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24話 姉弟を怒らせる方法

~姉弟を怒らせる方法1~

『異端アピール』


 どうも弟です。今日は帰ってきて早々、姉にこんなことを尋ねられたのでした。


「なぁ弟よ。私って年中引きこもってエロゲやネトゲやってるよな」


「ん、そうだな。今さら確認するまでもない事実だ」


「そうか、やっぱ私って相当やばい?」


「んー、まぁやばいよな。是非改心した方がいいレベルだ」


「そうかー、やっぱやばいよな私。うん、トーストにはいつも生クリームかけて食べるくらいだしな」


「あぁ、あのトーストは見ているだけで胸焼けする」


「やっぱ私の味覚センスってやばい?」


「……やばいだろうな」


「なー。やばいよなぁー。私ってホラ、何もかも普通じゃないじゃん? こうして引きこもりやってるくらいだしな。なんだろう、浮き世離れしてるみたいな? 最近テレビもあんま見ないんだよなぁ」


「そうか」


「弟はいいなぁ普通で。私も普通の人間になりたいわ。グロ動画とかもポテチ食いながら無表情で見られるくらいだし。なんていうの、狂人? サイコパスみたいな? 私ってそういう一面も持ってるからな。キレると常人では想像もできないことしでかすよ?」


「あぁ……捕まらないことを祈るよ」


「性癖とかも半端無いし。ロリにショタにゲイにレズ、SMや強姦はもちろんのこと、コスプレ、触手、鬼畜、拘束、監禁、まぁ一般人から見れば異常と思われるものには幅広く精通している。流石にスカトロとなるとちょっとアレだが。でもそれを差し引いてもこんだけ属性あれば私って相当やばいよな?」


「……あぁ、やばいんじゃないのか」


「あとたまーに普通の人間には見えないものも見えちゃったりするんだよな、実は。いやぁ生まれつき霊感強くてさ。一般人過ぎる弟の分もそういう遺伝受け継いじゃったみたいな? あとそうだな、宇宙人との交信はもはや日課だし、悪いやつは大体友達で、音楽とかもさ、マイナーなのしか聞かないんだよな。どうも大衆受けする音楽は耳に合わなくてねぇ。それから――」




~姉弟を怒らせる方法2~

『知らぬが仏』


 やぁ姉だ。

 今日は久しぶりに弟が手の込んだ料理を作ってくれた。ホカホカ良い匂いの、クッキングパパも裸足で逃げ出すホイコーローだ。こいつはなんともご飯が進みそうじゃないか。


「久々に美味そうなの作ったなー弟よ」


「……あぁ美味いぞ……うん」


「よし、早速いただきまーす」


 うん、うまい! なんだこれは!

 豚バラも柔らかく、豆板醤がピリッと利いていて美味だ。ピーマンやキャベツのしんなり具合も素晴らしい。ほのかににんにく・しょうがのアクセントがなんとも言えない。なんだこれは、口の中がリオのカーニバルや!

 食べ続けること、10分。私はあっという間にそれを完食したのだ。


「どうだった、俺のホイコーローの味は……?」


「文句なしに美味かったぞ弟よ。美味すぎて思わず私の口内で情熱の祭典が開かれた」


「そうか? あーそうかよかった! なんだ、美味かったのか。なんだなんだ、心配したが、なんだ美味かったのか」


「……? 何だ。このホイコーロー、なにかあったのか」


「いや、鬱蔵が姉のホイコーローの上にくしゃみ吐きかけてな。まぁでも美味かったならよかったよ」


「……」




~姉弟を怒らせる方法3~

『等価交換』


「おっかしいな……。おい姉よ、銀行からおろしたばっかりの俺の5万円知らないか」


「あぁ、最近肩凝ってしょうがないからその金でマッサージチェア買ったよ。いやぁこれが気持ちいいのなんの」




~姉弟を怒らせる方法4~

『熱唱』


「姉よ。もう春だな。なんとも清々しい季節だとは思わないか」


「さくぅらああああさくぅらああああ! いまぁ咲きほこぉるうううううう!!」


「新しい出会いと生活の季節だ。お前もニートを卒業して気分一新して――」


「ひとつだけ分かってたことおおおおお! この支配からの! 卒業おおッッ!」


「こう、やはり姉は社会への一歩を踏み出すという勇気が――」


「君がくれた勇気はおっくっせんまん!! おっくせんまん!!」


「姉も求めるばかりではなく与える側に――」


「あれが欲しい! これが欲しい! もっと欲しいもっともっと欲しいいいい!!」


「姉には覇気が足らな――」


「おりゃおりゃおりゃどかーん! もひとつおまけにどかぁぁぁん!!」


「おい姉――」


「こなああああああああああ!!ゆきいいいいいい!!」




~姉弟を怒らせる方法5~

『死にたがり』


 姉がソファでぐったりとしていました。手足を投げ出し、いかにもやる気ないですよオーラを出しています。


「あー、死にたい」


 しかもこんなこと言ってます。


「どうした姉よ。いつにも増してネガティブだな。何かあったか?」


「いや、何かあったというかな……なんだろう、私って誰にも必要とされてないんだなぁってふと考えちゃって、そしたら何もかもどうでもよくなってな」


「……なんだそれ」


「あぁー元気が出ない。あぁー死にたい。あぁー! あぁー!!」


「元気じゃねーか」


「元気なものか。死にたいわもう。手首切りたい」


「……」


「最近薬飲まないと眠れないんだ。悩み過ぎて」


「大変だな」


「私って本当報われないと思わないか?」


「……どうだろうな」


「弟よ、私はほんと不幸の星の下に生まれたと思うよ。私ほど不幸な奴っていないんじゃないか。あー人の目が恐い」


「そうか」


「こう、なんだ。何をしたってどうせ人間は死ぬって考えたら突然生きることがしんどくなって。あぁ死にたい。死んだら楽になるんだろうなぁ。どうせ生きていても辛いだけ。どうやって死ぬのが楽だろう。首吊るか。やっぱ手首切るか。今すぐにでも投身したい。あぁー死にたい。あぁー」


「死ねよもう!」

碑文谷教授の人の怒らせ方講座のパロディです。

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