33話 姉弟を怒らせる方法part2
~姉弟を怒らせる方法6~
『くしゃみ不発』
「いやぁ、やはり『枯れた女たちの黒薔薇』は面白いな姉よ。昨今の昼ドラにはないドロドロ感とベタな感じがたまらん」
「ふぁ、あぁ……グス。おぉ、私が録画しておいた第23話見たのか弟よ」
「あぁ、玉置夫人が激怒して桜子をナイフで刺そうとするシーンがあったよな。あそこでどこからともなく昭久が飛び出してきて桜子をかばって、んで結局昭久が刺されてさ。ご都合主義臭かったが、いやぁしかし衝撃的だった」
「へ、ふぇぇ、は……はぁ……ずずっ。おぉすまんすまん。実はあれ、15話からの伏線だったんだぞ。ほら、公園で桜子と昭久がさ」
「あぁあれか! 昭久が『来週の会合、僕も必ず行きます!』ってやつな! はぁなるほど」
「そうそう。まさか本当にくるとは誰も思うまいよ。じっさ……実際……は、はぁぁぁ! はぁぁっぐ……ぐ……ふぅ」
「……姉よ、さっきから気になってるんだが、別にくしゃみ我慢しなくてもいいんじゃないか」
「ん? いや何かうまく出なくてな。まぁ気にするな。あ、そういえば弟は20話見てなかったから知らんよな。実は桜子と高校生の和夫って生き別れの兄弟らしいぞ」
「マジか? 流石にその展開は無理があるだろ。だって桜子ってもう35歳じゃ――」
「あ、出る! はぁぁぁぁぁっ!! あ、やっぱ出なかった。……え? 桜子が何だって?」
「もういいからさっさと出してくれ……」
~姉弟を怒らせる方法7~
『開けっぱ』
「姉よ、冷蔵庫の扉開けっ放しだったぞ」
「あーそう」
「あーそうじゃない。ていうか姉、そのコーラも飲んだらちゃんと蓋閉めとけよ。こぼれたら畳汚れるだろ」
「あはは、弟は細かいなぁ。……おっと」
「あ! ほらこぼした! さっきも開けっぱの牛乳パックの中身こぼしたばっかなのに。ちょっと雑巾持ってくる」
「雑巾ならここにあるぞ弟よ」
「いやそれさっき牛乳拭いたやつだから! ……っておい! トイレのドアも開けっぱだぞ! しかも電気付いたまんまだし。しかも流してないし! 女子としてどうなんだこれ!?」
「いやぁお恥ずかしい」
「もっと恥じろよ……ってその雑巾で拭くなって言ってるだろ!」
「なんだよ! さっきから細かいなぁ! 新しい雑巾持ってくりゃいいんだろ!」
「いやだからその雑巾を台に叩きつけるな! 台の上が牛乳臭くなるだろうが!」
「あぁぁぁうるせえええ!! くたばれ弟! もう私は部屋に帰る!」
「はぁ、全く……ってリビングのドアも閉めろっつーんだよ糞姉えええ!!」
~姉弟を怒らせる方法8~
『セルフ効果音』
「姉よ、ちょっとテレビつけてくれるか」
「おう! リモコンのボタンポチッ。赤外線ビビビ!」
「姉よ、このポテチの袋上手く開けられないんだ。ハサミで切ってくれるか」
「おう! トゥルルン、はーさーみー!」
「いや全く似てないドラえもんの真似はいいから。さっさと切ってくれ」
「おう! チョキチョキチョキ!」
「あぁすまんな。姉もポテチ食うか?」
「おう、食うぞ。バリバリ! モグモグ!」
「もう口で言ってるだけじゃねえか」
「何だよ弟、今日は元気ないな。よっしゃ、いっちょ肩パンするか肩パン!」
「お前は男子中学生か」
「いくぞー、デュクシ! デュクシ! オラオラオラ! ドゥドゥドゥドゥ!」
「……」
「ブワッ! シュワシュワシュワ……あ、これ私が超サイヤ人になった効果音な。いくぞー、かーめーめはーめー……ジリジリジリ……」
「……」
「波ぁぁぁ!! ギュオオオン! ドュワアアア!! ぎゃあああ! どうだ、まいったか弟よ!?」
「うぜえ」
~姉弟を怒らせる方法9~
『無断清掃』
「さっき姉の部屋掃除してて見つけたんだが、なんだっけあのエロゲー。えっと……姉汁だっけ? 激しく拒絶反応起こしたから捨てといたぞ」
「……てめえ弟」
~姉弟を怒らせる方法10~
『ニコニコ動画中毒者』
「あー神曲だこれは! 私の作業が妨害されてしまう!」
「どうした姉よ。そんなPC見てアホみたいにテンション上げて」
「あ、弟か。そうだそうだ、見ろよこの動画。マジ鳥肌だから」
「んー? またニコニコ動画か姉よ。……あぁMADってやつか」
「らんらんるー!!」
「よく分からんな。ドナルドでよくここまで盛り上がれるな」
「ニコニコ動画は常に流行の最先端をいってるよなー。そうは思わんか弟よ」
「俺にはよく分からん」
「弟よ、初音ミク知ってるか初音ミク」
「あぁ、あの機械音声に歌唄わせるやつな。正直俺には良さが分からんが」
「いやとにかく曲聞いてみろって! マジでそこら辺のアーティストとか作曲者とか軽く超越してるから。あ、歌ってみたとか踊ってみたとかもあるしな。それも見せてやろう」
「あぁ、うん。いい曲なんじゃないか」
「何だよ弟! お前全然分かってないだろ! あ、そうだ実況プレイとか見るか? 弟が今やってる格ゲーのやつとか」
「あぁ、それなら見たいかも」
「うむ、これこれ。この実況者の喋り面白いぞ。もう私の腹筋返せって感じだ」
「腹筋……? あー、この実況なしの動画ってないのか」
「実況があってこその実況プレイだろうが弟! なんだ、にわかか貴様! じゃあ神プレイ動画見るか? マジ神だからこれ、マジで神」
「うん、確かにすごいかもなこれは」
「ウメハラがぁー! 近づいてー! ウメハラがー! 画面はじー! ウメハラがぁー!!」
「……なんで動画程度でそんなテンション高いんだ姉よ」
「はぁ!? 動画程度だと? お前はホント遅れてるな弟よ。あーマジ遅れてるわぁ」
「はぁ、もういいよ遅れてて」
「なんだよー、諦めんなよ。諦めんなよ! もっと熱い血燃やしていけよ! がんばれがんばれできるできるそこだ気持ちの問題だ!!」
「な、なんだよ突然。それは何のネタだ」
「修造知らないのかよ修造! 日本一熱い男だぞ!?」
「松岡修造だっけ? それも流行ってんのか」
「修造が今だにテレビ出られてるのはニコニコ動画のお陰だからな」
「いやそれはないだろ、流石に」
「いやいやホントだって。全部ニコニコのお陰だから。らき☆すたを流行らせたのもニコニコ。アイマスもけいおんもボーカロイドも東方も阿部さんもぜーんぶニコニコ。あ、そうだこの動画も弟に見せたいと思って――」
「うるせえもう一人で見ろ!」