50.ショッピング
おかげさまで50話目となります!
これからも頑張って参りますので何卒応援の程、宜しくお願い致します!
シオンとユーグが何ともくだらない会話を真剣にしている中、二人の女勇者はある場所にいた。
「うん、中々可愛い。これならいける」
「り、リィナ。この服ちょっと露出が多いような……」
「それがいいの。特にリーフレットのようなスタイルお化けにはちょうどいいくらい」
「で、でも恥ずかしいよ……」
リィナとリーフレット。
二人の女勇者たちは本部に隣接する商業施設の中にある洋服店にいた。
「じゃ、これもお買い上げね」
「え、ちょっと!?」
二人で自由気ままに買い物……というわけではない。
リィナが強引に連れ回しているだけだった。
「さて、次は……」
「リィナ! ちょっとストーーップ!」
テンポよく先へ先へ進んでいくリィナにリーフレットは待ったをかける。
「なに、どうかしたの?」
「どうかしたの? じゃなくて、いきなりどうしたの? わたしの服を買ってあげるって……」
「そのままの意味だよ。リーフレットってあまりお洒落をしないイメージだから、少しでもって思って」
「そ、そんなことは……」
「しかもリーフレットって結構地味な服好きだよね? それも結構暗ーい感じの」
「……うっ!」
リーフレットの心に見えない刃が突き刺さる。
彼女は自分が地味専だってことは自覚していた。
だが別に好き好んでそういう服を選んでいるわけではない。
一言で言えば昔の名残みたいなものだった。
地味でか弱くて何かあればいつも幼馴染の男の子の後ろに身を潜めていた彼女は着飾るということを知らなかった。
それに彼女は辺境の田舎出身。
キラキラしたような洋服が自分にとって遠い代物であったということもあり、外面は目を見開くほど変わっても身なりに対する認識は変わることがなかったのである。
「だから、わたしがコーデしてもっとリーフレットを可愛くしてあげようってわけ」
対してリィナはとある都出身のご令嬢。
シオンは知らないが、リィナは貴族家の娘なのである。
だから生い立ちとしてはリーフレットとは正反対の道を歩んでいる。
身なりももちろん、貴族らしい派手寄りのものが多い。
まぁ、センスがいいか悪いかは人によるが……。
「でもなんで突然……」
ボソッとそう言うリーフレットにリィナは答える。
「単純な話。わたしはリーフレットの手助けをしたいの」
「手助け……?」
「そう、手助け。シオンに振り向いてもらうためのね」
「だ、だからそれは……!」
リーフレットは顔を真っ赤に染め上げ、必死に隠そうとする。
そんなリーフレットを見ると、リィナは「ふふっ」と淡い笑みを浮かべ、
「ホント、リーフレットは分かりやすいね。見てて面白い」
「か、からかわないでよ~!」
リィナ自身の中ではこういうことをする意味は他にもあった。
でも純粋に手助けをしたいという気持ちは本物。
リィナは彼女に対して特別な感情を抱いていた。
疚しい意味ではない。
もっとこう……根本的なものだ。
「……よし、とりあえずこれでOKかな」
……と、気がつけば振り回されてること数十分。
ようやくリーフレットの全身コーディネートが終わった。
「後はこれを着れる場所があればなんだけど……」
「ね、ねぇリィナ。本当にこの服着ないとダメ?」
「ダメ。だってリーフレットは今度、その服でシオンとデートに行くんだもの」
「で、デート!? それってどういう意味!?」
驚くリーフレットにリィナは、
「そのままの意味だよ。それに、わたしもちょっと見てみたいし……」
「えっ、何を?」
ふふふと意味深な笑みを浮かべるリィナ。
するとその時。
リィナは何かを思いついたかのようにポンと手を叩くと、
「あっ、そうだ。試着場所はあそこにしよう」
「あそこって……?」
少し不安そうに見つめるリーフレットに、リィナは答えた。
「演習場に隣接している別棟の女子更衣室。あそこがいい」




