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第六節 朝

目を覚ますとそこには見慣れた天井があった。自分の部屋だ。俺はどうやって自分の部屋に来たんだ? ダメだ、全然思い出せない。

すると、ドアをノックする音がした。


「ゆうちゃん〜起きてる?」

「うん。今起きたよ。」

「ご飯ができたから降りてきてね〜」

「うん。わかった。」


そう母さんが言うと、俺はベッドから起き上がりカーテンと窓を開けた。すると部屋には、気持ちいい朝日と春の香りがする風が入り込んできた。その光と香りを体の五感全てを使って感じた。


「はぁ〜気持ちがいいなぁ。」


そう言うと、俺は階段を降りてリビングに向かった。

時計は7時半を指していた。


「おぉ、おはよう。」

「うん。おはよう。」


リビングに入ると、寝癖で髪がボサボサになっている父さんがいた。父さんはテレビのニュース番組を見ていた。テレビの向こう側では、ニュースキャスターが凛とした表情でニュースを報じている。

昨日、宇海(うみ)市の住宅街で住宅火災が発生しました。火は1時間後に消し止められましたが、焼け跡から一人の男性の遺体が発見されました。男性はこの家に住む、58歳の為外由嗣(ためがいよしつぐ)さんだと見られ、現在遺体の確認を急いでいます。消防によると、放火の可能性があるとして現在調査を進めています。

次のニュースです。現在桐真市(きりま)周辺で、行方不明者が多発しています。行方不明者になる方の特徴、年齢、性別ともにバラバラで、行方不明者の人数は現時点で300人に上っています。。多くの行方不明者のご家族が捜索願いを出したことにより、警察が捜索に乗り出しましたが、手がかりがなく難航している模様です。もし心あたりがある方は桐真警察署までご連絡ください。次のニュースです......


「最近物騒だな......しかもどちらも家の近くじゃないか。ユキ、気をつけろよ?」

「あぁ、わかってるよ。」

「今日は岬ちゃんと一緒に学校に行った方がいいだろう。流石に心配だ。」

「そう言ってもいつも向こうの方から来るじゃないか。心配しなくても大丈夫だよ。」

「そうか......ならいいけど。」


心配性だな父さんは。そう思ったが、それも仕方がないことだとも思った。俺が住む桐真市ではここ数ヵ月間で、行方不明者が増加していたり、住宅に強盗が押し入り金品を奪い去っていく事件や、通り魔が発生しているなどと、あまりにも事件が起きすぎているのだ。父さんの心配性は、母さんのお節介のレベルを大きく上回る。だから仕方がないと思った。


「さあさあご飯が出来ましたから、食べちゃいましょ。」

「おっ! 待ってました。じゃあいただきマース。」

「はい、どうぞ。」


母さんは嬉しそうにそう言った。父さんはさっきまでのシリアスな雰囲気から一転、甘々になってご飯を食べ始めた。夜だけならまだしも朝もなると、もはや何も言えなくなる......


「はぁ〜。そういえば、昨日あの後俺はどうしたの? 記憶がないんだけど......」

「あの後、ユウちゃんがユキちゃんの部屋まで担いで寝かせてあげてたわよ。」

「そうなの? 父さん?」

「あぁそうだよ。爆睡してもんな〜覚えてるわけないか。」

「重くはなかったの?」

「いや全然。むしろ、軽すぎて落っことしかけたぐらいだ。」


父さんは笑いながらそう言った。俺の体重は50kgぐらいあるはずなのに、軽々と持ち上げるとはさすがは父さん。

そんなことを考えながら、朝食を食べた。





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