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通ってきた悪路も振り返ってみれば

作者: 斗河 楓

 私が中学生の時、好きな先輩がいた。同じ部活の先輩で、いつも教えてもらっていて自然と好きになっていった。しかし告白する勇気はなくて、そのままの関係で先輩は高校へと進学してしまう。


 当然のことながら先輩の行った高校に私も行こうとするのだが、先輩は部活ではちゃらんぽらんなのに成績だけは良くて、私の成績ではとてもじゃないが無理だった。だがその高校以外に行きたいところはなかったし、先生と親に無理を言って、その高校を受けることを決心した。


 中学3年生の1年間はとても辛いものだった。勉強はわからないし、励ましてくれる先輩はいない。周りも応援してくれるどころか諦めたらどうかと言ってきて、何度も心が折れそうになった。でも私は諦めなかった。どうしてももう一度先輩に会いたかった。告白しなかったことをこんなに後悔するとは思わなかった。


 そして迎えた合格発表日、まさかの合格でもうその場で叫びだしてしまうほど嬉しかった。また先輩のいる日常に戻れると思うと胸が弾んだ。


 まあ、その胸の弾みはまるで空気の入っていないボールのようにすぐに落ち着いてしまう。高校に入学してから知ったことだが、先輩は彼女を作っていたのだ。しかも中学を卒業する前に! その事実を知った日、高校の通学カバンを床に叩きつけ、スマホを壁に投げつけた。なんとまあ抜けていたことだ。高校を決める前に他の先輩や同級生に聞けばこんなに徒労をすることもなかったのに。


 ただ、中学3年生の時の猛勉強が本当は徒労なんかじゃなかったと知ったのは大学受験の時だ。小学生の頃、よく一緒に遊んでいた男の子と偶然にも再会したのだ。しかし、私は受かって彼は落ちたのだが、彼は諦めなかった。推薦入試で大学を落ちた彼は猛勉強し、センター試験に見事合格したのだ。その必死さは、私の中学3年生の頃とよく似ていた。


 学部学科まで同じだった彼は、大学に入学してまもなく、私に告白してきた。なるほど、彼に会うために勉強してきたのかと思うと、猛勉強どころか、中学校の頃に告白しなくてよかったなとまで思ってしまった。

 どうも、斗河楓と申します。

 女子高校生の苦難を書きました。斗河は受験する方々を応援しています。


 Twitter : @KaedeTokawa

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