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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十章

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何かの策略か

 郡境を越えて、劉備軍は江夏郡に入った。

 入ると、周囲に警戒しつつ進むという今までと同じ行動を取った。

 兵達は何も文句は無かったが、連れている兵の家族達の方は疲労で歩みが遅くなっていた。

 これでは、余計に敵に襲われやすくなると思うのだが、何の対処も取れないので劉備達は周囲を警戒するしか出来なかった。

 

 周囲に気を配りながら進軍という、気を抜く事が出来ないので、余計に兵達の疲労を誘っていた。

 だが、敵はそんな劉備達を嘲笑うかのように、襲撃をする様子を見せなかった。

 流石に何の動きもないので、劉備は行軍を止めて徐福と馬順を呼んだ。

「未だに敵の襲撃が無いのだが。どう思う?」

 劉備の問いに、徐福達は暫し考えた後、自分の考えを話した。

「わたしの工作が上手くいったからと言って、襲撃が無いというのはおかしすぎます。何か罠があるのではないでしょうか」

「罠か。我らが河を渡る時に襲撃するとかか?」

「そうですね。もしくは、郡境に兵を待ち構えているかですね」

「歩き続けた我らと、十分に休息を取った敵か。兵の数も向こうが多い事を考えると、・・・・・・正面からぶつかれば間違いなく負けるな」

 徐福がそうなった事を想定し思考を巡らせた後、そう淡々と述べた。

「待ち構えるですか。確かに、現状ではそれが一番効果的ですね」

 徐福の意見を聞いた馬順がそれだ一番妥当だろうと述べた。

「未だに襲撃が無い事を考えると、それが一番考えられるか。では、我らはどうするべきだと思う?」

 劉備の問いに、徐福は言い辛そうな顔をしていた。

 馬順はそんな徐福など気にせず答えた。

「殿。もしそうなれば、一気に駆け抜けるしかありません」

「駆け抜けるっ? それはつまり敵の攻撃を受けつつも進むという事になるぞ」

 劉備は馬順の答えを聞いて、無謀な突撃ではないかと思いながら訊ねた。

「はい。その通りです。ですので、多くの者達が討たれるでしょう。ですが、南陽郡に入れば何とかなるでしょう。南陽郡の反乱は鎮圧されたという報告は聞いておりません。ですので、まだ抵抗しているのでしょう。殿がその者達と合流し益州に逃げ込めば、犠牲になった者達も報われます」

 馬順は犠牲を出す事を前提にした進軍をするべきだと言うと、徐福は声を荒げた。

「それでは、兵だけではなく家族も犠牲になるではないか。その様な事は出来ぬっ」

「ですが、そうしなければ、状況を突破する事は出来ません」

「いや、此処は出来るだけ兵とその家族にも犠牲を出さない様にするべきだ。益州に入っても兵は必要であろうからな」

「その様な事が出来ると思いで?」

「犠牲を出す事を前提にした策など愚かとしか言えぬだろうっ」

 馬順と徐福が口論を始めた。

 此処まで行軍で疲労が溜まっていた事に加えて、敵が何を考えているのか分からないので気が昂っている為か、罵倒が混じっていた。

 劉備は黙っていたが、何時まで経っても口論が終わらないので焦れて来た。

「・・・ええいっ、止めぬか⁉ 我が軍の軍師である其方らが口論した所で、敵を喜ばせるだけであろう!」

 劉備の一喝に二人はピタリと口論を止めた。

「此処はわたしが決めるとしよう。まずは、郡境の近くまで行き、そこで敵がどれだけいるのか調べるのだ。そして、同時に敵に見つからず南陽郡に行く事が出来る道を探す。敵の数が少なければ、馬順の策を行う。多ければ、敵に見つからない道で南陽郡に入る。これでよかろう」

 劉備の決断を聞いて、徐福達も他に手は無いと思った様で頷いた。

 そして、行軍を再開した。


 十数日後。


 劉備軍は江夏郡と南陽郡の郡境の近くまで到達した。

 敵がいるかどうかの確認の為に、偵察の兵を放った。

 少しすると、偵察に出した兵が全員戻ってきて、皆全員同じ報告をした。

 郡境には兵が一人も居ないと。

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― 新着の感想 ―
南陽に入れて、袋叩き。 南は文聘が封鎖して、西は曹仁、北は曹純、東は龐統ら兗州軍に包囲。 それでも悪運の強い兎耳だから、どうなるか、分からない
こういうときに酒飲み張飛が静かなのが気になるwこの逃走中に張飛が一言も出てこない。相当うっぷん溜まっていそう…w
どこかに集めて一網打尽にするのかな
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