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冒険者ギルドに登録する話。

初めまして、黒井です。よろしくお願いいたします。

 この辺りに住んでいる人たちが、「セントラル」と呼ぶこの地方の北東に位置している「ドベリン国」の東端、ドラゴンロードの西端にある「カレン辺境伯領イースタン」の冒険者ギルドに、今一人の少女が入っていった。

 その少女は、冒険者ギルドに来る人物としては小柄であり、顔立ちからして10歳前後であろう。また、簡単な素材でできた服と腰に一つの小袋をかけているという格好から、ギルドの休憩スペースでくつろいでいた冒険者たち、その少女に対して、親のお使いで依頼を持ってきた子供であろうという印象を抱いていた。

 しかし、お使いとして来た子供にしては、堂々と歩みを進めるその少女は、驚いたことに、依頼受付カウンターではなく、冒険者用のカウンターに向かっていったのだった。

 冒険者用カウンターを担当しているティアは、10歳くらいの幼い少女が自分の目の前に来たことに驚きつつも、優しい口調で声をかけた。


「いらっしゃいませ。今日はどんな用事で来たのかな?」

「……冒険者の登録に来た…です。」


 ティアの質問に対し、その少女は、モジモジと伏し目がちに答えた。

 ティアは、少女の冒険者になりたいという返事にはじめは驚いたものの、事情を推定し、手続きを続けることにした。


「…かしこまりました。冒険者への登録ですね。念のため確認しますが、あなたに保護者の方がいる場合、その方からの許可を得ていますか?」

「……親はいないから大丈夫。」

「かしこまりました。では、こちらのカードに魔力を流すか、血を一滴つけてください。」


 そういってティアは、その少女に冒険者の証となるカードを手渡す。

 少女は、そのカードに魔力を流した。


「あら、既に魔力を扱えるのですね。では、カードに名前を刻みますので、住民証をご提出ください。」


 少女は、腰に掛けていた小袋から住民証を提出した。

 この辺りの国々では、住民が申請すれば基本的に住民証をもらえるので、特に問題のない限り何かしらの証明書を持っているのがふつうである。


「……ドーラ村出身のメイさんですね。では、カードにはメイ・ドーラと刻んでおきます。」


 少女、メイ・ドーラが、ティアの言葉に対して首肯したことを確認すると、ティアは冒険者カードの仕上げを始めた。


「では、カードが完成するまでの間、冒険者についての説明をさせていただきます。」


 ティアは、そう言って冒険者についての簡単な説明をし始めた。


 冒険者とは、冒険者ギルドに所属する、戦闘関連に重きを置いた何でも屋のような存在である。冒険者という名前であるのだが、実際に冒険をしている冒険者はかなり少なく、基本的に拠点である街を中心に活動している。

 活動内容としての花形は、モンスターの狩猟や捕獲である。こちらは、目撃情報などからの討伐依頼や、常時討伐対象として設定されているものがある。しかし、モンスターとは一般にかなり凶悪な存在なので、戦闘が苦手な者は、街中でのお手伝いのようなものや、モンスターと遭遇しなければ比較的安全と言える採集依頼を受けることが基本になっている。

 そして、冒険者には一応ランクのようなものが存在していて、特に討伐依頼に際して、ランクによる制限などがつけられている。そのランクとは、上からS,A,B,C,D,E,F,Gとなっていて、基本的には全員ランクGからのスタートとなり、徐々にランクを上げていくことになる。だか勤勉なだけで上げられるランクとしてはEかD程度であるため、Dランクまでになれば普通に生活している分には、特に問題のないどころか余裕を持つことの出来るほどの実力ということができる。

 Cランク以上になるには、王都のような大きな都市で定期的に行われる試験に合格しなければならないので、普通の人がなるには難しい。しかし、Cランク以上になれれば地位や名声を獲得できるため、多くの冒険者はそこを目指して活動している。


 そのような説明を終えたころ、メイの冒険者カードが完成し、ティアはメイに手渡した。


「このカードは今後身分証明証にもなりますので、常に身につけるようにしておいてください。」

「……ありがとう…ございました。」

「はい。では、これから頑張ってください。」


 メイは、ティアに対してぎこちないながらもお礼を言うと、その場で振り返って歩き出した。





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