238.廃止宣言
諸々更新が遅れて申し訳ありません。
今回は久々の告知がありますので、
後書きまで読んでいただけると嬉しいです!
「えっとーすみません、今なんて?」
「ボコボコです」
「え?」
「ボコボコにしてくださいと申し上げました」
……おかしい。
俺の聞き間違いだろうか?
「えっと……シオン様?」
きょとんとする俺に覗き込むようにして彼女は見てくる。
「あ、すみません。まさか女王様からそんな言葉が飛び出すとは思わなくて……」
「ふふふっ、意外でしたか?」
「凛としたイメージでしたので」
あくまで俺から見たイメージだが。
「これでも王城の中では結構汚い言葉を使うのですよ。家臣たちにはよく注意をされてしまいます」
ふふふっと笑う彼女を見ると、俺の中の女王のイメージが変わっていくのを感じた。
「意外です。そういうことには厳格な方だと思っていたので……」
「私は元々堅いことが嫌いな性分でしたから。思い返してみれば剣を握って鍛錬している時が一番気楽だったかもしれません」
一国の長としての責任による重圧は常人では考えられないものだ。
普通の人間ならその重圧に押しつぶされてしまうだろう。
それでも、誰かがやらないことには国は成り立たない。
未来へと導く人がいるから、それを信じてついてきてくれる人がいる。
そうして国が成り立っているのは政治に無頓着の俺でも分かるし、俺に出来ることなら力になりたいという気持ちもある。
こういった事情を聞いてしまえばなおのことだ。
それは相手が女王だろうが関係ない。
頼ってくれているのならば、俺はそれに可能な形で応えるだけだ。
「幻滅しましたでしょうか?」
「いえ、むしろ少しだけ親近感がわきました。一般人の自分からすればクラリス様は雲の上の存在みたいな感じだったので」
「雲の上の存在……ですか」
少し俯き何かを考えるような素振りを見せる王女に俺は静かに問いかけた。
「クラリス様……?」
「……あ、申し訳ございません。少し考え事をしていました」
女王はハッと顔をあげると、いつもの佇まいに戻った。
そしてコホンと咳払いをすると、キリっとした眼差しを俺に向けてくる。
「話を戻しますが、シオン様。無礼を承知でお願い致します。この私をボコボコにしてください」
今度は深々と、一切の隙がないお辞儀をされた。
「お、お顔をあげてください! 分かりました。俺でよければ喜んでお力になります!」
慌てて顔をあげるよう促すと、女王の表情に笑顔が生まれた。
「ありがとうございます。これでようやく呪縛から解き放たれる。この国の歴史を変えることができます」
「歴史を変える……?」
その一言に反応すると、クラリスはゲート側の方をみながら答えた。
「この決闘で、私が敗北した時には神裁決闘そのものをなくそうと考えています」
本話も読んでいただき、ありがとうございました!!
さてさて、月一回の告知でございます!
現在comicブースト様にて連載中の『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の第12話(前編)が本日更新されました!
先月は諸事情により、お休みでしたので久々の更新になります!
本話から物語は1章の再終盤へと移っていき、いよいよ
シオンの勇姿が見られます!
また今回は前編とあるように、前後半でお話が続いていきます!
漫画でしか出せない迫力が際立つシーンがこれからたくさん出てきますので
是非読んでみてください!
また、本作のコミカライズ1巻が昨年の10月24日より発売されています!
こちらも是非宜しくお願い致します!
下記に作品ページに直接行けるリンクを張っておきますので、まだ未読の方は是非読んでみてください!!
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322




