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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第五章

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曹昂から見た劉備の評価

 数日休養を取った曹昂軍は北上した。

 進路上にある海西県を降伏させ、守備兵を軍に組み込み城に備蓄されていた食糧の半分を奪い北進した。

 郡境を越えて東海郡に入ると、進路上の胊県の城を包囲し降伏させた。

 その勢いのまま襄賁、祝其、利城、厚丘県の城を降伏させ、それぞれの城の守備兵と食糧の半分を奪っていった。

 厚丘県の城を落した頃には兵は九万に達していた。

 曹昂は九万の軍勢を率いて郯県へと進軍し包囲した。

 城を包囲しているのを見ながら曹昂達は本陣で軍議を行っていた。

「密偵からの報告では、郯県には劉備が義弟関羽、張飛と曹豹と一万二千の兵と共に駐屯しているとの事です」

 用意されている席に座っている者達の一人である劉巴が城の内情を話した。

「一万か。我らは九万。このまま攻撃しても容易に落ちるであろうな」

「では、総攻撃をするべきだな」

 于禁が戦力差を比較して、城を攻めても問題無いと言うと、朱霊もその意見に賛成なのか総攻撃をするべきだと意見した。

「だな。包囲しても降伏するか分からない以上、此処は攻めるべきだ。そうだろう。曹昂」

 孫策も城を攻撃すべきだと進言した。

 だが、曹昂は首を振る。

「確かに我が軍の方が兵力は多い。だが、敵も必死に守るだろう。強攻しても落とせるかどうか分からない。それに城を守っているのは劉備だからね。そう簡単に落とせないだろうね」

 曹昂が劉備の名前を挙げると、孫策達も唸った。

 黄巾党の戦いから今日に至るまで歴戦の雄にして、義弟関羽と張飛と共に虎牢関で呂布と戦い互角に渡り合った事は有名であった。

「今は亡き我が殿孫堅様も劉備殿の事は高く評価していた。一軍の将として素晴らしい才能を持っているとおっしゃっていた」

 孫策のお供として付いて来た程普が生前の孫堅が言っていた劉備の事を話した。

 孫堅の評を聞いて、刑螂が声を張り上げた。

「如何に劉備と言えど、我が軍の方が多いのです。強攻しても問題無いと思いますっ」

「確かにな。敵を侮ったら駄目だが、敵を過剰に恐れても良い事は無いな」

 刑螂の言葉に孫策も同意するように頷き、曹昂を見た。

「曹昂。俺に兵を一万くれ。今日中に城を落としてやるっ」

 気炎を吐く孫策。

 側に居る程普は頼もしそうな不安そうな複雑な顔をしながら孫策を見た。

「焦らない、焦らない。僕は劉備の弱点を知っているから、問題無いよ」

 曹昂が劉備の弱点を知っていると言うので、皆驚いていた。

「それは一体、何なのですか?」

 朱霊は興味津々で訊ねると曹昂はすんなりと答えた。

「劉備は勇あれど智無し。武略はあれど軍略は無いのさ」

 曹昂の評を聞いて孫策と刑螂以外の者達は感心していた。

「曹昂様は劉備に会った事がお有りで?」

「ある。更に言えば、戦った事もあるし、勝利したよ」

 曹昂が胸を張って言うと皆感心していた。

(嘘は言っていない。公孫瓚と袁紹との戦いで劉備は公孫瓚に援軍に行った。僕は袁紹の援軍に行って、袁紹軍を勝利させたのだから)

 直接は戦ってはいないが勝ったのは本当であったので、嘘は言っていないなと思う曹昂。

「あのさ、さっき言った武略と軍略って何?」

 孫策が分からなそうな顔でそう訊ねると刑螂も分からないのか、孫策と同じ顔をしていた。

 程普は孫策達にどう言えば分かるだろうかと考えていると、曹昂が口を開いた。

「簡単に言うと、武略は戦っている時の駆け引き。軍略は戦いに勝つ為の計略って考えれば良いよ」

「……えっと、つまり武略が陣形とかの手段で、軍略が戦いに勝つ為の方法ってところか?」

「う~ん。まぁ、そんなところかな」

 概ね合っているので、曹昂はそれで良い事にした。

「成程。そう考えれば良いのか。ちなみに聞くけどよ。お前の父親の孟徳殿は如何なんだ?」

「父上? う~ん。そうだな」

 孫策にそう訊ねられて曹昂は少し考えた。

 その場にいる者達も曹操の息子がどう評するのか気になり耳を傾けていた。

「父上は……武略も軍略もあるけど、智あって勇無しだね」

 曹昂は曹操の事をそう評した。

 曹昂からしたら曹操は自分を守るぐらいの武芸はあるだろうが、猛将と言える程の武勇は無いと思っていた。

 以前、揚州で兵を募っている最中、兵が反乱を起こした時、曹操は剣を持って反乱した者達をバッタバッタと斬り殺したと胸を張って曹昂に言っていた。

 曹昂はその話を聞いた瞬間、嘘だと思った。

 そして、どうしてそんな事を言うのかと思い考えたところ、兵は反乱を起こしたが、自分の武勇は優れていると見栄を張りたいのだと推測した。

 そう思った瞬間、曹昂は何も言わず生暖かい目で曹操を見ていた。

「頭も切れるし武略も軍略もあるのは分かるけど、勇無しかな?」

 孫策は其処は如何なのだろうと思い訊ねた。

「だって、父上で武勇に関する話聞いた事がある?」

 曹昂はそう訊ねると、訊ねられた皆は言われてみるとそう言った話を聞いた事があったかなと思い出した。

「ああ、董卓を暗殺しようと単身で乗り込んだ事がありましたが、これは勇があると言えるのでは?」

 朱霊が思い出したのでそう言うと、曹昂は苦い顔をした。

「それ失敗して、剣を献上して逃げたんだよ。機転を利かせているから、智でしょう。更に言えば、その後の後始末を僕に押し付けたんだよ。あの時は本当に死を覚悟したよ」

 董卓の暗殺に失敗した曹操は家族には何も言わず洛陽から逃げ出したので、その後曹昂が董卓の元に赴き弁明した。

「あの時は、対応を間違えたら殺されていたよ。本当に」

 今思い出しても苦労したと思う曹昂。

「……でもよ。それがあったから、お前は、あたしと出会ったんだから、そんなに悪くはないだろう……」

 董白は言っていて恥ずかしかったのか、顔を赤らめていた。

 そう言われると曹昂も何も言えないのか黙ってしまった。

「オホン。殿。御二人の仲が良い事は分かりました。今は劉備の事で話し合いましょう」

 劉巴が咳払いをすると、曹昂は今の状況を思い出して、頭を掻いた。

「あ、ああ、そうだね。おほん。それで、郯県に関してだけど。此処は計略を使う」

「計略ですか?」

「そう。虎を調(あしら)って山を(はな)れしむの計だよ」

「何だ。それ?」

「今話すから」

 曹昂は郯県攻略の為の計略を皆に話した。

 その話が終わる頃に、郯県から使者がやって来た。

 使者は張飛であった。

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