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99.復活の……


「くっ……これはっ!」


 急に重くなる身体。

 まるで強い重力で押しつぶされているような感覚だ。


『まずいシオン! 完全に術式にハマった!』


「ははははッ! これで貴様もお終いだ! 残念だったな!」


「おい、ウソだろ……シオン!」


「シオン……!」


 ユーグとリィナ、二人の叫び声が轟く。


 その叫びが聞こえてきたのと同時に高笑いをするバルガ。 

 バルガはサッと刺さった剣を抜き、血の噴き出す胸元を抑えた。


「実力は貴様が上でも計算能力はこっちの方が上だったみたいだな」


「……狙っていたというのか?」


「貴様との実力差が分かった時からな。最も、バレないようにしてはいたが……」


 ってことはあの謎の圧も演技の一つだったわけか。


「だがまさかあの隙をついてくるとは思わなかった。隙は自分で作る予定だったからな。流石にあの時はひやっとしたぜ。コアが貫かれたらお終いだったからな」


「そ、そうか……心臓を貫いて動けるのはコアが……」


「そうだ。俺たち魔族は生命の源となる核部分(コア)さえ破壊されなければ生きていける。どうやら貴様の完全敗北のようだな」


 勝利を確信したかのような笑み。

 バルガの中にはもう負けという二文字は存在していなかった。


「クソッ……グラン、何かこの状況を脱する方法はないのか!?」


『ざ、残念だが我の力ではこの術式は……』


「無駄だ。暗黒魔法は絶対術式と呼ばれる特殊な術式を込めたもの。発動者を殺さない限り、どんな方法であれそこから抜け出すことはできない」


 まるで呪いのような術式だ。

 身体が思うように動かない。


「にしても、ただの人間風情がこの俺様にここまで傷をつけるとは……」


「ふっ……初めから自分に傷がつくのは想定済みだったんだろ? その暗黒魔法とやら対象者との距離がかなり近距離でない限り、発動できないみたいだからな」


「ほう……たった一度発動させただけでそこまで見抜いていたのか」

 

 見抜いたというのも半分くらい勘だが。

 そんな便利な魔法があるのならポンポン打てばいい話ってことを考えての推測だった。


 バルガは続けた。


「そうさ、俺様は貴様と戦って自分の実力の方が劣っていることを知った。まとも戦っても勝ち目がないとな。だが今、形勢は逆転した。その術式にかかった以上に貴様がどれだけ強かろうが勝ち目はない」


「それにしては、何だか嬉しくなさそうだな。さっきから顔が怖いぞ?」


「……当たり前だ! この俺様が……この六魔の一角に名を馳せる俺様がたかが一人の人間如きにここまで追い詰められたんだぞ!」


 バルガは血管が浮き出るほど声を張り上げる。

 よほど自分の実力に自信があったらしい。


「認めたくはねぇが貴様は俺様よりも遥かに強い。こういう勝ち方しかできないのが、イライラして仕方がねぇ!」


 いや、知らんがな。

 

 そう言いたいが、俺の状況が状況。

 必死に何か策はないかと思考を張り巡らせる。


「だが、過程はどうであれ勝ちは勝ち。このままじっくりと死を待つのもいいが、やはり貴様はだけはこの手で殺さねぇと気が済まねぇ」


 バルガはパキパキと手を鳴らし、近づいてくる。

 

(これは……殺る気か……?)


 無理矢理身体を動かしてみるもビクともしない。

 ただひたすら力が吸われていき、もぞもぞすることすらもできなくなる。


(クソッ! 動け……動けよ!)


 心は間にあっていても身体がついてこない。

 

 まさに万事休す状態だった。


 だがバルガは容赦なしに寄って来る。


「ま、動けねぇ敵をぶっ殺すのはあんまり気持ちいいことじゃねぇが……」


 バルガはニンマリと笑みを見せ、俺の前に立ち止まる。

 そして胸元に潜めていた短剣をそっと取り出した。


「……さぁ、覚悟しろ。これからお前をあの世にご招待してやる」


「……ッ!」


 バルガは短剣に魔力を込める。

 もう徹底的に殺すつもりのようだ。


(くっ……ここまで……なのか?)


「……さらばだ。シオン・ハルバード」


 バルガはバッと短剣を振り上げる。

 俺の身体は全く動かず、もはや自分自身では制御不能になっていた。


(くそっ……ここまで……なのか?)


 そう心が落ち込み、覚悟を決めようとしたその時だ。




「わたしの大切な人に……手を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 

 その声と共に目の前に突然目の前に現れる謎の影。

 バルガが勢いよく振り下ろした短剣を見事なまでに弾き返した。

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