アランの家に行く話。
報告を終えて、4人そろってギルドを出ると、アランが3人に話しかける。
「なんかいろいろあったけど、お疲れ様。それで、メイには改めてお礼したいから、今夜食事に招待したいんだけどどうかな?もちろんマシューとウォルトも一緒にさ。」
アランが三人を食事に誘うと、マシューとウォルトはメイに目線を向けた。メイの返事を待っているのだろう。
「…今夜は、だいじょぶだと思う。」
「そうか、じゃあメイは決まりだな。二人はどうだ?」
「いや、僕たちは遠慮しておくよ。今回何の役にも立ってないしさ。」
「そうか?別にそんなこと気にしないぞ?」
「いや!ともかく俺たちは今回遠慮するわ!アランとメイで楽しんでくれよ!」
マシューとウォルトは、何故だか少し慌てるような感じで、アランの誘いを断っている。
「そうか、まあ無理強いするつもりはないからしょうがないな。二人はまた今度よろしくな。」
「はい。また今度…。」
「そうだな!それじゃあ今日は帰るわ!」
そう言って二人は足早に帰っていってしまった。
「はぁ、またかなぁ。」
帰っていく二人を見送りながらアランはそんな言葉を漏らす。メイはその声を聞いていたが、何と声を掛けていいのかわからなかったので、結果無視する形になっていた。
「まぁしょうがないな。じゃあ今夜はよろしくな!これ僕の家までの地図だから18時くらいに来てくれよ。」
「…わかった。」
アランはメイに地図を渡すと、家に帰っていった。メイもしばらくアランを見送り家に帰ることにした。
そしてその夜、メイは指定された時間に間に合うようにハナの家を出発し、地図を頼りに歩いている。
(あれ?なんか街並みが豪華になってる気がする。)
メイの感じた通り、今メイが歩いている場所は、貴族やそれに準ずる立場の人たちが住んでいたり、泊まったりするような区画である。
そして、地図の指示している場所は、ここイースタンを治めるカレン辺境伯の居住地であった。
「すごい門だ。」
メイは、お屋敷の門の前にたどり着くと、そんな言葉をこぼす。
すると、ギギギーーっと音を立てて門が開き、中から、きっちりとした服装のイケてるおじさんが現れた。
「失礼ですが、冒険者のメイ様ですか?」
「……はい。そうです。」
「本日は、ご足労頂ありがとうございます。アラン様がお待ちですので、ご案内させていただきます。」
「……はい。」
メイは戸惑いながらもそのおじさんについていく。
丁寧に屋敷の中を案内され、おそらく食堂でありそうな場所に連れてこられると、中には豪華な食事とともに、アランと他に2人の男女が座っていた。
メイは、案内されるがままに席に着くと、アランが口を開く。
「メイ今日は来てくれてありがとう。今日は昨日の感謝の食事会だから遠慮せず食べてくれ。」
「……。」
しかしメイは、いきなりこんな豪邸に連れてこられて、豪華な食事をだされてもどうしていいかわからない。
そんな感じで固まっていると、一緒にいた大人の男性が口を開く。
「アラン。メイさんに我々を紹介してはくれないか?」
「ああ、そうだった。メイ、この二人は僕の両親だ。もうここに来てわかってると思うけど僕の父はこの街の領主なんだ。ただ、僕自身冒険者をやってるし、気楽に接してほしい。」
「……。」
「ま、まぁ、話はあとにして、先に食事にしようか。」
そう言うと、アラン達はマイペースに食事を始める。メイは、ここまで来たら食事を満喫しようと吹っ切れて食べ始めた。
(マナーなんて知らないし、怒られたってアランが誘ったせいだからね。)