257.聖威剣は料理もできる?
新年あけましておめでとうございます!
今年も引き続き、作品制作に励んでまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます!
「さすがはリーフ、手際がいいな」
「人並み程度だけど、料理はよくするからね」
俺はリーフとヴァイオレット共にシチュー作りに励んでいた。
今回は俺も手伝うということでキッチンに立ったが、リーフとヴァイオレットがほとんどこなしてしまった。
『そんなこと言いつつ、最初はじゃがいもの皮をむくことさえ緊張していたのに、変わったものね』
「ちょっと、ヴァイオレット!?」
あたふたするリーフにヴァイオレットが微笑む。
「そうなのか?」
「違う……! わけじゃないけど……」
否定はしなかった。
今の料理上手なリーフを見ると、想像がつかない。
『懐かしいわね。私が教えていた頃は刃物の扱いすら――」
「お願いだから、もう喋らないでっ!」
リーフは赤面しながら、ヴァイオレットの口を塞いだ。
どうやら、二人の過去では色々あったらしい。
「はぁ……あの時はまさか剣に料理を教えてもらうなんて思ってもなかったよ」
「そりゃそうだろうな……」
傍から見たら異様な光景だろう。
俺の横にいる聖威剣の包丁さばきが異次元なのだから。
今はどこからどう見てもヒトにしか見えないが、中身は剣だぞ?
「どうしてそんなに料理が上手いんだ?」
俺がヴァイオレットに問うと、妖艶さを感じる笑みで応えた。
『うふふっ、今どきの聖威剣は料理もできるのですよ』
「マジか」
表情を強張らせる俺にヴァイオレットは面白そうに笑い始めた。
『というのは冗談で、詳しくは分かりませんが、今までの私の使い手が皆料理が得意だったからだと推測できます。神剣であった時の使い手の記憶が私にはありますから』
「な、なるほどな……」
揶揄われた。
ヴァイオレットって結構Sなところがあるのかもしれない。
まぁそれはいいとして、そういえばヴァイオレットは古代遺跡で発掘された神剣の欠片から復元された聖威剣だったな。
前の神剣使いが料理得意だったということか。
『とはいえ、聖威剣でも料理ができることは私で証明済ですので、もしかしたらグランさんもできるのではないでしょうか?』
ヴァイオレットの発言に俺は思わず、「えっ」という声が漏れてしまった。
「嘘だろ……? いや、あいつは……」
少なくとも料理なんてするタイプじゃないだろう。
仮にできたとしても、俺の中でのイメージが……
「あ、でもグランはなんでもできそうなイメージはあるね」
「リーフまでそんなことを……確かにあいつは万能ではあるが……」
リーフの発言を聞くと、不意にエプロン姿のグランを想像してしまう。
そんなあり得ない上にカオスな状況を想像すると、俺の中で一種の拒絶反応が起こった。
「いやいやいや、やっぱない。あり得ない」
「え~そうかなぁ?」
「そうだ。戦闘面では確かに優秀だし、俺も助けられているが日常生活のことについて教えてもらったことは特にないからな。ましてや料理なんて……」
『まぁ、私の場合は過去の記憶が影響しているのがありますが、グランさんならできそうな感じはありますよね。器用そうですし」
「うんうん、わたしもそう思う!」
「ま、マジか……」
二人は納得しているみたいだが、どうも腑に落ちない。
今度さらっと聞いてみるか……
それでもし料理ができるなら、俺も教えてもらおう。
イメージ的にあまり考えたくはないが……
その後も他愛のない話で盛り上がると、気がつけば三人前のシチューが完成していた。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
新年一発目の更新でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第26話が本日更新されました!
今回のお話から二章の山場に入っていきます!
原作にはない二章の展開も交えつつ、盛り上がりが加速していく動きのある内容になっていますので、是非読んでみてください!
また、本作のコミックス1、2巻、そして最新刊の3巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
改めてになりますが、今年もどうぞ宜しくお願い致します!
また、今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




