240.熱気
いつもご愛読、ありがとうございます!
今回もお馴染みの告知がありますので、是非後書きまで読んでいただけると
嬉しいです!
「おい、今回女王陛下が指名した相手っての誰なんだ?」
「なんでも王都の外れで鍛冶師をしている青年だとよ」
「鍛冶師だと? なぜそんなやつが……」
「さぁな? ま、速攻で終わるだろうがな」
「違いねぇ」
巻き起こる歓声。
熱気に包まれた会場。
怪訝な表情で見守る騎士家系の貴族たちが何やらひそひそと話しているのも見える。
まぁ、なぜあんなやつが……なんて話でもしているのだろう。
フィールドの中央にはジャッジ役のマクドエル戦士長が立っているのが遠目で見えた。
「では両者、フィールド内へ!」
その声と同時に、向かい合う入場口から俺とクラリスが闘技場のフィールド内に入っていく
「すごい熱気だな……」
恐らくその熱気の向け先はクラリス女王なのだろうけど……
軽武装して現れた御仁はまさに戦乙女といった感じで、その美貌と凛とした佇まいで場を魅了するが、同時に戦士としての覇気も伝わってきた。
多分、向かい合う俺がそれを一番よく感じていると思う。
「この感覚……昔を思い出すな」
そのフィールドに一歩足を踏み込むと、かつての記憶が蘇る。
あぁ……確かあれはまだ勇者軍にいたころだ。
1ヶ月に1回行われていた定期模擬戦で似たような感覚を思い出す。
あの時も色んな勇者たちに目を向けられていたっけな。
まぁ……今回に限ってはその規模が違うのだけれど。
と、そんな回想をしているとジャッジのマクドエルさんが高らかに声をあげた。
「ルーべリックの偉大なる勇士たちよ! 此度はよくぞ集まってくれた! これより、現ルーべリック国王クラリス=フォルン・ルーべリック陛下と元勇者軍所属の鍛冶職人、シオン・ハルバードによる模擬決闘戦を執り行う! なお、此度の模擬決闘戦はクラリス女王陛下直々のご使命である王家認可の名誉ある決闘試合である! 本来であれば一部の者しか立ち入ることのできない神聖な場であるが、今回はクラリス女王陛下の勅令により、爵位身分関係なく解放となった! この意味をよく考えた上で試合を見ていただきたい!」
演説のような力強く言霊を観衆にぶつけると、同時に大きな歓声があがった。
暑苦しい熱気が闘技場を余すことなく包み込んでいく中、マクドエルさんが小声で俺たちに語り掛けた。
「ご両人とも、準備はよろしいですね?」
俺たちは声をあげることなく、小さく頷いた。
マクドエルさんが俺たちの反応を見ると、
「では、ご両人ともご準備をお願い致します」
戦闘配置につくよう命じられる。
クラリスは俺に一瞬だけ微笑むと、背中を見せ配置についていった。
その微笑みの意図はなんなのか……と思ったが、今は試合に集中することにしよう。
俺もすぐに配置につくと、それを確認したマクドエルさんが右腕を挙げた。
「それではこれより、模擬決闘戦を開戦する! 両者、戦闘準備を!」
瞬時に俺たちは抜刀を行う。
続けて息をつく間もなく、開戦の一声が闘技場内にこだました。
「……始めッッ!」
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
お馴染みの月一回の告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第13話が本日更新されました!
今回は遂にシオンの勇姿が見られます!
戦闘シーンのデザインも最高な仕上がりになっており、1章で一番盛り上がるシーンに入っていきますので
是非読んでみてください!
また、本作のコミカライズ1巻が昨年の10月24日より発売されています!
こちらも是非宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




