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38話 姉の研究シリーズ『イタい人・後編』

◆◆◆


 飲み会・合コン編。

①見ているこっちが恥ずかしくなるほどテンションアゲアゲの幹事。

②学生気分が抜けないのか、飲み会でも上司には絶対に屈さない。

③普通の居酒屋での合コンなのにばっちりスーツでキメてくる。

④「俺、実は童貞なんですよー」や「元カノとすっげえマニアックなプレイしたことあってー」など、聞いてもいない性事情を暴露。

⑤酒に慣れていないのか飲みの席で直接リバースする大学生。

⑥普段は真面目人間で通しているが、酒で人が変わりすぎて意外を通り越して引かれる。

⑦20代ばかりが集まる合コンなのに無理な若作りで強行しようとするアラフォー女。

⑧酔った勢いで女性社員にセクハラ。

⑥「僕、男もいけるんですよ」と男性社員にもセクハラ。

⑩目が覚めたら新宿の路上に半裸で横たわっている。


◆◆◆


「何故姉は引きこもりなのにこう、割と的を射ている例をポンポン挙げられるんだ」


「何なんだろうな、こういうのってすごく想像しやすいんだ」


「そういえば今年の新入社員がまんま④みたいなこと言ってたな。先輩の俺でも流石にフォローできなかった」


「うむ、私の前にまずその新入社員を教育すべきだな。ぶっちゃけ話にも方向性というものがあるからな」


「うーん確かに……ってどう考えても姉の更正の方が優先だろうが」


「はいはい働きます働きます、いつか働きますよっと。で、次は何だったかな」


「口先だけとはまさにこのことか……次は異性編とあるな」


「あぁ、ついに異性編か。この部分は若干18禁要素含むか含まないか微妙なところだからな、18歳以下とピュアを貫きたい人は閲覧禁止で」


「18歳以下はまだしも、どんな制約だよ。別に大したことは書かれてないから大丈夫だと思うが、なんというかこれは……」


◆◆◆


 異性編。

①中学生カップルなのに「お前を一生養っていく」「一生あなたを支えていく」

②彼女との初めての行為で童貞と悟られたくないがためにAVで得た知識と技術をフル活用、結果余計に気持ち悪がられる。

③情事前にコスプレを数点持参してきて「どれ着たい?」

④構って欲しいあまり、「今から来てくれないと飛び降りる」と彼氏を半強制召喚。

⑤初デートなのにいきなり彼女をラブホへ誘導。

⑥彼氏は痴女が好きなのだと知って過去の経験談を事細かに語り、自らの乱れっぷりをアピール。

⑦時代はヤンデレだと思い至り、クッションに何度も包丁を突き立てながら気が狂ったような奇声を上げまくる動画を撮り、彼氏にメールで送りつける。

⑧ワルな俺かっこいいと思い、デート中の飲食店で店員に大声で怒鳴りつける。

⑨一円単位まで割り勘してくる男、奢ってもらって当たり前だと思っている女。

⑩童貞・処女を捨てた途端に態度がデカくなり、未経験の友人に「そんなに気持ち良くないよ、期待するだけ無駄だって」と悟ったように語る。


◆◆◆


「なんでこんな突っ込んだ内容ばっかりなんだよ!」


「え、これでも抑えている方だと思うが。逆にどんな内容なら突っ込んでないと言えるんだよ」


「例えば、『好きな子をいじめ過ぎて転校してしまう』とかどうだ。これならまだ甘酸っぱくて見やすいと思うが」


「あー……ははっ」


「何だ、何だ姉よ、その乾いたような笑いは」


「いや何でもない、はははっ。次だ次。次は様々なイタい行動が散見される学校・職場編だ」


「……何なんだよちくしょう」


◆◆◆


 学校・職場編。

①勉強しまくって自信満々のテストの結果を友達と予想中、「俺全然勉強してなかったから多分悪いだろうなー」とうそぶき、実際本当に悪くて一週間は落ち込む。

②教室・オフィスで持参したギターを弾き語り。

③文化祭でバンド演奏中、盛り上がっていると勘違いして客席にマイクを向けるも誰一人として合わせてくれない。

④わざわざ社内恋愛を公表して職場の空気を悪くさせるバカップル。

