は何の支障も無く占領した。

 暫し休息した後、張繡が居る宛に向かう予定であった。

 其処に張繡から使者が送られてきた。

 その使者は降伏の申し出をしてきた。

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