241.前代未聞の決闘
いつもご愛読ありがとうございます!
今回も告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけますと嬉しいです!
マクドエルさんの一声で歓声があがる。
だがその歓声すらも耳に入れる余裕はなかった。
「くっ、はやっ!」
その声と共に女王の猛攻が俺に襲い掛かってきたからである。
まさに瞬時の判断だった。
ちょっとでも遅れていたら、そのまま剣を弾かれていたことだろう。
この女王、やはり本気である。
目がもう先ほどまでの麗しきものではなく、戦士の眼光を放っていた。
もちろんさっきのボコボコにしてほしい発言を信用していなかったわけではないが、これは気を抜けばその瞬間に終わる。
そしてもしこの試合で勝たなければ彼女の想いも……
そう考えると身に力が入る。
俺はすぐさま距離をとるが、見切っていたのか同時に向こう側も距離を詰めてきた。
「甘い……甘いですよシオン様!」
「くっ……!」
なんとか二撃目も受けきる。
模造剣とはいえ、攻撃を剣体で防ぐごとに身体全体に凄まじい振動が走る。
だが、これである程度は把握できた。
「……っ!?」
二撃目も受けきると、力技で相手の剣を弾き返す。
そして今度は距離を取らず、逆に彼女の懐に入り込んだ。
地面を抉り、滑るように間合いに入ると、二撃三撃と連続で攻撃を浴びせる。
「まだまだです!」
しかし向こうも俺の動きに適応したのか、その圧倒的なスピードで一気に間合いを取る。
同時に追撃を予想したのか一切隙のない後退を見せると、クラリス王女はふふっと笑みを零した。
「なるほど。流石は歴代最強と謳われた勇者軍の宝です。小手先の技術では通用しませんね」
「クラリス様こそ、さっきの初撃は中々に危なかったですよ……」
「これでも少し前までは一国を守る騎士でしたから。簡単にはやられませんよ」
その笑みが逆に怖い。
普段の凛とした可憐な感じとは裏腹に剣を持てば誰もが恐れるバーサーカーと化す。
凄まじいギャップである。こんなこと口が裂けても言えないけど……
「あ、今何か失礼なこと考えてましたね?」
「えっ……?」
なにこの人、エスパー?
それとも、心読系の魔法でも使ったのか?
とりあえず怖い!
「ふふっ、冗談ですよ。でも……次はそうはいきませんよ」
またすぐに戦士の目に変わった。
その変わり様は凄まじいもので、空気さえも震撼するほどの覇気がフィールド内を包んでいく。
これは……次で決めに来るな。
彼女の願望を考えると、少しは手を抜いてくれても……と思うが、そんな単純な方法ではいかないことは身をもってよくわかった。
さっきから貴族連中の視線が痛いのだ。
どういう心中で見ているのかは分からないが、確かにあれは誤魔化せないだろう。
となれば、俺もなりふり構ってはいられない。
俺だってかつては誇りあった勇者の一人だったからな。
長い間戦場を離れていたせいで、しばらくの間忘れていたが、こういう「純粋」な戦闘は誰よりも好きだった。
そして強者と対峙した時の高揚感は更に自分を磨き続けてくれたものだ。
だから……今こそ思い出せ。
かつての……記憶を!
俺はグッと身体全体に力を入れると、剣に魔力をため込むのだった。
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
お馴染みの月一回の告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第14話が本日更新されました!
今回はリーフレットの飛躍が見られます!
前話のシオン同様に戦闘前後のデザインが完璧な仕上がりになっており、
より盛り上がるシーンになっています!
今回はより一層オリジナルな要素で構成された一話になっていますので、
是非読んでみてください!
また、本作のコミカライズ1巻が昨年の10月24日より発売されています!
こちらも是非宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




