254.桃色の麗人
いつもご愛読、ありがとうございます!
長らく更新できず、申し訳ございませんでした。
本日も告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
「貴方は……」
そんな言葉が不意に出る。
目の前には白のワンピースに身を包んだ見目麗しい女性が立っていた。
桃色の長い髪と琥珀色の瞳を持ち、前髪は剣型のヘアピンで止められている。
「なんだ、この感じは……」
彼女を見ていると、魂が引き込まれそうな感覚すらあった。
でも不思議なことに悪くは思わず、初対面のはずなのに以前に会ったことがあるかのような感じもあった。
というか、待てよ。
そもそも、さっきの俺の名前を呼んでいたような……
『シオン様? どうかされましたか?』
やはり間違っていなかった。
「えっと、君は一体……」
そう言いかけると同時に、桃髪の女性はポンと手を叩いた。
『あ、そういえばこの姿をお見せするのは初めてでしたね』
彼女はワンピースの裾を部分を摘まむと、丁寧なカーテシーを見せた。
『ヴァイオレットです。いつもリーフレットがお世話になっていおります」
「ヴァイオレット……ってリーフの聖威剣の!?」
『左様でございます』
彼女は即答する。
……マジか。
グランと同じように喋る聖威剣ということで、ある程度予想はついていたが……
というかそもそも喋る聖威剣に出会ったのは、ヴァイオレットが初めてだったことを思いだした。
「グランが擬人化した時にも驚いたけど、ヴァイオレットも出来るなんてな」
『あら、あの方もヒトの姿になることができるのですね』
「まぁな。ところでリーフはどこに?」
『多分もうすぐ来ますよ』
「あ、しーちゃん!」
その発言と共に遠方からそんな声が聞こえてきた。
私服に身を包んだリーフがこちらに笑顔を振りまきながら、走ってくる。
「ごめんね、ヴァイオレット。待たせちゃって」
『大丈夫。ちょうどシオン様のお部屋をノックしようとした時に彼と会うことができましたから』
二人の会話を聞くところ、どうやら二人は俺に用があるらしい。
「そういえば、リーフ。身体の方は大丈夫なのか?」
「うん! もうすっかり元気になったよ。あともう一日入院予定だったけど、不要になるほど凄まじい回復力だってロサリーさんが言ってたよ」
「そうか、良かった」
話を聞くと、ユーグやリィナも同時期に退院したらしい。
兎にも角にも、みんなが元気になってくれて良かった。
「とりあえず、中に入ろう。ここで話していると近所迷惑になるからな」
俺は部屋の鍵を開けると、二人を部屋の中へ導く。
「ここがしーちゃんのお部屋かぁ~」
「そういえばここに来るのは初めてだったな」
ちなみにこの部屋に引っ越してきてから、工房の人間以外の来訪者はいない。
「綺麗にしているんだね」
「まぁな。汚くすると親方に殺される」
実際、この借家のある部屋で酒を飲んで騒ぎまくった元工房職人が弁償と共に数ヶ月の謹慎処分になったとかなんとか……
人を大事にする親方だからこそ、職人が住まう場所はそれはもう厳重に管理されているのである。
「お茶を淹れるよ。ちょっと待ってて」
俺はそう言うと、台所の方へと足を運ぶのだった。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
更新の告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の番外編が本日更新されました!
今回は番外編ということで、なんと完全オリジナルストーリーになっております!
新鮮かつ、非常にほんわかする一話になっております!
コミカライズ版のみのお話ですので、是非読んでみてください!
また、本作のコミックス1、2巻、そして最新刊の3巻が現在発売中ですのでこちらも是非、宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
今後とも本作品を何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




