44話 姉の研究シリーズ『イラッとすること・後編』
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オタク・腐女子編。
①「○○は俺の嫁だから。うん、お前が○○好きなのは分かるけど、もう○○は俺の嫁だから。わかる? 俺の嫁なの。おれより○○好きなやつは存在しないから」
②でも一夫多妻制。
③掃除や給食の時間にアニソンやゲーソンを流してそれを武勇伝のように2chで報告。
④「○○知らないやつはオタクじゃない」と訳の分からないことを言い出す。
⑤平気で2ch用語や専門知識を日常会話で使用して一般人を困らせる。
⑥とにかく人の話を聞かない。
⑦興味がないなら干渉しなければいいのに特撮オタ・ガノタ・ミリオタ・鉄オタを否定する。
⑧「エロゲーじゃないっつってんだろ、これ泣きゲーだから。エロとか無くても成立するの。はいはい黙れこれ泣きゲーなの」
⑨作品を制作会社から語り始める。
⑩ニコニコ動画のノリをニュース速報VIP板に持ち込む。
⑪万札紙幣を全く両替せずにコミケに乗り込んでくる。
⑫ちょっと話しただけで「あぁー、やっぱお前もそっちかぁー」と勝手に属性分けしてくる。
⑬「ホモが嫌いな女子なんていません!」
⑭「男同士の絡みさえあれば充分なのでヒロインはみんな死ねばいい」と主張するが自作同人では何故かオリジナルのヒロインを出している。
⑮BL系サイトの管理人自己紹介の性別の欄が「♀の皮を被った何者か」「中性」「男と書いておとめ」と無駄にほのめかす。
⑯カップリングを頑として譲らないが、次に会うと平気で意見を曲げている。
⑰建築物、食物、その他無機物、果てはゲテモノなどの擬人化を創造し、流石に皆が引いてしまっているにも関わらず「ついに自分も極めてしまったか……」と勘違いな悦に浸る。
⑱「批判」と「否定」の違いが分からない腐女子。
⑲「○○は俺の嫁」「男同士以外認めない」と言いつつ、何だかんだで恋人がいる。
⑳自己顕示欲の塊のようなにわかオタクという存在
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「……これまた盛りだくさんだな姉よ」
「様々な不満が破裂した結果がこれだよ!」
「しかも一つだけ問題がある」
「なんだ弟よ」
「俺が何一つ共感できていないということだ」
「共感できないって……弟が?」
「いやおかしいだろその反応」
「そうか、弟への布教がまだ足らないというのか……それなら今度はあれを……」
「ブツブツ言ってるとこ悪いが、もう次行っていいか姉よ」
「ん、おぉそうだな。次はオタク・腐女子とは対極に位置するリア充(※リアルが充実している全く不届きなKYな者共を指す俗語:5話より引用)たちの言動でイラッとくることだ」
「姉の個人的な恨み嫉みが出てきそうなジャンルだな」
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リア充編。
①大人しいクラスメイトの発言に「からのー?」をしつこく付け足してくる。
②一人カラオケしているやつを見下すように笑う。
③クラスから孤立しているやつをいじることに余念がない。
④夏休みの予定がいっぱいなことをアピール。
⑤童貞・処女を二十歳までに捨ててないだけでドン引きしてくる。
⑥リア充のくせにアフリカの子供が~とかなんか言ってる。
⑦悩みは何かと聞けば「彼女が構って構ってうるさくて勉強もまともにできないんすよ」とほざく。
⑧ネトゲで「あ、彼氏来たんで落ちまーす」と狩り中にも関わらず離脱。
⑨男女間のボディタッチが欧米以上に過激。
⑩死ねばいい。爆発して死んでしまえばいい。
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「最後とかもう姉の心の声じゃねーか」
「一言断っとけば勝手に落ちていいとか思ってるんだぞ、ありえないだろ弟よ。リア充は空気も読めないのか? ていうかリア充はネトゲするなと言いたい」
「姉のような人間の方がネトゲをするべきではないと思うがな。姉はどうしてそこまでリア充を疎むのか」
