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連合軍解散

 兗州牧の劉岱が東郡太守の橋瑁を殺害する。

 その報は直ぐに連合軍内に広まった。

 噂では劉岱が橋瑁に兵糧の貸し借りについて揉めて口論となり、終いには劉岱が怒って剣を抜いて橋瑁を殺害という事になっていた。

 しかし、事実は違っていた。

 兵糧は曹操が董卓追撃の時に奪った物が各陣営に公平に分配されたので、どの軍も余裕があった。

 劉岱と橋瑁は別の事で話し合いになり、それが口論となり橋瑁を殺害するという事になったのだ。

 本当は劉虞の擁立の事で話し合っていたのだ。

 劉岱は劉虞とは遠戚でもあり袁紹と親しいからか擁立賛成派になっていたが、橋瑁は違った。

 連合軍を立ち上げる際、曹操に頼まれて檄文を書き三公の公文書を偽造して密詔を作るぐらいに漢室に忠実であった。

 なので、橋瑁は反対派であった。

 その事でどうして話しあったのかと言うと、実は袁紹から密かに反対派を賛成派にするように工作を頼まれたのだ。 

 劉岱は橋瑁とは不仲であった。橋瑁が兗州刺史であった際、董卓の名士優遇策の一環として劉岱が兗州牧として来た。

 実はこの時、董卓は橋瑁を異動させないで劉岱を兗州牧として赴任させてしまった。

 その為、橋瑁は劉岱と揉めてしまった。

 その話を聞いた董卓は慌てて橋瑁を東郡太守に任命した。それで橋瑁を東郡に異動したのだが、それ以来劉岱と不仲となった。

 そんな事が有ったので袁紹の頼みとはいえ、橋瑁の説得は後回しにしていたが、他の反対している者達は頑として反対の立場を変えなかった。

 最後に残った橋瑁を説得する事になった。

 橋瑁は劉岱が訊ねてくるなり不快そうに顔を歪めたものの話だけは聞いたが、それが劉虞の擁立の事だと分かると劉岱を罵倒しだした。

 今迄の説得が失敗し、其処に罵倒されてしまい堪忍袋の緒が切れた様で劉岱は怒りのままに剣を抜いて橋瑁を殺してしまった。

 袁紹が劉岱からその話を聞いた時は何とも言えない顔をしていた。

 自分が頼んだ事がこんな事になるとは流石に想像も出来なかった様だ。

 これでは自分が反対派を暗殺したと考える者も居るかも知れないと思い、今回の事は劉岱に口止めを命じて橋瑁を殺した理由は兵糧について揉めた事にした。

「兵糧の貸し借りについては各々に任せている。それで揉めたというのであれば両人の問題だ。だが、それで殺したというのは流石に浅はかとしか言えぬ。お主は橋瑁の墓で謝罪し遺族にもお詫びし、橋瑁の後任を選ぶように」

 袁紹はそう裁決を下した。

 東郡は兗州内にある。なので、劉岱はその命令に従い橋瑁の墓で謝罪し遺族にもお詫びし橋瑁の後任に自分の部下の王肱を太守に任じた。

 しかし解決という事にはならなかった。

 連合軍内の諸侯達はこんな事件が起こった事でお互いを信じる事が出来なくなった。

 そんな将の気持ちが伝わったのか兵達も故郷の歌を歌い出した。

 董卓から奪ったのは兵糧と未だに復興中の洛陽だけだ。このまま洛陽に居ても兵糧が無くなるだけなので、諸侯達は集まって袁紹に連合軍を解散しないかと話をした。

 袁紹はこのまま連合軍を解散すれば何の為に集まったのだと天下の者達に言われるのではと思った。

 悩んだ袁紹は曹操に文を送った。

 早馬を出し、返信は直ぐに来た。

「心が一致しない軍など何の役にも立たない。そんな軍など解散すべきだろう。私も故郷に帰って考え直す事にした。貴殿もよくよく熟慮すべきだ」

 と文に書かれていた。

 それを読んだ袁紹は発起人である曹操が連合軍から離れる旨を伝えてきた。

 発起人が離れる以上、名前だけの盟主の自分がこのまま連合軍を留めても混乱をきたすだろうと思い袁紹は連合軍を解散する事となった。


 袁紹が連合を解散する事を公表すると、諸侯達は董卓を討てなかった事を残念がる気持ちと恩賞を望んだとおりに貰えなかった事を不満に思う気持ちを抱えつつ帰国の準備に掛かった。

 曹昂もそれらの準備は楽進達に任せて、公孫瓚の陣地へと向かった。

(劉備って人達はどんな人達なのか、詳しく知っておこう)

 と思ったからだ。

「しかし、帰国の準備もそこそこに公孫瓚の陣地に行くとか。何かあんのか?」

「う~ん。交友関係を広めようと思ったところかな?」

「何で疑問形?」

「まぁ、思いつきだからとしか言えないから」

 曹昂は董白と護衛の者達を連れて歩いていた。

「貂蝉に自分の準備をさせるとか、お前、良い御身分だな?」

「そう言われると確かに」

 正直に言って一緒に連れて行こうとしたら、貂蝉が「若様の準備がありますので」と言うので無理に連れて行く事を止めた。

「へっ、そうやって扱き使っていると恨みを買って、ブスっと刺されるぞ」

「それは嫌だな。戻ったら、貂蝉を労わらないと駄目だな」

 曹昂が董白にそう言われて何かしないとなと思った。

 そんな曹昂の顔を見て、董白は内心、あいつに有利になる事を言ったのでは?と思った。

 しかし、直ぐに大丈夫だろうと思い直した。

 そうして話していると曹昂達は公孫瓚の陣地に着いたのだが。

「えっ? もう居ない?」

「うむ。劉備達は暫く浪々の旅に出ると言うのでな。元々、私の部下ではないので自由にさせたのだ」

 陣地に赴くと公孫瓚が態々出迎えてくれた。曹昂は劉備達が何処に居るのか訊ねると、公孫瓚は劉備達が旅に出た事を教えた。

 旅に出たと聞いた曹昂は残念だと思ったが、会えないのは仕方が無いと割り切った。

「そうですか。お忙しい中、失礼しました」

「いや、ではな」

 公孫瓚に一礼して曹昂達はその場を離れて行った。

 曹昂が陣地に戻ると、既に曹操の下に向かう準備を終えていた。曹昂は曹操の下に向かう事にした。

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