255.招集
いつもご愛読、ありがとうございます!
本日も告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
「粗茶ですが……」
トレーから二人分の湯飲みをテーブルに置く。
中身はこれといって特徴のない平凡なお茶だ。
「ありがとう、しーちゃん」
『私の分まで……お手数をおかけします』
不意にリーフと久しぶりに会った時もこんな感じのやり取りをしたことを思い出す。
今度はお供の聖威剣が人型になっているけど……。
何とも不思議な光景だよなぁ……
そんな風に思う俺を尻目に、二人は同時にお茶を口に含んだ。
「悪いな。良いおもてなしが出来なくて」
「突然来たのはこっちだもん。家の場所だってガイルさんから無理言って聞いてきたんだし……」
そういえば家の場所は工房の人間以外には言ったことがなかった。
他人に話す機会もなかったし。
『すみません。プライベートな空間に足を踏み入れてしまうようなことをしてしまって……』
「わたしもごめん。工房にいたらそのまま伝えたんだけど、いなかったみたいだから」
その時はまだ王城だったから、単純にタイミングが悪かった。
「悪い。王城に仕事の話をしにいってたんだ」
「そうだったんだ。王城からも仕事の依頼が来るなんて流石しーちゃんだね」
「普段から支えてくれている人のおかげだ。もちろんその中にリーフも含むぞ」
「わ、わたしも何もしていないよ……でも、ありがと」
頬をほんのり赤らめ、照れるリーフに隣にいた人型ヴァイオレットがニコリと笑った。
『ふふっ、相変わらずお二人は仲がいいですね。でも今回ここまで来た目的を忘れてはいけませんよ』
「あ、そうだった……」
同時に話題を本筋へと戻す。
リーフはヴァイオレットの注意を聞くと、真剣に表情に変わった。
「本題に入るけど、今日ここまで来たのはしーちゃんに伝えたいことがあったからなの」
「それは勇者軍絡みの話か?」
「うん」
俺の質問にリーフは即座に頷いた。
伝えたいことがあるということで予想はしていたが、やはりなんかあったみたいだな。
「明日の日没に軍内で緊急会議が開かれることになったの。内容はまだ明らかにされていないけど、噂だと、魔王軍に関係していることみたい」
「なんか動きがあったのか?」
「ルーべリック北端にある村で結構な魔物の群れが確認されたみたい。まだ数は少ないから、現地の国家騎士が対応しているみたいだけど……」
ルーべリック北端の村というと、ベール村のことじゃないか?
女王陛下が言っていた突然のカスド側の国家騎士の暴走、そしてカスド連合国からの国家訪問の話……そして魔物の群れの発生……やはり何か起こっているのは間違いない。
勇者軍にも関係してくると陛下は言っていたがその通りになったな。
「なるほどな。それでその緊急会議に俺も参加してほしい……ということか?」
「うん。リベルカさんから直々にお願いが入っているの」
このタイミングでの緊急会議、只事ではないのが分かる。
「分かった。明日の日没だな?」
魔王軍絡みとなれば、断る理由はない。
俺はすぐに了承すると、リーフの表情が柔らかくなった。
「ありがとう。リベルカさんにはわたしから伝えておくね」
「ああ、頼む」
俺がそういうと、リーフは「よし」と言いながら、席を立ちあがった。
「これで不穏な話は終わり! しーちゃん、いきなりだけど、台所借りてもいい?」
「別にいいが……何をするつもりだ?」
リーフは袖をまくると、
「もちろん、これから料理をするんだよ! 夕飯、それだけじゃ力がつかないからね!」
俺が買ってきた買い物袋の中を見つめながら、自信満々にそう言い放った。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
さて、恒例の更新告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第24話が本日更新されました!
本話からユーグやリィナなどレギュラーメンバーが勢揃いの内容になっていきます。
これから更にオリジナル展開に加え、2章の盛り上がりが加速していく形になります!
より面白くなっていきますので、是非読んでみてください!
また、本作のコミックス1、2巻、そして最新刊の3巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




