259.夜道
いつもご愛読、ありがとうございます!
本日も告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
「じゃあ、わたしたちはこの辺で失礼するね。明日の日没に本部集合なの忘れないでね!」
「ああ、分かった」
『本日はどうもありがとうございました』
リーフとヴァイオレットはペコリとお辞儀をし、帰っていく。
「なんだか不穏な予感がするな……」
兎にも角にも明日の日没に行われる会議次第だな。
あまりネガティブな方向に考えすぎるのも良くない。
俺はそう言いつつ、その日はゆっくりすることにしたのだった。
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次の日、俺は仕事を終える王都へ向かう準備を整えていた。
「なんだどこかに行くのか?」
親方が身支度をする俺に話しかけてくる。
「今日は本部に行かないといけなくて。そういえばグランはどこに?」
「ヤツならまた職人と一手やってるよ」
親方が向けた視線の先にグランの姿があった。
ちょうど俺から見て、死角になっていたから気づかなかった。
当然のように人型の姿になり、お楽しみになっている。
「工房暮らしも板についてきたな」
『む、シオンか。その様子だと、何かあるみたいだな』
「ああ、本部に召集だ。行くぞ」
『むぅ……致し方ない。続きはまた今後やるとしよう』
グランは残念そうにチェス盤を見ながら席を立つと、剣の姿に戻った。
「快適そうで何よりだよ」
『まぁ、我にとってはここ以上に住みやすいところはないだろうな』
グランは親方の厚意で工房に置かせてもらっている。
俺としても工房の方がメンテナンスもしやすいし、俺が対応できない場合は親方に任せることもできる。
グラン本人も随分と居心地が良いみたいで、行動を共にする事案がなければ基本は工房にいる。
聖魂のおかげで互いの思惑が共有できるのもあって、離れていても召喚ができるから特に問題はない。
「あ、そうだ。夜道は気を付けるんだぞ」
俺が工房を出ようとすると、親方が何かを思い出しかのようにそういった。
「大丈夫ですよ。もう子供じゃないんですし」
「いや、そういうことじゃない。最近なんか物騒な連中が辺りをうろついているって噂があるんだ」
「物騒な連中?」
「ああ。黒フードを着た数人の輩だ。行商人などを狙っているって話だがな……」
物騒な連中か。
盗賊か何かだろうが、用心するに越したことはないな。
「了解です。ありがとうございます」
「おう、また明日な」
「はい、お疲れさまでした!」
俺はそのまま退勤すると、王都へ向けて歩き出す。
今日は一日快晴だった。
月夜が道を照らしてくれるから、ランプを灯す必要もない。
煌めく夜空、心地よい夜風、澄み切った空気を堪能しながら、歩いていた時だ。
「あれは……」
目の前に誰かが倒れているのを見つける。
「大丈夫ですか!?」
俺はすぐに駆け寄ると、倒れている人物に声をかける。
対象は気絶していて、俺の声は届いていないみたいだった。
だが、何故だろうか。
何かがおかしい。
「この感覚……」
『シオン! そいつから離れろ!」
グランの声が耳にこだますると、同時に気絶した人物の目が見開き、赤く光った。
俺はすぐにその場を離れると、距離を取る。
「くっ……!」
若干喰らってしまったか。
今のは麻痺化させる魔法だったみたい。
実際、俺の右手が若干痺れている。
グランの一声がなかったら、術中にハマっていただろう。
「すまん、グラン。助かった」
『判断が遅いぞ。もっとシャキッとしろ』
ぐうの音も出ない。
最近は比較的平和だったから、油断していた……という言い訳が脳裏を過った。
気絶していた人物は仕留めきれなかったと悟ると、ムクりと起き上がる。
同時に黒い靄のようなものが俺を囲むと、数人が靄から現れた。
「こいつら……」
『ああ。どうやらお前は運がいいらしい』
本当に。
聞いた後から出会うことになるなんてな。
謎の黒ローブ集団に。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
毎度おなじみの更新報告になります!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第28話が本日更新されました!
今回から2章の山場に入っていきます!
本話ではバルガとの一戦をコミカライズ仕様に描いており、緊迫したシーンが多めとなっております!
原作準拠ながら新鮮な形で楽しめる内容になっているかと思いますので、是非読んでみてください!
また、本作のコミックス1、2巻、そして最新刊の3巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!
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更に、3月24日に最新コミックス4巻も発売されます!
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今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
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