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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第一章

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19/1015

戦場の匂いにやられました

 本作に出て来る曹洪は曹鼎の息子という事にします。

 1石約31キログラム。1斤約258グラムとします。

 夏候惇達が話をしている頃、曹昂はと言うと、

「うう~・・・・・・・」

 寝台の上で横になっていた。

 眠ってはいない。ただ気分が悪いだけだ。

 曹昂も生まれて初めて戦場というものを見ようと興味本位で、城壁の上にある門楼という城門の上に建てられている物の中で見ていた。

 最初は門楼の壁にまで矢がここまで飛んでくるんだという気持ちで見ていた。

 やがて、戦いが終わると辺りには血と汗と臓物の匂いが混じった、何とも形容しようがない匂いが漂った。

 曹昂は生れて始めて嗅ぐ血と臓物の匂いに鼻がやられて気持ち悪くなり、何とか吐き出さない様に堪えていたが、気を失ってしまった。

「全く、屋敷に居ないから何処に居るのかと思ったら、あろう事か戦場の真っ只中に行くとか。今度と言う今度はもう呆れて何も言えませんっ」

 曹昂の看病をしながら怒る丁薔。

 屋敷に居ないので探しているところに、横になって運ばれる曹昂の姿を見て卒倒した。

 目が覚めるなり、曹昂が運ばれてきた理由を聞いて曹昂を看病しながら説教しだした。

 曹昂は看病か説教かどちらかにして欲しいと思いつつも素直に謝った。

「昂。貴方はまだ幼いのだから、無理はしない様に」

「はい」

「それから、後のことは元譲様達に任せて、貴方は屋敷で大人しくしている様に」

「・・・・・・」

「返事は?」

「・・・・・・はい」

 心の中でこっそり抜け出そうと思いながら返事する曹昂。

『失礼。此処に曹昂が居ると聞いて来たのだが』

 部屋の外から声が掛けられた。

 声からして男性の様だ。

「どなたです?」

『曹洪にございます。丁夫人』

 戸の向こうに居る男性が名乗ったので、丁薔は戸の方へ向かい開ける。

 戸を開けて見えたのは少しだけ生やした口髭の男性であった。

 その男性の名は曹洪。字は子廉である。

 曹操とは家系図で言えば従父に当たるが血は繋がっていない。

 曹操の祖父である曹騰の弟の曹鼎の息子だ。

「何の御用でしょうか?」

「昂の機嫌を見に来ました」

「そうですか。でも、寝込んでいるのであまり長時間の話は控えて下さい」

「ああ、分かっている」

 丁薔はそれだけ言って部屋から出て行った。

 丁薔が出て行くのを見送ると、曹洪は曹昂の傍にある椅子に腰を下ろした。

「やれやれ、丁夫人の過保護に参るであろう。昂」

「はは・・・・・・」

 曹昂は笑うだけで何も言えなかった。

 自分の子供では無いのに面倒を見てくれるので感謝しつつも、干渉が強すぎると思うので何も言えない様だ。

「さて、今回の戦いで消費した矢は全部で五百四十七本になる。蔵の中にある矢も心許ないから、そろそろ矢を生産してくれると助かる。次に食料だが。干し肉は五千斤(約千二百キログラム)一万石(約三十一万キログラム)二万石(約六十二万キログラム)。その他の調味料などは纏めて五百斤(約百二十キログラム)になるぞ」

 曹洪が曹昂に武具と食糧について相談するのは理由があった。

 武具に使う鉄は曹昂が作った施設で作られているのと調味料も別の施設で作られていた。

 この時代の調味料は主に(ジャン)を使う。醤とは肉、魚、野菜、穀物などを発酵させた物だ。

 味噌と醤油のルーツと言われる物だ。

 他は酢と塩だ。

 味噌と醤油の作り方も前世で本を読んで知っている曹昂はとりあえず味噌を作る事にした。

 味噌が出来れば醤油も出来るからだ。少し時間は掛かったが出来た。

 豆で出来たので豆醤と名付けて売り出した。水飴に比べると爆発的には売れなかったが、それでも人気がある商品であった。

 酢は酒を発酵させると出来るので簡単であった。とは言え、この時代の酒は酒精度が低いので酢になるのにかなり時間が掛かった。

 流石に塩は出来ていない。だが、その代わりに味噌が有るので問題は無かった。

 製造する者達を取りまとめている曹昂なので、報告するのは当然と言えば当然であった。

 曹洪はそう言って倉を点検しながら書いた竹簡を曹昂に渡す。

「確かに。後で施設に人をやって矢を生産する様に頼みます」

「ああ、頼む。しかし、あんなに武器を生産する所があるとはな。驚いたぞ」

 曹洪達は曹操が発ってから三日後に譙県に着いた。

 曹昂は曹操から事前に、曹洪達が来たら施設を見せろと言われていたので見せた。

 その施設で作られている物を見せると驚く三人。

 今回の戦いで使われた矢の鏃も其処から提出されている。

 また、万が一そこまでの道のりが封鎖される事になっても大丈夫な様にその施設から譙県まで一本に通じる地下通路を作っているので問題は無い。ちなみに、蜂蜜などを作っている施設は現在閉鎖している。

 その所為で蜜蝋のクリームが出来ないので卞蓮が文句を言って来たが、曹昂は何とか宥めた。

「このまま防衛し続けていれば、いずれは官軍が黄巾党を殲滅するだろう。それまで頑張るとしよう」

「はい」

 曹洪の激励に曹昂は元気良く答えた。

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