第三節 家にてその一
「じゃあ先輩、明日の約束忘れないでくださいね。」
「そっちこそ忘れるなよ、明日は試験勉強するために奢るんだからな。」
「わかってますって。じゃあまた明日先輩。」
「あぁ、また明日。」
岬の家の前に着いた俺たちは、明日の約束を確認し合うように話して別れた。岬と俺の家は歩いて5分程度の所にあるからすぐに着いた。
「ただいま。」
「おかえりなさ~い。今日のお弁当はどうだった? おいしかった? また作って欲しい? あっお風呂沸いてるから先にお風呂入る? パジャマはユキちゃんの部屋に置いてあるよ。それともご飯? それとも......」
「先にお風呂に入るよ。」
「そう? じゃあ入ったらご飯ね。ゆっくりしてらっしゃい。」
このマシンガンの様に聞いてくるのは羽島礼華、俺の母親だ。天真爛漫でおしゃべりが大好き。俺が言うのも難だが、かなりな美人だ。聞く話によるが、学生時代はかなりモテたそうだ。
俺は階段を上がり、自分の部屋に荷物を置いて浴室に向かった。
風呂から上がった俺は、リビングでテレビを見る事にした。しかしどのチャンネルも面白くない。人の不幸は蜜の味、とでも言うかの様に不祥事を起こした人間の事をこれでもかと報道しているニュース番組ばかりだ。
もっと他にやることはないのか、そう思いながら俺はテレビの電源を消しスマホに手を伸ばした。
するとリビングのドアが開いた。そこには見慣れた男の姿あった。
「ただいま~レイちゃん今日の晩御飯はな~に~?」
「おかえりなさ~いユウちゃん~。今日のご飯はハンバーグよ~」
「もしかして? レイちゃんの手作り......かな?」
「もちろん手作りよ~。ユウちゃんとユキちゃんのために愛情を込めて作りました。たくさん作ったからいっぱい食べてね。」
「よっしゃあ~! レイちゃんの手作りハンバーグだ~!」
「ふふっ、ユウちゃんがそんなにもうれしそうにしてくれるとこっちも作り甲斐があるわ。」
なんなんだ......このイチャイチャラブラブは? まるで新婚みたいじゃないか。 まぁともかく母さんの手料理に歓喜しているこの男は、俺の父親羽島優一郎だ。このイチャイチャラブラブがこの日だけならまだいいのだが、これが毎日となると流石に見てる方が飽き飽きしてくる。
「ユウちゃんのパジャマは部屋に置いてあるから早く着替えてきてね?」
「うんわかった! すぐに着替えてくるよ!」
母さんは甘えた口調でそう言うと、父さんは光の如き速さで部屋に上がっていった。実に楽しそうだ。
「さぁて、ユウちゃんが降りてくるまでに準備しちゃいましょう。ユキちゃんも手伝ってくれる?」
「うんいいよ。」
俺はそう言って母さんと夕飯の準備を手伝った。




