256.共同作業
いつもご愛読、ありがとうございます!
本日も告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
「ヴァイオレット、食材をお願い」
リーフはそう言うと、ヴァイオレットが手を伸ばす。
その手の先に異空間が出来上がると、そこから食材がわっさわっさと出てきた。
「すごいな……そんなことができるのか」
「ヴァイオレットにマジックボックスの能力を解析してもらって、疑似的な異空間を作り出してもらったの。容量は少ないけど、安物のマジックボックスと違って取り出したいものは取れるし、最高だよ」
マジックボックスとは、荷物保管用の魔道具の一種だ。
小さな箱に術式が込められており、中が特殊な異空間に繋がっている。
物品問わず様々なものが保管できるが、安物のマジックボックスは取り出したい時に物を指定できないのが難点だ。
以前、リーフに見せてもらった時は荷物の雨に曝され、大変な目に遭った。
「これはグランもできるのだろうか……」
「多分できるんじゃないかな? ヴァイオレット曰く、使用する魔力量によって空間構築の幅が広がるみたいだから、グランほどの魔力があれば広い異空間を構築できると思うよ!」
「グランに聞いてみるか……」
これができれば納品時とか、物凄く楽になる。
未だに納品は馬車か手持ちでやっているからな……
グランが応じてくれるかは分からないけど……
「一応食材は色々買ってきたけど、しーちゃんは何が食べたい?」
「う~ん、リーフが作ってくれる物ならなんでもいいよ」
「そう言うと思った」
リーフがジト目で俺を見てくる。
同時にその答えが一番困ると言わんばかりの表情だ。
食べたい料理を聞かれた時は具体的な内容を提示した方がいいぞ……と、だいぶ前にユーグが言っていたような気がする。
そしてその気持ちが少しわかったような気がした。
「あぁ……じゃあ、この前作ってくれたシチューをもう1回食べたいな」
「この前ってしーちゃんを看病していた時の?」
「そうそう。あれすごくおいしかったから」
ゴルドとの戦闘後に目覚めたリーフの家で食べた食材ゴロっとシチュー。
傷ついた身体にあのシチューはお腹も心も満たしてくれたのを今でも覚えている。
「分かった! でも前回のは病人向けにしてたから、今度はちょっとだけアレンジを加えてみるね」
リーフは異空間から出てきた食材を選別して、キッチンに持っていく。
「今回は俺も手伝うよ。前回は何もできなかったからさ」
「いいのいいの! これは私がやりたくてやっているんだから。しーちゃんは楽しみに待ってて!」
「いや、流石に申し訳ない。気持ちよく食べる為にも手伝わせてくれ」
「そ、そういうことなら……」
リーフはそういうといくつかの材料の皮むきをお願いしてくる。
そんな姿を見て何を思ったのか、ヴァイオレットがニヤニヤと笑みを浮かべていた。
『ふふっ、お二人が楽しそうで何よりです』
「楽しそう?」
『ええ。最近はシオン様もお仕事で忙しかったみたいなので中々会えないと嘆いて――』
「ヴァイオレットっ!」
リーフが語気を荒くしてヴァイオレットの話を遮断する。
口を滑らせたヴァイオレットは明後日の方向を向きつつ、
『あらあら、私ったらうっかり』
「うっかりする暇があるなら、手伝って!」
『ふふっ、分かったわ』
リーフは赤面しながら、ヴァイオレットに圧をかける。
だが、当の本人は気にする素振りもなく俺の横に並ぶと、手慣れた動きで下ごしらえを始めるのだった。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
更新の告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第25話が本日更新されました!
今年最後の更新になるかと思います!
今回は過去一ドキドキする展開になっているかと思います!
原作の展開とオリジナルな展開が混ざった甘々なシオンとリーフレットが見れますよ!
二人の仲睦まじさが際立っていますので、是非読んでみてください!
また、本作のコミックス1、2巻、そして最新刊の3巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




