260.闇夜の中で
いつもご愛読、ありがとうございます!
今回は本作の新刊発売の告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
黒ローブの集団が俺を囲む。
夜の薄暗さと相まって相手の表情までは見えない。
といってもローブで隠されているから、昼だったとしても見えないだろうが。
「何者だ?」
俺がそう問いかけるも返答はない。
話す気は毛頭ないらしい。
「悪いが、急いでいるんだ。そこを通してくれないか?」
俺がそういって一歩動こうとすると、向こうもまた俺の方へ距離を縮めてきた。
『どうやら選択肢はないみたいだな』
「はぁ……」
面倒でため息が出る。
だがこうなった以上、致し方ない。
「そこをどく気がないなら、力づくでいかせてもらう」
俺はグランを構え、挑発すると、
「……貴様はやつに近づくための証人だ。殺しはしないが、それに近い状態になってもらう」
ようやく黒ローブの一人が口を開いた。
「なんだ喋れるなら――」
『シオン、来るぞ!』
グランの声が脳に響くと同時に、奴らは一斉に襲ってきた。
「……っ!」
俺はすぐさま回避行動をし、距離を取る。
だが向こうは巧みな連携技で俺が出せる選択肢を潰してくる。
「中々やるな……」
『油断するな、シオン。こいつらただのならず者じゃないぞ』
「分かってる。今のでよく分かった」
妙に統率された動き。
それに今の攻撃は完全な殺傷力はないものの、それに近しいとこを狙ってきていた。
「暗殺組織……か」
『ああ。それにただの雇われの殺し屋とも違うみたいだ』
勇者軍の仕事上、そういった輩の取り締まりは何度もやってきた。
故にこういった場面は特段珍しいことではないのだが、今回は少しレベルが高いようだ。
「これは、リベルカさんに良い報告ができそうだ」
俺は再びグランを構える。
今度はこっちの番だ。
そういっている間にも向こうは連携攻撃をとってくる。
総数は7人。
各々役割があるらしく、近接特化の連中の奥に2名ほど魔法を詠唱している奴らがいた。
「とりあえず、あいつらからやるか……」
俺は地を蹴り、瞬時に詠唱している輩の背後に回る。
「なに…!?」
瞬時のことで驚いたみたいで、彼らの動きは時がとまったかのようにピタリと止まる。
「悪いが、そこで寝ててくれ」
一刀。
瞬時に二人の詠唱職を地に伏せさせると、次は5人の近接連中の排除に移る。
二人やられたとはいえ、向こうは動じてはいなかった。
流石に場慣れしているのか、陣形を変えて攻めてくる。
逃げる隙を無くすためか、その素早い身のこなしで同時に俺の懐に入って来た。
「確かに洗練された動きではあるが……」
こういった状況には何度も遭遇してきた。
相手が魔物や魔族だっただけで、それは変わらない。
「お休みの時間だ」
「「……っ!?」」
向こうも俺の異変を察知したみたいだったが、もう遅い。
俺は自身の魔力をグランに込め、波動を周辺に発生させる。
瞬間、四方八方から攻撃してきた連中は一斉に吹き飛び、波動の影響でローブまでも焼き焦がしてしまった。
「やばっ、ちょっとやりすぎたか?」
『問題はない。仮に殺していたとしても正当防衛だ』
「やめてくれ、心配になってきた」
とはいえ、念のため安否を確認する。
確認したところ、とりあえず全員気絶しているだけだと分かった。
「良かった。気絶しているだけみたいだ」
『全くならず者の命の心配をするとは、相変わらずだな』
「ならず者とはいえ、相手は同じ人間だからな。無用な殺生はしないさ」
だがこの状況はすぐに報告を入れないと、マズイかもしれない。
あくまでこいつらは不安要素の一部でしかないだろうから。
「とりあえず、軍の人間を呼ぼう。グラン、こいつらを縛るの手伝ってくれ」
『……仕方ない』
グランはため息をつきつつも、人型に変化する。
その後、現地に軍の人間が来ると、ローブ連中はそのまま連行されていったのだった。
本話もお読みいただき、ありがとうございます。
前書きでお伝えした通りですが、遂に本日『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』4巻の発売日を迎えましたっ!
皆さまからの応援もあり、無事に4巻が発売できましたことを改めて心よりお礼申し上げます!
さてさて、4巻でも発売を記念して一部店舗様にてご購入いただきますと、オリジナルイラストカードの特典がついてきます!
引き続き作画を担当してくださっているGUNP先生完全描き下ろしの特別な一枚になっております!
どの特典も魅力が際立った最高かつ至高の一枚になっておりますので、是非お手にとっていただけますと嬉しいです!
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今回も全身全霊で書かせていただきましたので、是非お手にとってお楽しみいただけますと嬉しいです!!
詳しくは下記リンクの幻冬舎コミックス様の公式ホームページ、またはリンク等含めて活動報告に詳しい情報を載せていますので、是非チェックしてみてください!
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今後とも本作を何卒、宜しくお願い致します!
幻冬舎コミックス様HP:https://www.gentosha-comics.net/book/b658981.html




