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58話 ラッパー姉

ヒキ姉史上、トップクラスの汚点とされるネタがついに解禁。短いです。

 ある平日の夕方。

 仕事から帰ると、リビングでは何故か姉がゆるゆるっとしたファッションに身を包んでいました。

 それ丈合ってないだろ、みたいな、だぼんだぼんの黒Tシャツ、ベージュのハンチング、腰パン気味のジーンズ、おまけにテレビのリモコンをマイク代わりに……。


「へいブラザー。私、これからはヒッキー止めてラッパーになるぜチェキ!」


 と、いうわけで。本日より当小説のタイトルは、

 ヒッキー姉 -あぁ素晴らしき引きこもりライフ-

 改め、


 ラッパー姉 -あぁ素晴らしきフリースタイルライフ-


 になるそうです。


「って、んなわけねーだろ愚姉。ついに気でもふれたか」


「姉ちゃん、これからは音楽で家庭を支えていくんだ。ユノアイムセー?」


「どうでもいいけど止めろそのメタルポーズ。マジで腹立つ」


「これでも私な、弟に感謝しているんだ。というわけで、さっそくいくぜ! この溢れ出す感謝の気持ちを! 今宵はニュースクールな姉のドープなリリックでお披露目だぜっ! ヒェアッ」


 ブラブラと揺れ出す姉。なんか始まった。しかもリズム取ってるよこの姉。なんだ、おいおい、なんか歌い出したぞこいつ。


―――

――


 とんがりヒキ姉さんのうた

 作詞作曲:姉


目を覚ませばオムライス テーブル上に置き手紙

「これ食ったらハローワークいけよ」うるせえてめえで稼いでろworker ant

攻略サイトに頼るな 嫁との将来をビジョンすれば簡単だろう

理想の全ては画面の向こうに在る

スターダスト 夜空見上げふと思うんだ

どの道お先真っ暗ならば フラグ総回収 分岐全制覇

棘だらけの世の中で生きていくにはどうしたらいい? オレ自身がとんがればいい


オレは練馬区生まれマイルーム育ち ネクソン住民は大体友達

ぶっちゃけ秋葉も中野も行ったことないけど経営してみたいコスプレ喫茶

手に取れマネジメント おらよこせや軍資金


姉弟でディスりあう日々に終止符

姉ちゃんさ 今はありがとうって言えるんだぜ平身低頭

練馬一とんがってると言われた中学時代 クラス一存在感ないと言われた高校時代

今はヒッキー さらに落ちたものさ

Thanks弟マジリスペクト 省みるな将来

働かせんなよ絶対だぞこれ振りじゃねえからな


アッオー ヒィアウィゴォ

非リア充な日々を捨ててマイク一本でのし上がる 今も昔もとんがり続ける

アングラ生きてきたマイスタイル これが真のオレスタイル

イエス ヒキスタイル アンダスタン? オーイェア

ところで、親子丼って響きがエロく聞こえてしまうのは私だけ?


―――

――


「…………」


「はぁっ、はぁっ、どうだ弟! この曲は何枚売れる? 私は、私はヒップホップで食っていけるのか! ヘイ、どうなんだブラザー!」


「…………」


「何か言ってくれ! 私のこのソウルが伝わらないとは言わせないぞ!」


「……頼むから、頼むから母の命日くらいまともにしていてくれないか……ファッキンシスター……」


 荒い息づかいが絶えずリビングに響き、ぽつりと姉が漏らします。


「……ジーザス」


 膝から崩れ落ち、姉は悔しさのあまり泣き出してしまったのでした。

 なんという鬱落ち。

よく考えたら、この曲を作ったのは姉なので、著作権も黒歴史もすべて姉に帰属します。ははは。全く仕様のない姉め。

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