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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第一章

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20/1013

黄巾党の内情

 光和七年(西暦184年)四月。


 豫州汝南郡。

 其処には黄巾党の者達が駐屯する陣があった。

 その陣の中で一番大きな天幕の中で激論が交わされていた。

「全く一つの県に何時まで手こずっているのだっ」

「そうは言うが、その県の城は守りが固いのだぞ。落とすとしたらかなり時間が掛かる」

「そんな弱気な事を言っているから、落とせんのだっ」

「何をっ」

「やるかっ」

 最初は普通に話し合っていたが、何時の間にか取っ組み合いの喧嘩になりそうであった。

 この会議をしている者達は黄巾党の中でも部隊を率いる『大方』の地位に就いている者達だ。

 黄巾党の内訳は教祖張角を首領とし、その下に弟である張宝、張梁と二人の側近達が作戦の首脳の役割をなしている。

 その下に方という実働部隊を率いる将軍の地位に当たる渠師がある。その渠師の下に方を直接指揮する、つまりは部隊長にあたるのが大方だ。

 ちなみに、この大方の下には中方、小方という地位もある。

 その大方達の話に出ている県とは無論、譙県の事である。

 何度攻めても落とす事が出来ないので大方達は苛立っていた。

「相県、竜亢県、竹県、穀陽県、蕭県、向県、銍県、広戚県、下蔡県、豊県、鄲県、蘄県、虹県、輒与県、山桑県、公丘県、符離県、敬丘県、夏丘県、洨県、沛県、芒県、建成県、城父県、酇県、栗県。豫州の殆どの県は我等の手に落ちている」

「なのに、どうしてこの県は落とせんのだっ」

「現地からの報告だと、矢が雨あられの様に放たれて近付く事が困難という報告が入っているぞ」

「矢など当たっても痛いと感じる程度であろうがっ」

「それが、どうやらその県城には弩が大量に配備されており、近付けば近付く程に被害が増すと。更には珍妙な事に城壁からも矢が飛んでくると報告も入っております」

「はぁ? 何だ。その報告は」

「城壁の上からではなく城壁からだと? 有り得んだろうがっ」

 大方達はそんな馬鹿なと有り得ないと見間違いだと言って、その報告を切って捨てた。

「とは言え、弩を大量に配備されているのでは方の一つを向かわせても簡単に蹴散らされるだろうな」

 方一つに七千から一万人の信者に部隊長である大方は一人。その下にある中方は数人。小方も数十人となっている。

 中方と小方の人数が固定されていないのは、方の人数が規定されていないからだ。

 七千人の方もあれば一万人の方もある。中には八千人の方もある。

「だからと言って、このまま何もしないでいれば波才渠師に申し訳が立たん」

 この頃、波才は潁川で朱儁率いる官軍と激突し敗走させていた。

 破れた朱儁は長社に居る皇甫嵩と合流し長社で籠城した。

 波才は長社を包囲して攻撃を仕掛ける。未だ落城はしていないが奮戦している。

 それなのに自分達は官軍でもない者達が守っている県城を落とせないとあれば物笑いの種だ。

「このままでは我等の面子が丸潰れだ」

「うむ。それは不味いな。このままでは我等の大望が」

 大方達が口にする大望とは張角が言う黄天の世の事ではあるが、少し違う。

 張角達は世直しの為に挙兵したが、此処に居る大方の者達にとっては自分達の生活が良くなるのであれば、漢の世だろうと黄天の世だろうと構わないのであった。

 黄巾党数十万と言うが、その殆どが食い詰め農民と野盗である。純粋に太平道を信仰している者達はそれほど多くない。

「良し。この地に居る方を全て集めてその県城を攻めるとしよう」

「全ては多過ぎであろう。二つで良いと思うが」

「いや、此処は我等の威信を示す為に全兵力でぶつかるべきだ」

「波才渠師から援軍要請が来たらどうする?」

「今のところ、優勢なのだから大丈夫だろう」

「それでもだ。官軍が来てこの地を占領されでもしたら、我等は戻る所を失うぞ」

「確かにそうだな」

 その大方達が話し合った結果。

 譙県に向かう方は四つ。その数三万六千であった。

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