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63.道中


 王都を出発してから約30分。

 シオンたち一行は順調に旅路を辿っていた。


「いやぁ~まさかこのメンバーで遠出することになるなんてね。初めてなんじゃないか?」


「別に遊びに行くわけじゃないんだぞ」


「分かってるって。でもこう言った方がモチベーション上がるだろう?」

 

 目的地の峡谷までの道のりは約一日ほど。

 それまではのんびりと馬車での旅が続く。


 今回は討伐任務ということでグランも同行。

 そして一応素材用の希少鉱石を見つけた時の為に素材袋を持参してきた。

 

 後は水袋やちょっとした携帯食など小さな袋に入れて……という感じだ。


 ちなみにグランのことはもうユーグとリィナにカミングアウトしている。

 二人とも予想通りの反応をしてくれた。


「それにしても魔人の次はドラゴンかよ。最近の任務は荷が重いモンばかりだな。しかも今回は無償ときた」


「仕方ないだろ、相応の罪を犯したんだから。本当だったら今頃俺たちはお縄でムショ行きだったんだぞ?」


「でもよぉ~流石にドラゴン討伐は罪が重すぎる。あれ、結構面倒だし……」


「ユーグさんは結構ドラゴン討伐の経験があるんですか?」


 俺の隣にいたリーフレットが質問。

 ユーグはその質問にうんうんと頷く。


「もちろん。まぁ回数で言えばシオンの方が多いだろうがな」


「シオン、ドラゴン討伐に慣れているの?」


「いや、慣れてるっていうかたまたま任務が俺のいた部隊に回ってきていただけというか……」


 ドラゴン討伐の任務はギルドに属する冒険者たちの間では高難度クエストと誇張化されているが、勇者たちにとってはそうでもない。


 割と普通の任務として依頼が来ることが多いのだ。

 だから俺も勇者時代に何度か討伐に行ったことがある。


「二人は初めてなのか?」


 俺はリィナとリーフレットの質問すると、


「初めてじゃないんだけど、数回程度しかないかな。前に討伐依頼が出た時もわたしは指揮側の立場だったから直接的に戦闘に介入したわけでもなくて……」


「わたしもリーフレットと同じ。それについ最近まで長期遠征に出ていたからドラゴン討伐なんて1年以上もしていない」


 ……ってことは、二人ともまだ経験は浅いと。

 

「大丈夫大丈夫! 二人に何かあればこのユーグ・フリードマンがお守りするからさ!」


 先輩面をかますユーグ。

 それを横目に二人の少女は、


「は、はい……お願いします」


「何だか少し心配です……」


「二人ともなんか塩すぎない!?」


 微妙な反応である。

 あの一件がやたらと響いているのか、今のユーグは何を言っても説得力を生まない。


 しかしながら、ユーグはこれでもSランク勇者の中では経験豊富な古参者にあたる。

 若年化しつつある勇者軍では知識を下の者たちに継承できる者が少ないため、組織ではかなり必要な存在。


 ユーグ自身もかなりの腕前の持ち主だし、組織改革を行う上では間違いなく重要かつ必要不可欠な人物。

 

 だがそれよりも問題なのはユーグ自身の個性の方が周りに知れ渡ってしまっているということだろう。


 軍内でもユーグを苦手とする女性勇者はいるみたいだし。


 実力はあるのに色々と勿体ない。

 

「でもユーグ。今回の討伐任務は少し気合い入れないとだぞ」


「分かってるよ。ってことはお前も団長から聞いたんだな?」


「まぁな」


「魔人の話……だよね?」


「ああ。一応何かあったら軍へ報告してほしいって言われた」


「俺たちで何とかなりゃいいんだけどな……」


 単に上級魔族の大群程度なら俺たちだけで十分だろう。


 でも仮にゴルド並みの魔人と相対したとなれば、かなり面倒くさい。


 しかも今回の主となる任務はドラゴン討伐だ。

 もし、そのドラゴンと魔人に関連性があったとしたらかなり厄介なことになる。


 リベルカの話だとどうも偶然なことには聞こえなかったし……。


「ま、とりあえずはその峡谷とやらに行かないと始まらないな」


「おうよ。もし仮に魔人に会っても俺たちにはシオンがいる。何とかなるさ!」


「おいおい、いきなり人任せかよ。さっきまでの意気込みは――」


「しーちゃん、頼りにしてるね!」


「わたしもシオンが戦っているところ、見てみたい」


「お前らもかっ!」


 笑い声で渦巻き、賑わう馬車の中。

 そんな時だ。


「えっ、ここから先は通行止めだって!?」


 突然馬車が止まり、同時にそんな声が聞こえてくる。

 どうやら馭者のおじさんが誰かと会話しているようだ。


「なんだなんだ? 何が起きた?」


「分からない。とにかく外に出てみよう」


 俺たちは馬車から飛び降り、回り込んで馬車の前へ出る。

 

 すると。


 見えてきたのは馬車の進行を止めている複数人の男たち。

 

 蒼色の鎧に身を包んだ三人の蒼騎士たちだった。

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