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264.融合体

いつもご愛読、ありがとうございます!

本日は告知に加え、現在comicブースト様で行われているキャンペーンの案内もありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!


「やぁ、来たね」


 時刻はシオンたちが秘密会議を行う少し前に遡る。

 場所はとある国の宮廷内、金銀の装飾品で彩られている大部屋に一人の魔人が姿を現した。


「ヴァンゴッド様、準備が整いました」


 白のスーツを身に纏い、赤いネクタイをチラつかせる男がヴァンゴッドにそう告げる。

 ヴァンゴッドはグラスに入ったワインを一口含むと、「ふっ」と鼻で笑った。


「ベルモット卿、なぜそこまで動揺をしているんだい?」


「動揺……ですか?」


「うん、先ほどから耳障りなほどの鼓動が聞こえてくるからさ」


「も、申し訳ございません……」


 ベルモットは顔を合わせず、謝罪するとヴァンゴッドは今度は柔らかな笑みを浮かべた。


「気にすることはないさ。見たところ、これまでの失敗を悔いているんだろうけど、全て君に非があったわけではないからね」


「……ヴァンゴッド様にはお見通しのようですね」


「ふふっ、それこそが僕が『統べる者(ドミネーター)』である理由の一つだよ。たった一人の心情を見抜けないようでは上は務まらないからね」


「敬服いたします」


 ヴァンゴッドはベルモットの言葉を聞くと「はははっ」と機嫌のよい笑いをあげた。


「ま、無駄話はここまでにして本題に戻すけど、例の召喚が上手くいった……ということでいいのかな?」


「はい。ルーべリックとカスドの国境付近に複数の召喚魔紋を配置し、どれもうまく作動しております」


「オッケー、女王の件の方は?」


「先ほど先兵を手配致しました」


「了解。流石はリード・オブ・ダークネスの異名で知られる男だ。手際がいいね」


「お褒めに預かり至極光栄でございます」


 ベルモットは小さく礼をする。

 ヴァンゴッドは手に持ったワイングラスの縁を軽く撫でながら、


「でもまさか「自国の兵」を使いたいだなんてあのお嬢さんはよほど戦争に未練があるみたいだね」


「お嬢さん……?」


「あ、そういえば君は昨日現地入りを命じられたばかりだから伝えられてないのか。今回は「彼女」が我々の実験の被験体になってくれるんだ」


 ヴァンゴッドはそう言って後ろを振り返る。

 

 暗い部屋の奥から感じる闇の気配。

 コツコツと小さな足音を立て、次第に闇の気配の正体が露わになった。


「これは……」


「ふふっ、驚いた?」


 見えたのは一人の人間の少女。

 だがその体内から感じるのは人の血ではなく、魔族の血の気配とそれに引けを取らない魔力だった。


「人と魔族の融合体……まさか例の実験が?」


「うん。一応僕が主導する研究機関でなんとか形にできてね。その第一号が彼女ってわけさ」


 人と魔族の融合体の生成は魔王軍、ひいては魔界が人間界と渡り合うために必要な戦力を生む財源として期待されているものだ。

 これまでは魔王軍の直轄の一部の研究機関で行われ、人間界でサンプルとして「魔族の血」に適性がある人間を拉致しては実験を繰り返してきた。


 だがそもそも相反する性質からか実験はどの研究機関でも失敗に終わっていたと聞いていたが、どうやら成功体が生まれたらしい。


「まぁでもこれは小さな一歩に過ぎないよ。我々の目標は「魔人」さらには「上位魔人」級の血を人間に適応させ、最強の殺戮部隊を構築することが目標だからね。とはいえ今回は良い実験になると、ガルーシャ様も楽しみしておられている」


「……」


 黙るベルモットにヴァンゴッドはニヤリと厭らしい笑みを浮かべる。


「だから、良かったね。今回僕らは()()()傍観者だ。失敗したところで、誰にも咎められないよ」


 ヴァンゴッドは続ける。


「でも一応名目上の責任者は必要だから、それを君に任せたいと思うんだけどどうかな?」


「私が……ですか?」


「君はリベンジを果たしたいんだろう? 優しい僕がその機会をプレゼントしてあげようってことさ。あ、一応安心してほしいのは仮に失敗しても責任者は僕として報告しておくから君が直接上から何か言われることはないよ。もっとも、僕は失敗するとは思ってないんだけどね」


「……」


 黙るベルモットにヴァンゴッドは彼の肩を叩く。


「本当は僕が現場を見ておきたいんだけどねぇ。知っての通り、色々と忙しい身だから、ずっとは見られないのよ。悪いんだけど、引き受けてくれないかな? 君はただ、実験の行く末を宮廷内でお菓子でも食べながら見ていればいいんだ。もちろん、成功したら君の戦果として報告してもいいから」


「……分かりました。お引き受けいたします」


 ベルモットが返事をすると、ヴァンゴッドは柔和な表情を向けた。


「助かるよ。じゃあ、後は頼んだよ。僕の成果をうまーく使ってくれ」


 そういうと、ヴァンゴッドは霧の如く闇の中へと消えていった。

 ベルモットは小さくため息をつくと、暗さ際立つ空間に一言発した。


「まさに悪魔……ですね」

本話も読んでいただき、ありがとうございました!!


さて、お馴染みの更新報告になります!

現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第32話が本日更新されました!


今回は友情がメインの内容となっております!

前回から引き続き、リーフレットとリィナの友情物語になっていますので、是非読んでみてください!


小説版にはない二人のもう一つの友情が事細かに描かれていますよ!


また、本作のコミックス1、2巻、3巻そして最新刊の4巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!


また、現在comicブースト様の方でサマーフェアを実施しており、本作が下記期間で全話無料で読めるキャンペーンを実施中です!


キャンペーン期間:8月5日(火) 12:00 ~ 8月6日(水) 12:00まで


全話が一気に見れますので、この機会に是非読んでみていただけますと嬉しいです!


下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、ご活用くださいませ!


今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m


コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322

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