表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1084/1088

話をしながら

 劉馥が楽進の下から離れた数刻後。


 李典は自分用に用意されている部屋で、一人椅子に座り憂鬱な表情を浮かべていた。

(如何に丞相の命といえど、此度は・・・・・・)

 李典は重い溜息をついていた。

 従父である李乾が張遼が率いる部隊に敗れ戦死した。

 その報告を聞いた時は、最初悲しみよりも戦死した衝撃の方が大きかった。

 後から死んだ事による悲しみが来て、目から涙が溢れ出て来た。

 そして、一族の者達と共に、李乾の仇を取ろうと誓ったのだが、その恨みを晴らす前に張遼が仕えていた呂布が曹操に敗れ降伏。

 張遼もその将才を見込まれて配下に加わる事となった。

 李典達はその裁決に不服であったが、一番恨みに思っている李乾の息子である李整が宥めた事で、李典達は大人しく従う事にした。

 李整が亡くなった後は、同じ主に仕えているとはいえ、怨んでいた。

 何時か、この怨みを晴らすと思っていた所に、此度の命が下った。

(親族の怨みを晴らしたいが。そうなれば、主命に逆らうという事になる。だが、恨みを捨てる事など出来ぬ・・・)

 どうするべきか分からない李典は悶々としていた。

 そんな最中、部屋に劉馥が訪ねて来た。

 何用で来たのか分からなかったが、重要な話でもあるのだと思い部屋に通した。

 部屋に入って来た劉馥は席に腰を下ろした。

「急に来て済まぬな」

「いえ、それで何用で参ったのですか?」

 李典が尋ねると、劉馥は答える前に手を叩いた。

 すると、部屋の外に控えていた者達が一礼し部屋に入って来た。

 その者達は膳を持っており、劉馥達の前に置かれた。

 李典はその膳に置かれている皿に盛られている物を見て、目を大きく見開かせていた。

 皿に盛られているのは、淡い黄色い台形であった。上の部分には黒い液体が掛かっていた。

 膳が置かれた事で、少し揺れていた。

「これは、まさか・・・・ぷりん?」

「その通り。私も甥と同じく食道楽の所があってな。美味いぷりんを食べたくてな。料理人達に命じて作らせたのだ。何度も失敗したが、少し前から、ようやく人に出しても問題ない物が出来たのだ」

 驚く李典に劉馥が胸を張りながら教えるのであった。

(そういえば、劉刺史は曹陳留侯の叔父上であったな。成程、美味しい物を食べるのも作るのも好きなのは、血筋か)

 自慢する劉馥に納得しつつ、李典はプリンを見た。

「・・・・・・従父もぷりんが好きでした。からめるが掛かってない方でしたが」

 李典はプリンを見て、そう零した。

 そして、膳に置かれている匙を手に取り、一口掬い口に運んだ。

「・・・・・・美味い。口の中にトロリと溶けて、舌で簡単に押し潰せる柔らかさ。甘いのに、幾らでも食べれそうだ」

「それは良かった。ところで、お主の従父は会った事ないので知らぬが、どの様な御方であったのだ?」

「そうですな。従父は」

 李典はプリンを食べつつ、劉馥に李乾の事を話した。

 やがて、話す事を終えると劉馥は口を開いた。

「李乾殿は立派な方であったのだな」

「はい。本当にそう思います」

 李典は心の底からそう思いつつ述べた。

「それほどの御方なのだから、討ち取った張遼に怨みを抱くのもむりはないな。だが、主命に逆らう事はせんだろうな?」

 劉馥の問いかけに、李典は直ぐに答える事が出来なかった。

「怨みを捨てろとは言わぬ。だが、公と私を一緒にしてはならん」

「国の大事に私情を挟んではならないという事ですか?」

 李典の問いに、劉馥は力強く頷いた。

「・・・・・・・確かにその通りですな。分かりました」

 李典はそう呟いた後、窓から外を見た。

 劉馥は李典の返事を聞けたので、もう話す事は終えたので一礼し部屋を後にした。

 一人部屋に残った李典はまだ残っているプリンを匙で掬い掲げた。

「従父上。一時怨みを捨てて仇と共に戦う事をお許しを」

 謝罪した後、李典は掬ったプリンを口に運び味わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
山王戦前の安西先生みたいな事をしてるな 
米五郎左ならぬ米元頴
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