223.最終工程
いつもご愛読、ありがとうございます!
沢山の方に読んでいただけているみたいで、凄く嬉しいです!
2月1日からcomicブースト様にてコミカライズも始動していますので、そちらも是非読んでみてください!!
後書きにリンクを貼っておきます!
何卒応援のほど、よろしくお願い致しますm(__)m
「この辺でいいだろう」
剣を持ち、やってきたのは何もない平原地帯。
これからここでこの剣の試用をする。
とんでもない力を秘めた剣だ。
工房の近くでやったりなんかしたら色々と弊害が出てしまう。
よって何もないところに来たわけだが……
「ところでなんで君がここにいる?」
うふふっと笑みを見せる少女が一人。
小さなお姫様がいつの間にか俺についてきていた。
「グランさんが許可してくれたので、ついてきてしまいました」
「グラン……」
俺が目線を向けると、
『まぁ良いではないか。娘なら我が見ておる』
「ったく……万が一のことがあったら責任持って守るんだぞ」
はぁ……とため息を漏らしつつ、剣を構える。
第二の関門である正剣化を乗り越え、次にやるのは適性化という作業だ。
一応これが実質的に最後の工程になり、最終関門でもある。
正剣化ほどではないが、ここも大事な工程になる。
さっきの正剣化が剣に命を吹き込み、この適性化では生まれたばかりの剣に知恵を与える。
要するに何度も何度も繰り返し使い、大人の剣に仕上げていくということだ。
あと諸々細かい調整過程があり、晴れて一人前という形で世に送り出される。
魔剣や聖威剣といった特殊な剣はこれらの過程を順序良く丁寧に踏んでいかないといけないため、
その時間と労力は計り知れないものになる。
だからこそ、剣を我が子のように扱う職人も多く存在する。
第三者から見ればただの変人だけどね。
ちなみに俺も自分の育てた剣には愛着を持つ派だ。
「まずは魔力に対する順応性からだな」
俺は剣に魔力を込める。
一気にではなく、少しずつ少しずつだ。
この時点で魔力を大量に流すと、暴発してドカーン! なんてことになりかねない。
こいつはまだ赤ん坊も同然なのだ。
「……よし、順応性は大丈夫そうだな。次は耐久性だな」
次は魔力を流す量を増やしてみる。
だがこの時も一気に流すのではなく、少しずつ流していく。
「……まだいけるか」
魔力を流し続ける。
剣に蒼白い光が帯び、刃に赤い線みたいなものが浮かんでくる。
それは魔力を流し続ける度に大きくなり、光もまた強さを増す。
「この辺でいいか」
魔力注入をやめると、光は収まり、クールダウンに入る。
結構な魔力を流したが、安定して力を引き出すことが出来た。
これならある程度、大量の魔力を流しても簡単には暴発しないだろう。
「魔力耐久は問題なしだ。あとは物理耐久だな」
『我の出番か』
「ああ、頼む」
次は物理攻撃による耐久性。
これも確認しないといけない事項だ。
確認方法は簡単。
単純にグランと摸擬戦をするだけだ。
「グラン、早速だが……」
「ちょっと待ってください」
グランと向かい合わせになった時にリラちゃんが止めに入った。
「リラちゃん? どうかした?」
「わたしもお手伝いさせてください」
そういうとスタスタとグランの元に駆け寄り……
「わたしがグランさんを握ります。なのでシオンさん、このわたしの相手をしてください」
コミカライズURL:https://comic-boost.com/series/322
お読みいただき、ありがとうございます!
面白い、応援したいと思っていただけましたら是非ブクマと広告下にある「☆☆☆☆☆」から評価をしていただけると嬉しく思います。
ブクマ、ポイント評価のほどお待ちしております。




