7話 孤独の追憶
商人ギルドでの説明もあまり聞いてはない状態ではあったけど、終わった。
宿に戻る途中、あるいは宿で休む途中、これまでの事について考えていた。
マイカルさんが来る。
もし旅を続けるなら、そして、マイカルさんが着いていくことを望むのなら、僕は今までの一人旅をやめることになる。
それはなんだか自分の過去を否定するようで…
選択を間違っていなかったと胸を張れるようになりたかったのだ。
王という権力に見捨てられた僕は、王都で何とか生きることを目標に据える。
そのためにはまず、情報が必要だ。
とりあえず、この持たされた金貨の袋の価値を知りたい。
泣いて、混乱した頭ではそれを考えるのにも手間取ったが、泣いていたってどうにもならない。
僕は涙を拭いて、王城を背にし、正面を見る。
王城からまっすぐ大きな門へと続く大きい道。その道のど真ん中に僕は立っていた。
ただ、その大きい道のどこを見ても、歩行者は端に寄って歩いている。
僕も真似して右端に寄る。
さて、どうしよう。
何せ僕、人見知りなのだ。
サンディさんの時は困惑が緊張を飛ばしてくれていい感じに会話が出来た。
ただ、今の僕の頭は冷静なのだ。
しかしよく考えたら、ここで人見知りを言い訳にしてたら何もわからず死ぬ可能性がないこともない。
死因 人見知りなんて絶対に嫌だからね。
とりあえず人は選んで…通り沿いのお店を見ながら歩く人の良さそうなおばあさんに話かけてみる。
「あ、あ、あの!そこのおばあさん!」
すごいどもったけど、何とか言えた!
おばあさんも反応してくれて、「何だね?」と聞いてくれた。
「この金貨の価値を教えて欲しいんですけど、いい」
「金貨の値段は10000AMから変動しないさ。変な若者だねえ。」
話を遮られ、なんだか怪しまれてるよね…?
なんていえばいいんだろ、気の利いた言い訳は浮かんで来ないし…
「ま、そういう勘違いもよくあるね。あなたみたいな貴族だと特に。」
貴族…?
それってあれか?
なんか土地を管理して偉ぶってる様なあれ?
でも、なんだってそんなものに…
「貴族、では無いです。判断基準を教えて貰ってもよろしいでしょうか。」
「金貨をポンと出して、この通りを歩くものたちよりもいい服を着て、下手なお忍び貴族にしか見えないね」
なるほど、服。後で【衣 】を使って服も替えておくか。
今、このおばあさんが見てる前でやる訳には行かないしなあ…
とりあえず。
「まあ、明言は避けますよ。それはそうとこの辺りで1番安い宿を知りませんか?」
衣食住の確保が先だ。【衣 】はスキルがあるからいいとして、問題は食住を確保するお金をどうやって得るかだ。この金貨だって有限では無いだろう。まあ、今日は疲れたのでとりあえず眠りたい。
「1番安い宿はおすすめせんね。寝心地が悪いから。
そうだね…」
と、持ってた端紙にどこかの地図と概要を書いて渡してくれた。
「この宿に行くといいさね。知り合いが経営してて、サービスの良さは保証するわ。」
「ありがとうございます。」
一礼して、地図の案内にそって向かう。
…ふぅ、何とか会話を終えることが出来た。大人しめの人だったから良かったけども、これからこうやって生き抜いていかなきゃいけないんだよな…
それなら、一生、孤独でいいかも。
ここまでのご閲覧、ありがとうございます!
そして、ブックマークと評価をしてくれた人にも、感謝申し上げます。
読者様に謝らなきゃいけないことがあるのですが…
毎日更新を掲げたこの小説。実はここ3、4日更新できておりませんでした。
大変申し訳ございません。もうこのようなことがないように努力いたしますが、またやった場合は暖かく見守っていただけると幸いです。
9月30日追記
ごめんなさい。毎日更新無理です。日々忙殺されています。ですから、1週間お休みをいただきます。10月7日までお待ちください。