⑤上司への挨拶が「ご苦労様です」

⑥合唱コンクールの練習で「ちゃんと練習してよ男子!」とヒステリックに叫び、ついに「先生、男子がちゃんと練習しません」と勝手に泣き出す女子。

⑦廃校舎の肝試し大会で意気込むが、想定外のおどろおどろしい雰囲気と先生の気合いの入ったドッキリで、思わず好きな子の前で失禁してしまう。

⑧女性教師を「お母さん!」、部長を「おじさん!」と呼んでしまう。

⑨ちょっと注意するとすぐにふてくされて出勤しなくなるゆとり世代新入社員。

⑩さらに親が会社にやってきて代わりに辞める手続きを取ってそのまま退職。


◆◆◆


「最後のはもうイタいを通り越して呆れるレベルだな姉よ。しかし何故職場情勢に明るくないはずの姉がここまで書けるのだろうか」


「弟の見た風景がありありと目に浮かんでな。ひとえに弟との姉弟愛から成せるインスピレーションの賜物か」


「……ノーコメント」


「ちょっと待って。どうしてそんなに引くんだ弟よ。いいじゃないか、私だってたまには弟と和気藹々とした空気味わってみたいんだよ!」


「えーと、次は家族編か」


「うおい!」


◆◆◆


 家族編。

①大学生にもなった息子が「なんで勉強なんかしなきゃいけないんだ!」と喚き、真剣に親が頭を抱える。

②中学生の娘に「久しぶりに一緒に風呂入るか」と誘い、娘の父親嫌いをさらに助長させる父。

③いい歳してミニスカで町を出歩く母。

④実の兄をストーカーし出す娘。

⑤チビ、ハゲ、デブの三重苦なのにチョイ悪ファッションだけは断固として止めない父。

⑥毎回ジャニーズのコンサートに行く熱狂的ジャニオタの母と娘。

⑦それに対抗するかのようにAKB48のコンサートに行く熱狂的アイドルオタの父と息子。

⑧夜の営み中なのにドアをノックされても「はいどうぞー」と入室を促す息子。

⑨父が娘を溺愛、母は息子を溺愛、息子が父を師匠と崇め、娘が重度のブラコン、というどうでもいい四角関係。

⑩家族揃って友達がいない。


◆◆◆


「……一つの変人家族の光景が浮かんできた」


「きっとご近所さんから敬遠されていることだろう。うちほどじゃないけどな」


「変人はお前だけだ姉よ。最近戸部家からやたらと姉のことについて心配されるのは全部お前のせいだ」


「そうか、だが私は謝らない」


「開き直り方だけは大物だな姉よ。さて次は……ん?」


「うーんその次はな、その他の痛々しい言動を集めてみたんだが……」


「……どうにも引っかかるな」


◆◆◆


 その他。

①家族なのに不自然なほど本名で呼び合おうとしない。

②語尾が「~なのだが」「~だぞ」

③女なのにキャラを作ったようにしか見えないほどワイルドな口調。

④変に捻ったつっこみを平気で入れる。

⑤頭よさげに見せたいのか、小難しい言い回しや比喩表現を好んで使う。

⑥声に出して読んだら絶対に不自然になってしまう会話展開。

⑦引きこもりなのに家族の前には平気で出られるし負い目も全く感じていない。

⑧一周して家族にヒキニートがいることに慣れてきている。

⑨飼ってるペットが非現実的なのにそれだけは触れようとしない。

⑩たまに誰が発言しているのか分からなくなる。


◆◆◆


「やはりこれは引っかかるぞ姉よ」


「だろう。でもさっぱり原因が分からないんだ。何なんだろうな、この気持ち」


「……まぁ、分からないことや知るべきでないことは世の中にはいっぱいあるからな。知って得をすることもあれば損をすることもあるんだ。違うか姉よ」


「うんうんその通り、弟はいいことを言うな。よし、これで私の研究ノートは終わり! 今日はもう寝るぞ弟よ!」


「おう、そうだな」


 俺たちが席を立って散り散りになる頃、時刻はちょうど12時を回っていました。

 結論を言うと、自分はイタい奴なんじゃないかと気にし出すと個性なんて出せないぞ、ということなのです。

 皆さん、精一杯自分らしく生きていきましょう。

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