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2話 欠けたスキル

魔王を倒すのにあなたが必要だから協力してくれと言われ、差し出された手を、感極まった僕はずっと握っていた。


「離してもらってもよろしいでしょうか?」


そう言われるまで。

気付いた時、僕はもう恥ずかしくてサンディさんの顔を見ることが出来なかった。


そんなことをしている間に、兵士さんのひとりが青い石の付いた指輪を1つ持ってきた。

そして僕に跪いて差し出すのだ。

なんでこう大げさなのか…

いや勇者だからなんだろうけど、慣れないなあ。

とりあえず指輪を受け取って普通に立ってもらう。


「この指輪はなんですか?」


よく分からないものをはめる訳には行かないのでとりあえず聞いてみる。不信感が込められた質問にも快く答えてくれた。


「さっき、無間を通ったものは力を得ると話しましたね。それはその力を視覚化出来る指輪なのです。サイズは変わります。さあ石を床に向けてしてはめてみてください。」


快く答えてくれたのはいいがいまいち信用できない。

なんで石を下に向けてはめるのかもよく分からないし…

だが無言の圧力、いや期待に応えることしか僕には出来なかった。


少し大きめかな、と思っていた指輪は、右手の人差し指の奥まではめるとちゃんと小さくなった。

なるほど、可変とはこういうことなんだね。

で、力を確認するのはどうしたらいいんだろ?

と考えた瞬間、指輪は青色の画面を白い床に投影する。


サンディさんが説明を挟む。

「力を見たい、そういう思いに呼応して作動するのです。」


便利な仕組みだね。

どういう風に出来ているんだろう?

そして、石を下にしなくてはいけない理由にも納得がいった。

床に投影するからそうしなきゃいけなかったのか。

納得して床の画面を見てみる。


加藤空かとうそら

スキル

【翻訳】

【衣 】

【生存 】


…へ?

なにこれ、不具合なのかな?

スキルってのが力のことなんだろうけど…

なんか、欠けてない?


サンディさん、兵士さん、王様も不思議そうにしている。

長い沈黙の末、ようやくサンディさんが口を開く。


「加藤空という名前なのですね。にしても、これは…はじめてですね。効果は確認出来ますか?その力に意識を強く向けてみて下さい。」


そういえば自己紹介してなかった。

だけど今それは重要ではないような…

とりあえず言われた通りにしてみる。まずは

【衣 】からだ。

頭の中に文字が浮かび上がる。


[未完成のスキル。布がなくても布製品を作ったり、修繕したりすることが出来る]


未完成、らしい。

どうやったら完成するのかな。

まあ、【生存 】もやってみるか。


[未完成のスキル。一辺5メートルの立方体にいる味方全てを回復させることが出来る。]


こっちも未完成か…

とりあえずそのまま伝えてみると、明らかにサンディさんの顔が曇った。王様もこころなしか悲しそうな感じがする。サンディさんは兵士に耳打ちをしてどこかへ行ってしまったが、耳打ちされた兵士が明るく話しかけてくれた。


「…まあ、長話もここまでにしときましょう。私室まで案内しますよ、加藤さん。」


「はい。ありがとうございます。」


そうしてその場は解散した。僕は本当に知らなかったのだ。

僕が私室へ案内され、高級ホテルのような部屋に喜んでいる間に…

【衣 】の力はは魔王に対抗できる戦力ではなく、戦闘に使えそうな【生存 】の力も、替えがきく。

つまり役立たずだと認定されていたことを。





ギリギリの時間&前回より短めになってるのはほんとに申し訳ございません!

次の話はボリュームを元に戻してお届けします!

出来れば増やします!

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