逃げれた場合の時も考えておくか
評議を終えた後、曹昂は私室で一人考えていた。
(劉備が益州に逃げるか。考えた事も無かったな)
丹陽郡にいるので、何処かに逃げ込むなど無理だと思っていた。
そう思いつつ、改めて揚州の地図を見た。
「・・・・・・どう考えても何処かに逃げるのは無理だと思うけどな」
諸葛亮がそう言うのを聞いても、本当にあり得るのかとしか思えなかった。
「揚州を通り抜けるのは、今なら無理ではないんだよな。孫権は先の戦いで失った戦力の立て直しをしなければならないからな」
戦力が足りない以上、逃亡を防ぐ事が出来ないと予想できた。
だから、交州か荊州に逃げれる可能性はあった。
「交州に逃げ込んだ場合は士燮の心次第で決まるが。荊州から益州に逃げるのは、流石に難しいと思うな」
襄陽には曹仁が常駐しているので、曹仁から追撃される可能性があった。
「他にも蔡瑁率いる水軍が居るからな。荊州は河川が多いからな、船を使わずに逃げるなど難しいしな」
どう考えても荊州を通り、益州に逃げ込むなど難しいとしか思えなかったが、万が一に備えてこうなる事も考えて策を立てた方が良いなと思えた。
そう考えた曹昂は荊州から益州に逃げ込んだ場合どうするか考えた。
「・・・・・・良し。劉璋を使おう」
どの道、暗殺して息子の劉循に後を継がせる予定であった。
劉備が益州に来るのであれば、その時期に劉璋を暗殺すれば良いと考えた。
「この案はまだ劉循に話すべきではないな。劉備が益州に来るかどうかも分からないからな」
そう考えた後、曹昂は法正を呼んだ。
暫くすると、部屋に法正が入って来た。
「お呼びとの事で参りました」
「ああ、実はな」
先ほど諸葛亮が述べた、劉備が益州に逃げ込んだ際に行う事を伝えた。
「ほぅ、劉備が益州に逃げ込んだ場合、劉璋を暗殺ですか。良い手ですな。劉備が益州に逃げ込んで直ぐに劉璋が暗殺されれば、まず間違いなく劉備が暗殺したと疑われます」
「だが、問題はそうなると劉循が劉備と戦う事になるな。劉循には会った事がないが、劉備に勝てるか?」
「まず無理ですな。劉循の器量は劉備には遠く及びません。配下でこれはと言えるのは張任と黄権だけです。ですが、この二人では劉備の配下には勝てません」
法正が冷静に述べるのを聞いて、曹昂はこの策は無理かと思った。
「そうなると、劉備は益州を得る事になるな。そうなった場合、また攻略に時が掛るな」
益州に逃げ込む前に、包囲殲滅しないといけないなと思う曹昂に法正は意見を述べた。
「いえ、殿。此処はいっその事、益州に逃げ込ませるのも手ですよ」
「何故だ? 劉循では劉備に勝てないのであろう」
「確かにそうです。ですが、先の江夏郡の様にすれば問題ないと思います」
「・・・・・・つまり、劉備が黄祖を倒し江夏郡を完全に支配下に治めようとしている所に攻め込むと?」
「幸い漢中の張魯は我らに従っております。荊州は我らの支配下です。二方面から攻めれば、劉備は成す術もありません」
「ふむ。そういう手もあるか。まぁ、劉備が逃亡に成功した場合、そうするとしようか」
話を終えた曹昂は、この話は他言無用と法正に言った後、下がらせた。
1000話達成、もうこんなに投稿したんだという思いしかないですね。