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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十章

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激突

 劉備軍が離れていくのを見送ると、公孫続は控えている麾下の白馬義従を見た。

 皆、此処に来るまでの道行きで砂塵に塗れ傷ついていた。

 兵数も百騎ほどであった。

 それでも、皆悲壮な顔はしていなかった。

「皆、聞いてくれ」

 風が吹く平野に公孫続の声が響いた。

「我らは殿を守る為に、この場に留まり敵を足止めする。天下に再び、白馬義従の武勇を知らしめるのだ!」

「「「おおおおおおっっっ!!!!」」」

 公孫続の檄を聞き、白馬義従の者達が得物を掲げて喊声をあげた。

「進め‼」

 公孫続が声をあげると共に駆け出すと、白馬義従もその後に続いた。


 数刻後。


 曹仁・曹純軍が劉備軍に追い付く為に進軍してきた。

 砂埃を立てながら駆けていくと、前方から砂埃が立っているのを見つけた。

「むっ、何か来るな」

 砂埃を見つけた曹仁は全軍の足を止めて、迎撃の準備をさせた。

 準備を終える頃には、砂埃が立てているのが何なのか分かった。

 公孫の旗を掲げている白馬の一団が駆けてきているのが見えたからだ。

「公孫という事は、公孫続か」

「いかがいたしますか?」

「劉備を逃がす為に殿(しんがり)になった様だが。数などたかが知れている。誰を敵に回したのか、その愚かさの報いを与えてやれっ」

 曹仁は攻撃を命じると、兵達が喊声をあげて突撃した。

 突撃してくる曹仁軍に、公孫続は命じた。

「矢を番えよ‼」

 公孫続が矢を番えると、白馬義従の者達も矢を番えた。

 馬に揺られながらも、公孫続達は斜めに構えて弓弦を引いた。

 放たれた矢は弧を描きながら、曹仁軍に降り注いだ。

 矢の数は多くないのだが、殆どの矢が曹仁軍の人馬に命中した。

 曹仁軍の数が多いので当たったというのもあった。

 そのまま、公孫続軍は正面からぶつかると思われたが、公孫続は手を掲げると白馬義従は反転し来た道を帰って行った。

「なっ、逃げるか。追え追え‼」

 曹仁は追撃を命じると、兵達はその後を追い駆けた。

 その迫りくる敵軍に、公孫続軍は逃げながら馬上から振り返りざまに矢を番え放った。

 攻撃が来ると思わなかった曹仁軍の先鋒は矢が当たり倒れて行った。

 白馬義従が行った攻撃は、パルティアンショットと言い、漢では安息回馬箭という射法であった。

 安息とはパルティアという国の漢の国での呼び方で、パルティアで生み出された射法なのでそう名付けられた。

 パルティアで生み出されたとされているが、実はパルティア独自という訳では無く騎馬遊牧民の国家では割とありふれた戦法であった。

 だが、欧州に古典文明を伝えた古代ローマが本格的に対峙した遊牧民勢力がパルティアであり、射法の使い手であった為に着けられたと言われている。

 白馬義従の者達は元は公孫瓚の下で騎馬民族である鮮卑と戦っており、射法を見たのか学び会得していった様だ。

 逃げながら矢を放つという戦法に曹仁軍は手を焼いていた。

 このまま曹仁軍の被害が増すかと思われたが、曹仁軍の後を追いかけていた曹純軍が前に出た。

「白馬義従など何するものぞっ。我ら虎豹騎に勝てる騎兵など居ない事を見せつけるのだ!」

 曹純が檄を飛ばすと、麾下の兵達は駆けだしていった。

 駆けながら矢を番え放つと、白馬義従の者達の何人かが倒れた。

「虎豹騎か。面白いっ、我ら白馬義従の方が強い事を知らしめてくれるっ」

 公孫続は駆けながら、攻撃の対象を曹仁軍から曹純軍に変えた。

 両軍は矢を放ちながら駆けて行った。

 放たれた矢は両軍の兵達に当たり大地に倒れさせていった。

 逃げながら矢を放つ公孫続軍を追い駆ける曹純軍という構図であった。

 このまま公孫続の攻勢が続くかと思われたが、其処に恐れていた事が起こった。

「公孫将軍。矢が尽きましたっ」

「くっ、そうか」

 公孫続は部下の報告を聞いて、顔を顰めた。

 補給すら出来ない状態で矢が尽きたという事は、安息回馬箭が出来ないという事を意味していた。

「・・・・・・全軍反転、これより曹純軍に突撃し我らの武勇を見せつける!」

 公孫続がそう命じると馬首を返し、曹純軍に突撃した。

 陣形など無い突撃を曹純軍は正面から激突した。


 突撃しぶつかりあう両軍。

 しかし、悲しいかな兵数の差があまりに多いので白馬義従の者達は瞬く間に討たれていった。

 そんな中でも、公孫続は襲い来る虎豹騎達を相手に奮戦していた。

 鎧はボロボロになり体には幾つもの切り傷ができていた。

 砂塵に塗れながらも、荒く息を吐きながら睥睨していた。

 すると、最後まで傍で戦っていた白馬義従の者が討たれるのが見えた。

「将軍。お先に逝きますっ」

「うむ。先に父上の元にいき待っていてくれ」

 公孫続がそう言い、改めて周りを見た。

 逃げ道など全くない包囲されている事が分かっただけであったが、それでも公孫続は空を見上げた。

「殿。わたしは此処までの様です。父上、続はけして敵に降りません」

 そう言い、深く息を吐いた後公孫続は馬の腹を蹴り駆け出して行った。

 どれだけ体が傷つこうと駆け出し、目の前に居る敵兵を蹴散らしていった。

 そう蹴散らしていくと、目の前に曹休と曹真を見つけた。

「其処に居る貴様ら、見た所見事な鎧を纏っているな。敵将だなっ。この公孫続の槍を受けよ!」

 公孫続は最後の力を振り絞り槍を投げた。

 投げられた槍は、曹休の元に向って行った。

 だが、力を込めただけで狙いを着けていなかった為か、槍は大きく外れてしまった。

 槍は曹休から離れた所で落ちて、大地に突き刺さった。

 曹休に当たる事は無かったが、公孫続はその結果を知る事は無かった。

 その前に、虎豹騎達が持つ槍に貫かれ絶命していたからだ。

「文烈。大丈夫か?」

「・・・あ、ああ、大丈夫だ」

 曹真に声を掛けられて、茫然としていた曹休は気を取り戻した。

 自分の体を触り、何処も怪我が無い事を確認し、怪我が無い事が分かり安堵の息を漏らしていた。

「ふぅ、ようやく殲滅できたな。此処まで抵抗するとはな」

「覚悟を決めた兵とは、こうも強いのだな」

「そうだな。むっ?」

 曹真と曹休が話していると、後方から砂煙が上がっているのが見えた。

 何処の軍勢だと見ていると、砂埃が晴れると見えたのは司馬と書かれた旗を掲げた軍勢であった。

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― 新着の感想 ―
耳長の業運召喚へまた一人逝ったか…曹真、曹休はアレのフラグがとりあえず回避されて何よりw
こんばんは。 正史だとマジでパッとしない結末でしたが、この世界では武人と称賛するに相応しい最期でしたね公孫続。耳長ダル○ムに仕えたのが運の尽きであり、漢らしい最期を迎えられるきっかけにもなったのはな…
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