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第二節 部活

岬とのバカなやり取りを終えた後、俺たちは駅に向かって歩いていた。

俺と岬の家は近くにあるが、学校は遠いので電車通学しているのだ。一人で家に帰るのは心細いから俺の所に来るのだろうが、これが毎日となると友達がいないだとかクラスで除け者扱いされているかもと色々心配になってくるので、少し聞いてみた。


「岬はほぼ毎日学校が終わると俺の所に来るが、何か部活や委員会に入ってないのか?」

「入りませんよ~そんな面倒くさい所。好きでもない事に労力をかけて、無為に時間を過ごすことはしたくないんですよ。」

「じゃあ同じクラスの仲がいい人と一緒に帰ったりは? 一緒に帰る途中にお洒落な店に寄って楽しくおしゃべりすることはしないのか?」  

「仲がいい人はいますけどその子たちは部活ですから。でも安心してください。もし部活じゃなかったとしても、私は先輩と一緒に帰りますよ。」

「......」


あぁ......心配するだけ無駄だったのかもしれない。岬は俺が思っている以上に芯の強い子だ。強く成長したなぁ。

そんな親心にも近い気持ちを抱いていると、今度は岬が聞いてきた。


「そういう先輩こそ部活に入らないんですか?」

「入ってなかったわけじゃあないんだぞ。一応高1の時は部活に入ってたからな。」

「へぇ~何の部活だったんですか?」

「旅行同好会」

「そんな部活がウチの学校にあったんだ。知らなかった。」

「そりゃそうだ。今は廃部になってるからな。」

「えぇっ!? どうして廃部になったんですか!?」


岬は当然の疑問をぶつけてきた。

俺はこの疑問にこう答えた。


「知らない。俺が入って半年もした時に突然、旅行同好会が廃部になったって顧問の先生が言ってきたんだ。だからなんで廃部になったのかは知らないんだ。」

「そうですかぁ。変な話ですね。普通その部活に問題があったとしても休部か一時活動停止ぐらいだと思うんですけどね。でも先輩、なんでその後他の部活に入ろうとは思わなかったんですか?」

「なんかもう面倒くさくなったから、入らなかった。」


この言葉は嘘だ。俺は旅行同好会が廃部になった真相をすべて知っている。他の部活に入らなかったのも面倒くさいからではなく、俺がもう学校全てのことに関わりたくないからだ。でも事実を話すためには岬の過去が大きく関わっている。俺にはまだ岬の過去に、塞がりかけている瘡蓋(かさぶた)に触れる勇気がない。

だから俺は、露骨すぎるかもしれないが別の話にすり替えることにした。


「まぁ俺の話はいいだろ。そういえばそろそろ中間試験が近いだろ? 勉強大丈夫か?」

「あぁ!? 忘れようとしてたことを思い出させないでくださいよ!? 大丈夫なわけないじゃないですか!? 」

「あぁ......やっぱりヤバいんだな......」


そう俺は岬が勉強嫌いだという事を知っている。嫌いではあるが出来ないわけではない。ただ、嫌いなだけ。小さい子供ように勉強に興味が向くためにお膳立てしなければいけない。岬の弱みに付け込んで話を逸らした事に少し罪悪感を抱いたが、その分謝罪の念も込めて全力で勉強に付き合ってあげよう。


「明日の放課後、家の近くにあるファミレスで勉強するか? 飯も俺が奢るぞ。」

「いいんですか!? やった〜。ありがとうございます。」

「ただし、奢るからには全力で勉強してもらうからな。こっちもその気でスパルタでやっていくからよろしく頼むよ。」

「うっ......まっ......まぁ頑張ってみますよ。」


岬は俺の言葉に少し顔を引き攣らせながらそう答えた。気前のいいことを言ったが、実際今の俺は金欠で困っているのだが仕方がない。これも岬への罪滅ぼしと思えば安いものだ。ただ、岬が一体どこまで試験範囲を理解できているか心配だなぁ。

そう思いながら俺たちは帰路についた。




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