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生まれ変わったら曹昂だった。 前世の知識を活かして宛城の戦いで戦死しないで天寿を全うします  作者: 雪国竜
第二十章

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少し考えさせてほしい

 長沙郡で反乱が起きている頃。


 許昌にある曹昂の元に頻繁に人々が訪れていた。

 全員、曹操と少しでも誼を通じようと思い、曹昂に声を掛けて親しくなろうとしていた。

 曹昂としては、媚び諂う者達と親しくなるつもりはなかったが、名士との交流を疎かにすれば後々何かしら面倒な事になるかもしれないので、手を抜く事が出来なかった。

 そんな者達と交流をしていると、ある人物が訪ねて来た。

「ですので、どうでしょうか?」

 そう上座に座る曹昂に述べたのは山本という人物であった。

 この者は司隸河内郡懐県の山氏の者で、同県では司馬懿の実家である司馬家に劣らない名声を誇る家であった。

 その家に見合うように山本も高い官職についており、朝廷でも強い影響力を持っていた。

 山本が曹昂に述べたのは、今後とも親しくしたいので自分の身内を傍に置いてくれないかという事であった。

 要は身内を妻妾にしてくれと頼み込んできたのであった。

「・・・・・・しかし、わたしはもう既に十分な妻妾を娶っておりますので、これ以上は」

 曹昂としては、子供も何人も生まれているのでこれ以上産まなくても良いだろうと思い、遠回しに断ろうとした。

 だが、山本は首を横に振った。

「いやいや、陳留侯もまだお若いのです。妻妾はどれだけいても問題ないでしょう。むしろ、若ければ若いほどに子を沢山産み、御家の繁栄させるでしょうぞ」

「確かにそうかも知れんが・・・・・・」

 山本が是非にと身内を強く勧めるので、曹昂もどうしたものか考えていた。

 父曹操や荀彧ほどではないが、朝廷に強い影響力を持つ山家の者を無視すれば後になって、面倒な事が起きる気がした。

 とは言え、これ以上妻妾を増やすのもどうかと思っていた。

「・・・・・・それで、どの様な者を勧めるので?」

 とりあえず、曹昂はどんな人物で年齢を聞いて、親戚の誰かに嫁げる様に仲介する事にした。

(人妻だったら、父上に勧めるか。いや、そんな事をしたら義母上が激怒するな)

 そんな事を思いつつ、曹昂は山本がどんな女性を勧めているか訊いてみた。

 聞く気になったのを見て、山本は笑みを浮かべつつ語りだした。

「わたしの妹の子にございます。今年で十七ぐらいですが、幼少の頃は徳行に秀で、人並み以上の知識を持っている才女にございます」

「ふ~ん。確かに若いな」

 十四歳も下かと思いつつ、曹昂は頭の中で年齢に見合う親戚を探していた。

「ええ、若いです。ですが、それだけお子を沢山産む事が出来ますぞ」

「まぁ、そうだな。それで、その者の名は?」

「はい。春華と申します」

 山本が告げた名を聞いて、曹昂は眉が動いた。

「・・・・・・姓は?」

「張でございます。張春華と申します」

 名前をハッキリと聞いた曹昂は、山本が進めている女性が誰なのか分かった。

(史実では司馬懿の奥さんになる人だな。十七歳か・・・)

 年齢的にピッタリなのは曹丕であったが、今の妻とようやくしっくりいき始めている所に、妾を紹介すれば今度こそ夫婦の中が崩壊するだろうと予想できた。

 そんな事などしたくないので却下した。

 次に年齢に見合うのは曹休であったが、既に相手が選ばれており近い内に婚儀を挙げると聞いていた。

 年が少し離れているという事は聞いていたが、どんな女性なのか全く聞いていなかった。

 その後、候補を探したが誰も思い至らなかった。

「いかがでしょうか?」

「・・・・・・今は忙しいので、少し考える時間を」

「そう言わず。一度会って見たらどうでしょう?」

 そう言う山本であったが、是非会ってほしいという顔に書いてあった。

 あまりに強く勧めるので、仕方がないので会うだけ会う事にした。

 会うと言ってくれた事に山本は感謝しつつ、屋敷を後にした。

 余談だが、この山本は後に竹林の七賢の一人に数えられる山濤の祖父である。

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― 新着の感想 ―
曹昂の子供そんなに居たっけと思ったら董白と2人、練師以外全員と1人ずつ産まれてるんだ 十分多いけど父親と比べるとまだまだと言ったところか
やっぱり張春華は司馬懿と娶せた方が自然な流れかと。 司馬家は家柄も名門だし、仲介役の山氏の面子も立つでしょう。 司馬師・司馬昭兄弟が生まれるにしても、曹昂と司馬懿の主従関係のように曹叡と司馬兄弟の主従…
最後にちゃんとフォロー(~山濤の祖父である)が入ってた(笑) ……うん、どう見ても『やまもと』だもんなあ……自分も途中で検索して確かめた位、マニアックな上に日本人的には紛らわしいし。
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