「だってさ、人生って全然平等じゃないだろ。綺麗事を抜きにしてガチで言うとだよ。人の持つ幸運の一定量って明らかに差があるだろ。おかしいんだこの世の中は。天は人の上に人を作るし、人は皆不平等なのだ。これ私の名言集に登録していいからな」
「名言かどうかは知らんが、姉の思想のネガティブさといったらもう……弟は悲しい」
「ふぅ、言いたいことは言ったぞ。次はメンヘラ編だ。ガチなメンヘラというか、なんちゃってメンヘラ編という感じだな」
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メンヘラ編。
①mixiやブログの日記で3回に1度は出てくる「死にたい」
②しかし実際は構って欲しくて言ってるだけで死ぬ気は全くない。
③原因を環境のせいにするが、自分に原因があることには目を向けない。
④一日一回不幸話。
⑤元彼との行為をレイプ呼ばわりする。
⑥「V系好きな私って病んでるのかな?」「音楽だけが私を救ってくれる」
⑦だるい、眠い、風邪をひくなどの些細なことで鬱病になったと思い込む。
⑧孤独だと言いつつもちゃっかり彼氏はいる。
⑨リスカ画像を送りつける。
⑩「私ブスだから仕方ないよね」と返しにくい質問をしてくる。
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「俺の会社にもいるなこういうの……」
「このように、扱いが非常に難しいのがなんちゃってメンヘラだ。女は皆メンヘラになる可能性を持っているからな。勉強になったか弟よ」
「というか姉もメンヘラとやらの世界に片足突っ込んでる気がするが気のせいか?」
「気のせいだ」
「いやしかし24話の――」
「気のせいだ」
「……そ、そうか」
「うむ。さて、次は我が家編だ」
「我が家編? 自宅編とは違うのか」
「違うな、つまり私や弟、あとは鬱蔵を観察してイラッとくるところがないかを分析してみた。これを読んで研究すれば私達ももっと人から好かれる人間になれるぞ!」
「な、なるほど」
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我が家編。
①貯金や家計を荒らしまくっても罪悪感を感じていないどころかまだ足りないとわめく乞食っぷり。
②人格を全否定するようなどぎつい突っ込み。
③喧嘩しても基本的に謝らない。
④というかもう毎日が喧嘩状態。
⑤レッテルを張った罵倒が得意。
⑥自分のだらしなさを棚に上げて相手をこきつかう。
⑦冷めた態度で常にクールを気取る。
⑧部屋に糞を撒き散らし、掃除する私に唾を吐きかける。
⑨基本姿勢が鳥カゴの中で腹立つ顔してふんぞり返り。
⑩美人なくせに引きこもり。
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「最後の最後で最高にきた。この文を書く姉のにやけ顔を想像して最高にイラッときた」
「弟をイラつかせてやろう半分、本音半分だな」
「……ま、悲惨なことに変わりはないんだが」
「余計な一言だな弟よ。しかしこれを書いていて思ったのだが……あれだな弟よ」
「なんだ姉よ」
「変わろう変わろうとは思うが、やっぱり生来から備わった性分というものは変えがたいものじゃないか」
「何が言いたいんだよ姉は」
「他人からどう思われようが、無理して自分を取り繕う必要はないんじゃないかってことだよ。他人に合わせて自分を変えてしまったら、それは本当の自分ではなくなってしまうのではないかと。突然私と弟が喧嘩しなくなったら不自然だろう? だから私はこのままでいいなぁ、と」
「……まぁ、俺は姉が働いてくれたらあとは何も言わないがな」
「ていうかそれが一番嫌だ」
「ふざけろ馬鹿姉」
最近この「働け」、「嫌だ」のやりとりがループしてきている気がします。また頭が痛くなってきました。
このように、イライラすることは世の中にはたくさんあります。現代社会で生きるには、これはもう避けられないことなのです。
そのイライラをどう解消していくか、まずはそれをこの日本で上手く生きていくために考えなければいけません。
……俺もそろそろいいストレス解消法を見つけなければ。