魔法陣
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強く体から湧いてきた力をどうすればいいのか、体がわかっているみたいで自然と手を伸ばしていた。
崩れかけたこの天井、壁を抑えなければと。
頭の中での強い思いと同時に、手の平から前世でよく見たような綺麗な魔方陣が光っている。
こんな時だけど、私やっぱり転生者なんだな……なんて頭に浮かんでいた。
だってこんなのゲームかアニメでしか見たことない。
なんの努力もしていないのに、こんな魔法が使えるなら、やっぱりよく見たラノベの転生者だもん。
頭の中でぐるぐる考えているうちに、壁と天井は光の布のようなものでしっかりと包まれ崩れてくる気配はないようだ。
「 ああ、これで死ななくてすむ… 」
口から声を出した瞬間、体の力が一気に抜けたようだ。
立っていられない。
……頭打つのかな……休むなってあの鞭野郎に怒鳴られるかも……。
うっすら残る記憶の中で、金色のキラキラしたあの人が駆け寄ってくるのが見えた気がする。
よかった、助かって……。
そう思いながら意識はそこで途絶えていった。
「王子!!!無事ですか!!!」
少し焦った表情で走り寄ってくる黒髪の男。
「ああ、大丈夫だ。この方のおかげで怪我一つない」
自分の腕の中で眠っている人物を見つめ、微笑えみながら通る声で答えた。
あれは、私の見間違いでなければ転生者にのみ使える聖属性魔法という物であろう。
偶然ではあるが、やっと見つけた。
転生者が現れたのが私の耳に届いたのは本当につい最近の話だ。
どうせあの王妃のバカバカしい対策か何かだろう。
銀髪の女。それが転生者の条件の一つらしい。
昔、母に読んでもらった絵本に出てきた聖女によく似ているように感じる。
「王子、もしやその方が例の……」
「ああ、間違いないと思う。あの魔法の強さ、正確さはありえない。」
「ただ、問題なのは…」
男という事だな……。
お読みいただきありがとうございました。