232.戦乙女
毎度お待たせして申し訳ございません!!
更新です!
また、本日も後書きにてお知らせがありますので最後まで読んでいただけると嬉しいです!
俺はクラリスに案内され、城内にある鍛錬場へと足を運んでいた。
「流石は王城修練場と言ったところだな」
設備が充実している。
勇者軍もかなり充実している方だったが、ここは別格だ。
ここで受け持っている勇者の卵たちを訓練させたら、さぞ効率の良いことだろう。
……と、そんなことを思っていると。
「お待たせして申し訳ございません」
背後からガシンガシンと金属音のような音を立てて歩み寄ってくる人物がいた。
「く、クラリス陛下……?」
その姿は先ほどまでいた彼女とはまるっきり違っていた。
節々に特殊なチューニングが施された重厚な鎧に身を包み、胸元には光り輝く国章が存在を際立たせている。
ドレスに身を纏っていたまごうことなき女王の姿はそこにはなく、今目の前に立つのはかつての大乱から国を救った戦乙女としてのクラリス女王陛下……王帝戦乱の英雄としての彼女だった。
「この姿を人様にお見せするのは戦時以来です。驚かせてしまいましたか?」
「正直、驚きました。先ほどまでとはだいぶ雰囲気が変わっていたので」
この場合の変わっているというのは見た目という意味だけではない。
彼女の纏うオーラが先ほどとはまるで違ったのだ。
それも別人だと錯覚させてしまうレベルに。
「雰囲気が……ですか。確かにこの鎧を纏った私は女王である私とは対極にあることでしょう。どう言い繕っても、穢れを知らない愚かな女と人々には映るでしょうから」
いや、そんなことは……
そう言いたかったが、何故か言えなかった。
事実、今の俺にも彼女がそう見えてしまっていたからだ。
「うふふ、貴方は否定しないのですね」
「申し訳ございません」
「いえ、むしろそういっていただけて嬉しいです。皆、心の内では分かっていても否定してくれますから。それを見る度に心を強く絞めつけられたものです」
クラリスは少し上を見上げながらそういう。
「だからこの鎧にはあまりいい思い出がありません。私の意思でやったことでも、この鎧はもう沢山の人の血で染まってしまっていますから。それにこの私自身も……」
「……」
哀愁漂うその横顔はどこか昔の自分を連想させた。
かつて魔族であれば躊躇わずに屠っていたころの自分に。
「すみません。変な話をしてしまって」
「気にしないでください。でもそれならなぜその鎧を?」
「これは私なりの誠意です。こんな素晴らしい逸品を仕立ててくださったのですから、それを振るうに相応しい姿があると、そう思ったからです」
「それがその姿ということですか」
「内容はどうであれ、この鎧は今の私を作り上げたものです。そして今の平和もこの鎧とレーヴァテインによって齎されましたから」
クラリスはそういうと、魔剣を鞘から抜き、修練場の中央の方へと歩いて行った。
金色の髪を靡かせ、その横顔は凛々しさに溢れている。
その姿に戦乙女としての片鱗が垣間見えた。
「では、始めます」
中央に立つと、彼女は俺の方を見て口元をやや歪ませる。
そして剣を修練用の的に向けると、彼女は目の色が瞬時に変わった。
本話も読んでいただき、ありがとうございました。
前書きでのお知らせした件ですが、遂に『俺の冴えない幼馴染がSランク勇者になっていた件』の単行本が本日発売されました!
本日より各書店様に並ぶこと思います!
また特典情報等もいくつかありますが、長くなってしまいますので活動報告にまとめておきます。
プロフィール欄にある私のTwitterからも情報を発信していますので、是非チェックを!
ここまでこれましたのもひとえに読者の皆様の応援があったからこそです。
本当にありがとうございます!
物語はWEB版・コミカライズ版共に続いていきますので今後も応援していただけますと幸いです!
もちろん新作や旧作品も頑張ってまいりますので何卒末永い応援のほど、宜しくお願い致します!




